表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

166/216

131 ということで天誅……じゃなくて親からの説教を受けてくださいね

 私が声を掛けたので扉が開いた。そこから年配の男性が数人、顔を見せた。……だけでなく、女性も数人男性に続いて姿を見せた。


「この、馬鹿息子が! 勝手に人事異動をさせるなどとは、心得違いもいいところだろう!」


 ツカツカと靴音を鳴らして岸本君のところに歩いて行った方が、町田ヨーロッパ統括部長なのでしょう。他の男性方もそれぞれの子息のほうへと歩いて行かれた。女性方は母親なのでしょうね。事務職の女性のほうへと来て、挨拶&謝罪をしているもの。


 後ろの方にいる五人は、目を丸くして見ているけど、すぐに狼狽えて視線が泳ぎ出した。その視線が私を捉えると縋るような目で見てきた。私は最後に入ってきた戸塚部長に軽く目礼をしてから「関係がない人は2課に戻っていいですか」と聞いた。


「ああ、そうだな。西岡、お前たちは戻っていてくれ。今日の午前は緊急な案件がない限り、外出はなしな」

「「「「「はい、わかりました!」」」」」


 五人は返事をすると、ささっと部屋から出て行った。


 残った私と富永氏は戸塚部長にこいこいと手招きをされて、隣の部屋へと移動した。部屋を出る前に、縋るような目を女性たちに向けられたけど、気づかなかったふりで部屋を出た。


 そう、これは大事なことだ。今後のいろいろなことに関わってくるのだから、きっちり話し合いは済ませてほしいと思う。


 うん。部屋を出る時に『ゴン』とか『バキッ』とか聞こえてきたけど、気にしちゃいけないよね。……というか、もっと早くに躾はしておいてほしかったと思います。


 隣の部屋の中に入ったところで、戸塚部長に言われました。


「大石さん、ご苦労様だったね」

「本当に疲れましたよ。でも、三か月を目一杯引っ張らなくてよかったです」


 渋面で返事をしたら、部長の頬がひくついた。それでも笑みを口元に浮かべて、言葉を返そうと口を開いたのに、先に富永氏が文句を言いだしました。


「いい加減、説明をしてくれませんか、戸塚部長。俺に黙って進めていたのは、俺に首を突っ込まれたくなかったからなんですよね」


 低い声と射殺しそうな眼に、別の意味で頬を引くつかせる戸塚部長。


「もちろん、説明はするとも。大石さんがな」


 と、答えましたよ。


 ……って、おい!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ