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140 スラングで悪態をつかないでください

「で、ここまでは富永氏が帰ってくるまでの話です。富永氏からやっと帰国すると返事が来た時には、社長たちはかなり怒っていました。特に凛香さんの怒りが凄くて……。しばらくしていい顔で提案したのが、富永氏には何も知らせないということでした。もう小暮さんが2課に入っていたので、本当なら私が2課に行く必要はなかったのですけど、計画を変更して私主体で進めることになりました」


 私はここでまたお茶を一口飲みました。富永氏は『凛香さんが……』のくだりで「ウッ」と呻いていましたけど、私は知りません。あとで凛香さんにこってりと嫌味交じりのお説教をされてくださいね。


「先ほど言った、富永さんが観察対象というのはそういうわけでしたから。ついでに余計な指示まで入ってきたことには辟易しましたよ」

「余計な指示とは?」


 何故か、富永氏は若干顔色を悪くして、恐る恐る聞いてきました。私は先ほどデスクからパンフレットと一緒に持ってきた指示書を富永氏に渡した。富永氏はそれをパラパラと見ていき……顔を蒼褪めさせたのよ。


「親父たちは鬼畜か」

「誰のせいでこうなったと思っているんですか。富永氏が彼らの相手をしてくれれば、私は観察するだけで済んだのですからね」


 少しむくれ気味に文句を言えば、「そんなわけあるか」と返された。


「これのどこが観察だ。能力測定までが監査の仕事になるか! それにどうして取引先まで巻き込んでやがる。偽の資料ってなんなんだよ!」


 仕方がないでしょう。指示がそうなんだからさ。……でも口調が崩れてきているから、それを指摘して冷静になってもらおう。


「言葉がかなり崩れていますけど」

「ああ? なんなら本場仕込みのスラングで悪態をついてやろうか?」


 ……逆ギレされました。かなり早口のスラングが口から出てきますけど……なんとなく意味はわかるけどさ。言う相手を間違えてないか? 是非とも本人にお願いします!


 しばらくぶつくさと言って発散して、落ち着いてきたみたいなので、グラスにお茶を注いだ。それを一息で飲み干した富永氏は、盛大にため息を吐き出した。


「くっそー、面白くねえ」


 そう言って私のことを見てきたけど……なんか身の危険を感じるんですけど。身を引いて、若干デスクから椅子を離れさせても悪くないですよね。


「ほら、さっさと何があったか話せ。事と次第によっては……」


 意味深に言葉を切って、ニヤリと笑わないでくれませんか! 

 八つ当たりは禁止です!


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