121 今日の夕飯は何にしよう?
遅くなりました。
予約ではなくて直接の投稿です。
只今の私は……ゼーハーゼーハーと、荒くなった息を整えるために壁に寄りかかっています。こんなことになるのなら、見送りなんてするんじゃなかった。
揶揄うというか私が今日まで休むようにさせるために、ソファーに運んで不穏な雰囲気を醸し出して遊んでいた富永氏は、時計を見て時間を確認すると、何事もなかったようにカバンを持って玄関へと向かった。但し私に、「とにかく一日休んでいるように」と、念押しをするのは忘れなかったのよ。
私も玄関まで富永氏の後をついていったの。靴を履いてこちらを向いた富永氏に笑顔を向けた。
「行ってらっしゃい、……克明さん」
小声で名前を付け足すように言ったら、驚きに目を見開いた富永氏に捕まって、壁に押しつけられるようにして激しめのキスをされてしまいました。唇を離した富永氏はボソッと「仕事を休んで茉莉を一日中かわいがるか」などと言うのを聞いて、背筋を冷たいものが流れ落ちていく気がしたのよ。
だって、私を見る目が……獰猛な肉食獣のような光をたたえている気がして……。本当に食べられるのかと思ったわよ。
まあ、でも、もう一度軽くキスをして「いい子で待ってろよ」と言って、富永氏は出掛けていったけどね。
扉が閉まってカギがかかる音が聞こえて、ほっとした私はへたり込みそうになったけど……何とか持ちこたえたの。
動けるようになって、キッチンへと戻った。使った食器を軽く洗い食洗器に入れながら、これから何をしようと考えて……シーツを洗濯することにした。
リビングを通って富永氏の部屋へと向かおうとして……メッセージの着信音が聞こえた気がした。音の出所に向かうと、私のバッグが置いてあった。……どうやら昨日はかなりボケボケになっていたようだ。着替えを取りに客間に行くのに、バッグを持っていくのを忘れたなんて。
携帯を取り出してメッセージを確認する。
「これは」
呟きが漏れた。しばし自失したのち、私は動き出した。まずはシーツを洗うために富永氏の部屋へと行き、ベッドからはぎ取り洗濯機に放り込んだ。たしか浴室乾燥仕様だったと、浴室を確認をする。
それから冷蔵庫の中身を確認して、何を作ろうかと考える。土曜まで料理が出来るかどうかわからないだろうから、あまり食材は残さない方がいいのかな。
……あとで、何が食べたいか富永氏にメッセージを送ろうと考えて……先ほどのメッセージの内容を思い出してしまい、気を引き締めないと、と思ったのでした。