123 休んでいた間のことを確認します
「おはようございます」
ドアが開くと共に爽やかな声が聞こえてきました。顔を出したのは、私と共に富永氏付きになった小暮さんです。
「ああ、おはよう、小暮君」
「おはようございます、小暮さん。急に休みをいただきまして、ご迷惑をおかけしました」
私のあいさつに小暮さんはにこっと笑ってくれました。
「お帰りなさい、大石さん。ゆっくり休めましたか? 休みを取るのは当たり前のことなので、気にしないでくださいね。迷惑は……まあ、掛けられてないですよ」
最後のセリフで微妙な視線を富永氏へと向ける小暮さん。……つまり『わたし』ではなくて『富永氏』か『営業2課』に、迷惑をかけられたということだろう。
それを問いたい気持ちもあったけど、今は後回しとしておこう。
「それでは私が休んでいた間のことを教えていただけますか」
小暮さんは私が休んでいた間に出来上がった書類と資料やらを渡してくれた。まずは2課のもののようだ。課長の印が押されているものがあったから。資料を見ながら、ため息を吐きたくなるのを、なんとかこらえた。
次に本部長の秘書としての仕事のことを教えてもらう。こちらは取引先とは何もなかった。まあ、この時期だし、早急にしなければならないことはないのだろう。
それよりも9月に行う50周年記念パーティーの、招待客が増えるかもしれない……そうだ。ここ数年事業提携を持ち掛けている会社が、やっと色よい返事をしてくれ……そうなのだとか。
うん。頼むからすっきりはっきりさせてください、社長。
まだ、確定していないことだからと、その会社名も教えてくれなかったらしい。
……もう一度言おう。社長! そういうことは可及的速やかに、すっきりはっきりさせてください!