表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/216

22 何もなかった……朝 -壁ドン&顎クイ-

 目を覚ました私は、どこにいるのかわからなくて、ボーッとベッドの上で体を起こして座っていた。


 自分の家ではないのはわかった。けど、今日は土曜日だから仕事の心配はない。だから、何も心配はいらないのだ。


 そう結論付けた私は、ベッドから這い出して、扉を開け……ようとして、鍵がかかっていることに驚いた。客間に鍵がかかるような部屋に住んでいる人って、知り合いにいたっけ?


 そんなことを考えながら部屋を出た。トイレはここかなと、あたりをつけて扉を開けたら……洗面所だった。それだけでなく先客がいた。


「か、課長―!」


 顔を洗ったのかタオルで拭いていた人は、「おはよう」と、爽やかな笑顔を向けてきた。それから訝しそうに私のことを見つめてきた。


「お、おはようございます」


 裏がった声であいさつを返したら、ますます訝しそうに私のことを見てきた。


「大石、どうかしたのか」

「あっ、いえ、その……」


 私がどもっていると、何かに気がついたのか富永氏は言ってきた。


「ああ、そうだったな。朝食を用意する間にシャワーを浴びるか。それが一番いいな」

「はいー!」


 また裏返った声が出た。えっ? えっ? シャワー? 朝食? 作るの? 誰が?


 私のことを尚更訝しんだ富永氏は、私のそばに一歩近づいた。つられて私も一歩下がった。眉を寄せてもっと近づいてくる富永氏。私はそのまま後退を続けて、背中に何かが当たった。手の平で触ると、どうやら壁みたい。


 横に向いて廊下の壁だと確認をした。その私の顔の横に富永氏の左手が突っ張るように置かれた。それに視線を向けたら、顎をクイッと持ち上げられた。


「大石?」


 目を覗き込むように見つめてくる富永氏。その瞳に狼狽えまくった私の顔が映っている。


「もしかして、昨夜のことを覚えてないのか?」


 必死にコクコクと頷いたら、富永氏の顔がクッと歪んだ。そして……思いっきり大笑いをされたのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ