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149 待ち合わせ場所に着いて……

「おはよう、茉莉」


 土曜日です。デートの日です。待ち合わせ場所には、ブルーのシャツがよく似合う、とても格好いい人が待っていました。爽やかさ全開のいい笑顔で挨拶をされました、よ。

 白い歯がキラリと光ったように見えたのは、何かのフィルターが私の眼に掛かっているのでしょうか?(やけくそ気味……)


 そんな富永氏を見ていた女性たちが、頬を赤く染めています。……というか、先に聞いていたとはいえ、これかよと、ここに着いた時に思いました。


 うん。正確に今の状況を言いましょう。富永氏の周りには、肉食系女子が十数人取り囲んでいました。一人で待っている富永氏に声をかけたのでしょうけど、富永氏は無表情でスルーしていました。


 えーと、なんでそれを知っているのかと言いますと……私、待ち合わせの30分前にここに来ました。そうしたら、富永氏はもう待っていたのです。この時点で2人の女性が富永氏に纏わりついていました。富永氏は煩わしそうにしていましたけど、女性たちはお構いなしに富永氏に話しかけていましたね。


 表情を変えないようにしているけど、不機嫌なのがまるわかりの富永氏。これはやばいかなと見つめていたら、彼女たちの友人なのでしょうか、もう3人の方が加わりましてね。


 二歩ほど隠れている場所から離れてしまいましたよ。いやだって、姦しいにもほどがありますもの。黄色い歓声を上げてから……。


「俳優の方ですか? それともモデルをしていらっしゃいますか?」

「えー、よく見なさいよ。そんな俗物的な職業のわけがないでしょ。きっとCEOとかエグゼクティブなことをしているのよ」


 などとキャーキャーと騒ぎたててくれまして。おかげで有名人らしいと勘違いした女性がもう数名富永氏を囲む……というカオスな状況が、あっという間に生み出されてしまいました。


 私は一つため息を吐き出してから、気合を入れました。そして、富永氏に姿を見えるように動いたら、見つけた彼が挨拶をしてくれたというわけです。なので、私も挨拶を返します。


「おはようございます、富永さん」

「茉莉、違うだろう」


 器用に女性たちの輪から抜け出した富永氏が、にこやかに笑いましたけど……圧を感じるのはなぜでしょうか?


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