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閑話 はあ~と、ため息を吐きたい

 今回の騒動の元凶である奥志田さんのその後まで聞いてから、俺と彼女は2課へと行った。まだ岸本たちは戻ってきていなかった。


 東田たちは落ち着かない感じで待っていた。……というより落ち着くためなのか、それとも手持無沙汰をどうにかしたかったからなのか、部屋の掃除をしていた。


 俺たちが戻り、彼女が偽資料についての説明をしようとしたときに、岸本たちも戻ってきた。ついでにその親たちも。彼らとともに謝罪をすると共に、ちょうど彼女が手に持った資料に目を付けた。そして、会議室に逆戻りして、偽資料の説明を一緒に聞いていた。


 彼らが気がつかなかったのは、その数字が見慣れたものであったからだった。今売り出している製品のひとつ前のものを使っていたそうだ。比較するにはいいものであったけど、項目的にはおかしいものが入っていて、そこをよく見ればわかったはずと言った。


 そして2課のことは戸塚部長に任せて後にした。このあとには支社長会議が行われることになっている。議題は約ひと月後に行われる50周年パーティーのことを含んでいた。どうやら今日のことは彼らの裏取りも済んだから、会議に併せて行ったようだ。


 もう一度本部長室に彼女と戻った。彼女は自分のデスクで休んでいた間の資料を、確認している。それから小暮が用意した資料に間違いがないか、もう一度目を通した。俺にも確認をしてから「人数分の資料をコピーしてきます」と言って、本部長室を出て行った。


 一人になり……俺はおもむろに手をあげて口元を覆って……ため息を飲み込んだのだった。



 岸本たちの不正……会社の重役である父親の名前をちらつかせて、意中の女性を異動させたということだったと知った時には、正直気が抜けた。それよりも彼女が監査部の者だということに驚かされた。


 それを聞いて、親父たちが寄越した俺の(・・)監視役だと思い、一瞬頭が沸騰した。散々彼女を俺の嫁候補と思わせるようなことをしておいて、実際はそれかよ! 悪態をついて何とか気持ちを宥めようと思ったが、気持ちが収まらない。八つ当たりなのはわかっているが、帰りに自宅に彼女を連れ込んで……と、邪な考えが頭をもたげた。


 すぐに誤解だとわかったけど、な。それよりも、やはり親父たちの鬼畜な指令に解せないものがある。彼女は誤解しているようだが、俺だって監査部のことは知っていた。だが、秘書課の人間が監査部に所属していることが、そもそもおかしいのだ。


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