125 断罪の時間です
「なんか……すげぇ」
「あれ、見えてんの?」
ざわざわと騒めいているのを聞き流して、次から次へとファイルを開いては閉じ開いては閉じ、たまに印刷をして閉じることをしていた。その様子を2課の営業の彼らが、見つめている……ようだ。
ざっくりと流し見で、私がいなかった間の、資料作成や他のあれこれを確認した。先ほど小暮さんが見せてくれたものも、データを確認しておく。
一応、電源を落としてから私は後ろにいる人たちのほうを向いた。
「お待たせいたしました。ここではなんですから、移動しましょうか」
立ち上がって歩き出そうとしたら、富永氏に待ったをかけられた。
「待ちたまえ、大石君。君はさっきから何をしているのだ」
訝しげな表情で聞いてきた。
「それはここでは説明できませんので、移動した先で言います。小暮さん、第一会議室でいいのですよね」
「そう聞いているよ」
「わかりました。それでは」
小暮君とのやり取りを、課内の人間は驚いたように見ていた。私は三隅さんたち女性を促して、男性より先に廊下に出た。並ぶように歩く三隅さんが囁いてきた。
「本当に大丈夫なの」
「もちろん。任せて」
顔を見ていないけど、声の感じから不安なのが伝わってくる。でも、これ以上はまだ言えない。彼らに警戒心を抱かせる訳にはいかないのだから。
会議室に入り、女性たちには扉に近い側の席に座ってもらう。部屋に入ってきた男性たちは……富永氏は私のそばの正面の席に、他は扉から遠い側に岸本君から順番に座っていった。小暮君は最後に扉を閉めて、外からカギをかけた。小暮君が入ってこないことに驚いて、みんなは私のことを見てきたけど、私が何も言わないので口を開く人はいなかった。
みんなが着席したのを確認して、私はテーブルに左手をついて、それに体重を預けるように前屈みになった。ついでに不敵な笑みを浮かべる。
「それでは只今から、営業2課において行われていた、不正について摘発させていただきます!」