表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/216

閑話 親父と会話

 母が彼女を連れて部屋を出て行った。黙った父が廊下の様子を伺うようにしているので、俺も口を噤んで父の様子を見ていた。完全に彼女がこの部屋に戻ってこないと確信してから、父は口を開いた。


「それで、お前は昨夜、茉莉くんを部屋に連れ込んで、嫌がる彼女にあんなことやこんなことをしてないだろうな」

「彼女のどこを見たら、そんなことをされたように見えんだよ。というか、俺を信用する気はないのかよ」


 言うに事欠いてそれかよ、と思いながら反論をしたら、チッと舌打ちを打つ父。


「結局ヘタレか。この2週間で意識もしてもらえんとは。無駄にいい顔しているんだから、それをフル活用しろよな」

「いや、それはおかしいよな。どこの世界に息子に襲うことを勧める親がいるんだよ」


 忌々しそうに言われて、本気でムカついてきた。大体彼女が俺付きになるように画策したのは父達だろう。


「だーれが襲えって言っているって。お前は馬鹿か。普通に恋愛に持っていけって言っているだけだろ。やっぱ、お前にゃ期待するだけ無駄だったな。34歳まで独りもんなのは、伊達じゃないわけだ」


 まだ、悪態をついてきやがる。仕事場では丁寧な口調で、柔らかい話し方をする人だけど、普段はかなり口が悪い。それも機嫌が悪いと尚更取り繕いもしなくなる。


 さっきからなんなんだと思う。言われていることは理不尽に近いよな。俺は怒っていいんだよな。


「うるせーな。それより彼女はなんなんだよ。無自覚天然にしては、いろいろおかしすぎるだろ。告白されたのが初だからって、コケにしようと考えている奴のことを、見抜けないとは思えないんだけど。それになんで今まで誰とも付き合ったことがないんだ」


 この2週間、彼女のことを見ていて思ったことを言ってみた。そうしたら、父の眉が少し下がり、口元に笑みが浮かびやがった。


 これはなにか裏があると、俺の勘が告げたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ