127 戸惑いの課員たち
目を点にして固まる2課の男性たち。富永氏は……ん? なんか面白そうに見ていますか? まあ、いいか。そちらは後にしましょう。
「えっと、私達も観察対象?」
戸惑った声をあげたのは、2課ではあまり成績がふるっていない男性、……東田さんが言った。座っている位置も私の真正面くらい。
「もちろんです」
にっこり笑顔で答えたら、なぜか驚愕の表情をして岸本君たちを見つめた。あー、やはり彼らもなんとなく気がついていたのか。
2課には男性が12名と女性が6名(もちろん私と富永氏を含んで)います。男性はそのうちの小暮君と富永氏を抜かした10人が元々の2課のメンバーです。2課に来て見ていて分かったことだけど、課内で格差があったのよ。別に東田さんたちが劣っているわけではないけど、半分の人たちの成績が良すぎたんだよね。
でも、これは不正をして成績を上げていたわけではないのはわかっているの。彼らの交渉術と……後ろにいる人達の名前が、ものを言っただけでしょう。そのことは上層部も分かっているから、あえて優秀な彼らを、2課に集めたのだし。
というよりも、前任の課長である有坂さんが、それを目当てに集めたという方が正しいか。
「ねえ、大石さん。今、富永課長も観察対象だって言った?」
「言いましたけど」
「なんで課長まで」
はてなを顔に浮かべながら、東田さんの隣に座っている西岡さんが聞いてきた。
「もちろん邪魔をされないためですよ。事情を知らない人に引っかきまわされたくはないですからね」
そう答えてから、私は視線を岸本君、永井君、吉田君、上矢君、高杉君へと向けたのでした。