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155 これって……マイフェアレディ?

 ふふふっ


 気を引き締めないと口元がニマニマしてしまいます。

 プレゼントは身につけないと意味がないと言われて、ネックレスを身につけています。

 気にしないつもりでいても、つい視線はネックレスへといってしまうのよ。


 そんな私に「思ったよりも長くジュエリーショップに居たから、家に戻るよりも予定通りにディナーを食べて帰ることにしよう」と富永氏が言いました。


 私は胸元に揺れるペンダントトップを見つめながら、頷いたのでした。


 そうしたら富永氏は私の腕を掴むと、歩き出したのよ。


「それじゃあ、相応しい格好をしに行こうか」

「はっ? えっ? ええっ!」


 そんな言葉と共に連れていかれたのは、どこかの高級サロン? それとも高級ブティック?


 富永氏の「よろしく頼む」の言葉に送られて、店の奥へと連れていかれました。


 店員の方に服をはぎ取られて軽い全身マッサージを施され、シャワーを浴びるように言われて……。

 出てきたら用意されていた紺色のイブニングドレスに着替え、ついでにヘアメイクまでされまして……。

 仕上げに先ほど貰ったネックレスと、いかにもお揃いとしか見えないイヤリングまでつけさせられました。


 案内された場所に待っていたのは……こちらも高級スーツに着替えた富永氏。組んでいた長い脚をおろし、ソファーからスッと立ち上がった富永氏は、称賛の眼差しで迎えてくれました。


「とても綺麗だよ、茉莉」

「あ、りがとう……ございます」


 熱を含んだ視線に、私もその熱が移ったように熱くなっていく。のぼせた頭で何とかお礼を口にした。左手を差し出されたので、それに右手を載せる。そして富永氏にエスコートされるままに歩き出す。


 ……というか、これはずるい。ううん。してやられたという感じかしら。


 私が着替えさせられたということは、富永氏も着替えをするということで……。いつも仕事でスーツ姿は見ているはずだけど、先ほどまでのラフな服装との差に……。


 チラリと富永氏の顔を横目で見て、すぐに視線を逸らした。


 しばらくしてまたチラリと見てすぐに視線を外すことをしていたら、何度目かに富永氏と目が合った。


「茉莉、そんな目で見られたら放せなくなる」


 そんな目って、どんな目なのかしら?


 富永氏に引き寄せられて、フワフワとした気持ちのまま、体を預けたのでした。


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