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閑話 浮かれた俺がやらかしたことが、こんなことになるなんて

 これは俺の迂闊さが招いたことだ。……いや、はっきり言おう。浮かれていた俺が悪い、と。


 今までは彼女に躱される日々だったのだが、彼女が甘えるという行動をしてくれた。それも仕事中に。


 真面目な彼女がそんなことをしてくると思わなかったから、舞い上がったのだと。


 だからそのあと行った成田さんのところで、必要な話を終えた後に世間話として聞いてきた彼女との付き合いのことを、つい『土曜日に出かける約束をやっとしてもらえた』と話してしまったのだ。


 成田さんはあのパーティーでのことを知っていたし、夫人が俺と彼女のことを好意的に見てくれたことはわかっていた。だから部屋の隅で成田さんのお嬢さんが控えていたことも、普通に秘書としているのだろうとしか認識していなかった。


 成田さんのお嬢さん……いや娘は、そのことを好機と捉えたようだ。俺たちが帰った後、給湯室でぶつぶつと呟きながら、策を練っていたらしい。それを他の秘書が聞きつけ、父親で社長の成田さんに報告をしたそうだ。


 成田さんは俺が御大に気に入られていることを知っていた。そんな俺のことに水を差すような行動をしようとしている娘に、諦めるように話をしたそうだが、娘は聞き入れなかったそうだ。それどころか自分と俺の結婚の有益性を説いてきたらしい。


 娘の愚かな妄想を聞いて危惧した成田さんは、すぐに夫人に連絡を取った。夫人は会社に来て話を聞き娘とも話をしたが、熱に浮かされたように妄想を吐く姿に、すぐに諦めてしまったらしい。


 そして成田さんは御大に、夫人は母へと連絡を取ったそうで、母が父に連絡をした時には、御大から母も伴って来るようにと父のところに連絡が来ていたそうだ。



 車の中で説明されたこのことに、俺はあ然とした。御大と呼ばれる御仁に気に入られている自覚は、もちろんある。だが、それでもこれは異常な事態だろう。パーティーの時に思った、上流階級の娯楽としては、逸脱しすぎている。


 そして御大に会い、言われたこと。それは。


「克明。お前は何も言わずに囮となれ」


 だった。


 簡単に説明されたのは、あのパーティーで俺が結婚相手の優良株だということが、お嬢様方にバレたこと。成田さんの娘のことからも、他のお嬢様方も知ったら俺に接触してくるだろう。そこを一網打尽(……この言い方でいいのか?)にして、説教&排除をするそうだ。


 そして、御大から思いがけない話を聞かされることになった。


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