106 休みの間の話を……
ちゃんと聞いてくれるみたいなので、サクサクと話していくことにしましょうかね。
「えーと、どこから話そうかしら。……やはりここから帰ってからのところからにしますね。先週の日曜日はアパートに戻っても何もする気が起きなくて、午後は何もせずに早々に休みました。翌日は、今まで干せなかった布団を干したり、シーツの洗濯をしたり、部屋の片づけをして過ごしました」
そこまで言ったら「茉莉」と富永氏が言いました。なんだろうと、言葉を止めて富永氏のことを見たら「実家に帰らなかったのか」と言われました。
「すぐに実家へ戻る気にならなかったんです。家に戻っても誰もいませんもの。それにここのところの忙しさで出来なかったことをしておこうとも思いましたし。なので火曜日には鈴音と会いました。私の話を聞いてもらって、思いがけないことを言われたりもしました」
言葉を切って、一口冷茶を飲んで喉を湿らせた。富永氏はまた微妙な表情をしている。これは余計なことを言ったというところかしら?
「私、自分が置いて逝かれることばかり考えていたけど、置いて逝くかもしれないとは考えたことが無かったんです。それを指摘されて、目から鱗が落ちた気分でした。鈴音に答えは出ているでしょうとも言われて、素直に頷ける自分がいたんです」
この言葉に微かに表情が明るくなる富永氏。
「でも、悩まされることも言われてしまって。それを水曜日は考えていたのですけど、どうしてもわからなくて。なので、他の友人にそのことを確認してみることにしました。でも、友人は結婚式の直前で忙しいだろうから、終わってからにしようと思ったのです」
そう言ったら、「結婚式?」と、富永氏が叫ぶように言いました。
「はい、そうです。……あっ、もしかして言いませんでした? 土曜日に地元で友人が結婚式をするのと、日曜に法事があったのと、他の友人からあるものを探してほしいと頼まれて、なので土日の前後を休むことにしたと……」
富永氏は何も言わなかったけど、顔を見ればわかるね。……そういえば、休みの変更ができないかと言われたのだっけ。あの時は頭が回らなくて、休みを変えるなんてできないと思ったのよ。