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134 経緯は順を追って話します……の前に

 私の言葉に富永氏は面食らったような顔をした。私にこう言われるとは思っていなかったのでしょうね。でも、凛香さんから『やっちまいな!』と言われたので、容赦はする気がないです。


 私は一息にグラスに入れたお茶を飲み干し、ペットボトルからもう一杯注いでから話しだした。


「これから順を追って話しますけど、途中で話の腰を折らないでくださいね」

「ちょっと待て。その前に、大石は何者(・・)なんだ」


 ……あー、そこからか。富永氏(この人)もこれから会社の運営に関わるわけだし、そのことについても先に話すべきよね。


「私の所属は監査部なんです」

「監査部? 秘書課ではなくて」

「いえ。秘書課にも所属しています。というか、普段は秘書が主な仕事です」


 富永氏の顔にハテナマークが浮かんで見える。これはそこもきちんと説明した方がよさそうだ。


「富永さんはうちの会社の組織図を覚えていますか」

「うろ覚えだが大体は」

「その組織図に監査部はありません」

「ない? それじゃあ、秘密裏に作られたものなのか」


 う~ん、秘密には秘密なんだけど、意味合いが違うんだよね。


「秘密と言えば秘密なのですけど、……ちょっと待ってください」


 私は自分の机から会社の概要が書かれたパンフレットを持ってきた。略式の組織図のページを開いて、富永氏の前に置く。


「えーと、監査って本来は会計の帳簿やらと通帳やらの相違がないことを確認して、総会の時に発言するのが仕事という、その時だけの役職だと思われてますよね。うちの会社ではそういったのと別に置かれています。位置としては人事部からの派生になりますね」


 そう言って、ペンで人事部の下に線を引いた。


「仕事内容は査定の調査が主になります」

「査定の調査? ああ、だから人事部の下なのか。……いや、待てよ。それなら調査部門を作った方がいいのではないか」


 富永氏はもっともなことを言った。……でも、すぐに「それでは駄目だから、表に出してないのか」と呟いたので、隠している意図は察したようだ。


「そういうわけなので、私だけでなく各所に監査部に所属している人がいますよ」


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