154 誕生日プレゼントに選んだものは……
誕生日プレゼントで貰ったものは何があったかなと、去年までのことを考えた。
そうだった。今までに貰ったことがあるのは、友人と家族だけだった。
恋人からのプレゼントなんて想像つくわけがない。
……と、変に冷静な部分でそんなツッコミを自分に入れた。
恋人からジュエリーのプレゼント……そういえば、ドラマで見たことがある。誕生日にサプライズで指輪を出してプロポーズしていた話を。
いやいや、今は違う。えーと、そう。私に欲しいものを選ばせてくれるんだから、それはない。
そう思ったのに、富永氏は笑うのをやめると目をキラリと光らせた。
「それとも、婚約指輪を選ぶか?」
「こ!」
一言だけで口を押えた私。考えたことを言い当てられたみたいで驚いたのよ。私の反応にまた「クックッ」と笑う富永氏。これは予想通りの反応をしたということかしら。
笑いを収めた富永氏は店員に「ルビーを」と伝えています。
……出来る男は誕生石まで詳しいのか。そうか、そうか。
店員は心得たように「こちらへどうぞ」と、案内してくれました。
並べられたものは……指輪だけではなく、ネックレスにイヤリング、ブローチ、ブレスレットと、様々な種類のものを並べてくれました。
……の前に、なんでソファーに座っているんでしょうね? やはりラフな格好でも、富永氏がセレブなのはわかるとか? もしかしてここは社長一族御用達のお店で、富永氏も小さいころから顔なじみだからとか?
そんなバカなことを考えたくなるくらいに、それぞれの箱についているお値段がね……。というか、一つ一つ箱に入っているってなんなのよ。扱う店員の方は、どこからか白い手袋を取り出して嵌めているし……。
「どうせすぐ必要になるだろうから、ついでに選んでおこう」
ついでって! そんなことを言われても、目移りして(主に値札のせいで)選べません!
と、思っていたけど、こんな機会でなければ宝石なんて見ないだろうなと、思いじっくりと見ていく。
そうして、最終的に指輪とネックレスを選びました。
そうなのです。誕生日プレゼントのネックレスだけでなく、婚約指輪まで選び終わりました。
……おかしいな? お付き合いを始めたばかりですよね、私達。