表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

208/216

167 創立50周年パーティー その2 

 支度が済んで、克明さんと合流しました。控室として借りた部屋で待機中です。


「緊張してないか、茉莉」


 克明さんが労わるように言ってくれています。


「大丈夫よ。私、そんなに軟じゃないもの」

「それは知っているけど、普段と違うわけだし」


 気遣ってくれる克明さん、優しい~。

 私は口元に笑みを浮かべて言いました。


「克明さんこそ、ちゃんと私をエスコート(・・・・・)してよね」

「そこは任せてくれ」


 余裕の笑みを浮かべる克明さん。うん。いつもよりも出来る男感がアップしていて、イケメン度が上がっている気がします。

 これは新調されたスーツのためだけではないよね。


 コンコン


 そこに控えめなノックの音がしました。


「はい、どうぞ」


 克明さんの返事に扉が開いて顔を見せたのは三隅さん。


「御来賓の方々がお見えになりました」

「わかった。それじゃあ、行こうか、茉莉」

「ええ。……でも、その前に。三隅さん、他の2課の女性たちと、こちらの方について行ってもらえるかな?」


 私の言葉に怪訝な顔をする三隅さん。このような予定は聞かされていなかったから。

 でも、なにかパーティーに必要なことなのだろうと思ったのだろう「はい」と答えて頷いてくれた。


 私はホテルのスタッフに「お願いしますね」と言うと、克明さんと一緒に来賓の方々がいる部屋へと向かった。


「ふふっ」


 つい、この後のことを思い描いて笑みがこぼれてしまう。


「茉莉、気持ちは分かるがもう少し堪えようか」

「ああ、そうね。ごめんなさい」


 克明さんに(たしな)められて表情を引き締めると、来賓の方がいる部屋へと入ったのでした。

 部屋に入ると、克明さんが皆様に挨拶をした。


「皆様、本日はお忙しい中、我が社の創立50周年記念祭にご出席いただきまして、ありがとうございます」

「克明君、おめでとう。君がこの会を取り仕切ったと聞いたぞ」

「いえ、私の前に準備を進めてくださった方がおります。その方より引き継いだだけに過ぎません」

「いやいや。これだけの会を開催するのには、苦労もあっただろう」


 などなど、来賓の方々に言われて……というよりも揶揄われ……遊ば……ゴホン。親しく声を掛けられる克明さんのそばで、私はおとなしく微笑んでいたのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ