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129 不正とは……

「それでは、さくさくと話を進めていきたいと思います。今回の不正のことですが、岸本さん、永井さん、吉田さん、上矢さん、高杉さん。あなた方は自分の意中の人を人事部の人に圧力をかけて、営業2課に移動させるようにしましたね。ちゃんと、証言も証拠も押さえてありますからね」


 私がそう言ったら、隣から小さく「はっ?」と言うのが聞こえてきた。視線を向けたら富永氏は誤魔化すように「んん?」と、喉に手を当てている。喉の調子がおかしいことにしたいようね。


 私は視線を彼らに戻して、言葉を続けた。


「そして、2課に彼女たちが来てから、時々不当な残業をさせていますよね。明らかにパワハラですね」

「ちょっと、待ってよ、大石さん。不当な残業って何? 俺らがそんなことするわけないじゃん。ちゃんと正当な理由で書類の作成をお願いしたんだよ」


 永井さんが慌てて言い訳(・・・)を口にした。


 ……そう、言い訳。書類作成は彼女たちの仕事だけど、あえて(・・・)残業してまでしなければならないほど、急ぎ(・・)ではなかったものだということは、ちゃんと調べはついているんだよね。


「大石、言わないつもりの言葉を呟いている態を装って、本音を吐くなよ。反論にも理由にもならないことを言っているとはいえ、ちゃんと説明してやれ」

「えー、ぶっちゃけ、面倒なんですけど。本来なら私じゃなくて戸塚部長辺りが、サクッと終わらせられる話でしょう。なんで私がこんなことしなきゃならないんですか」

「それを戸塚部長がするとまずいから、大石に話が来たんだろ」


 つい、嫌々やっている事情から、ぶつくさと呟いてしまったら、どうやら彼らの素性に気がついたらしい富永氏が、合いの手を入れてきた。……いや、合いの手ではないんだけどさ。


 まあ、いいや。このあと、実際にお説教&実刑に関しては、あの方々が伝えてくれると言っていたから、本当にサクッと終わらせよう。


「先ほども言いましたけど、ちゃんと裏取りは済んでいますからね。彼女たちが急遽書類作成を頼まれて残業することになった資料は、必ず(・・)翌日までに必要なものではなかったはずです。その残業の日は、大体が合コンやミニ同窓会など、彼女たちが男性と会う約束をしている日だったことはわかっています。それも、少し遅れる程度でその場に行かせていたのも知っています。ついでに言うと、なんやかやと理由をつけて、会場まで送り届けていたことも。そんな威嚇するようなことをするくらいなら、さっさと告白していればよかったのに」


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