閑話 デートプランを考えよう
昨日よりは遅くなったけど、それでも一時間くらい遅いくらいで会社をあとにした。タクシーに乗り、なじみの運転手が「ご自宅でいいですか」と聞いてきた。「ああ、頼む」と答えて、シートへと体を預けた。
先ほどは『なるべく早く仕事を終わらせる』と送ったら、『他社との会合はないのですね。会社を出られる時に、お知らせをいただけると助かります』とすぐに返ってきた。なので、本部長室をでる前に『これから会社を出る』と送った。またすぐに『気を付けてお帰りくださいね。お待ちしています』の言葉が。
そのやり取りが新婚ぽくてなんかいいなと思ってしまった。
このまま、彼女を帰さないで一緒に暮らすというのはどうだろう? 説得するのに体からって……駄目だよな。いや、でも、体調がよければ、その流れに持っていって……。今までなんどお預けにされたことか。今日こそ、そうなっても……。待っていてくれるということは、その気があるってことだよな。
いや待てよ。食材が余る云々とメッセージに書いていたよな。彼女の性格を考えると、本当に、純粋に、食材を傷める心配をしただけとか? ……あり得るよな。
せっかく付き合う気になったのに、ここで対応を間違えて、付き合うのは無しと言われでもしたら……。俺は立ち直れないかもしれない。
それに思い出したが、あのせいで彼女の誕生日を祝っていない。もちろん……というか、誕生日プレゼントも買いそびれてしまった。
当初の計画では誕生日に彼女を連れてジュエリーショップに行き、彼女が気に入ったものをプレゼントするつもりだった。それから食事に行って、その後甘い時間を過ごそうと考えたのだ。
それを今日……ではなくて今度の土曜日に。……いや、その前に彼女の予定はどうなのだろうか。もう、奴と別れたのだから、母のところに行くことを理由にはできない。
……待て待て、俺! 彼女とはお付き合いをすることになったんだ。理由なんて『デートに行こう!』でいいじゃないか。
それに彼女は初めての経験になるのだから、記念に残る忘れない思い出にしてあげたい。
よし。今日は食事を食べ終えたら、早々に送って行こう。そして、デートの計画を立てることにするのだ。