102 帰ってきたから連絡をします
先ほどから携帯の時計をじっと見つめていた私。12時30分になったとたんに、メッセージを送信した。
送信完了の文字にほお~と息を吐きだした。
月曜日の今日、私が居るのは自分の部屋。実家ではなくて、アパートだった。朝一で向こうを出て、昼前に戻ってきたの。そして、富永氏へとメッセージを送ったのよ。
ピロリロリ~ン ピッピッロ
5分後、携帯電話の着信音が聞こえてきて、私は慌てて携帯電話を掴んだ。名前を見て、ドキリと心臓が音をたてた。
「は、はい」
『茉莉』
聞こえてきた声に、息を呑んだ。軽く息を吸ってから、努めて冷静に聞こえるように声を出した。
「今、お話をして大丈夫ですか」
『ああ。本部長室に一人でいるからな。……元気だったか』
「えーと、大げさじゃないですか、その言い方は。それとも富永さんは体調を崩されたのですか」
『いや。まあ、そうだな。……ところで、今どこにいるんだ』
「自分のアパートです」
『そうか。……話があるってメッセージだったけど?』
「そうなのですけど、富永さんは……本部長の仕事がありますよね」
『なるべく早く戻るから、俺の部屋で待っていてくれ』
「富永さんの部屋ですか……」
私は躊躇して、言葉を濁すように呟いた。
『そうだ。……駄目か?』
「わ、かりました。富永さんの部屋でお待ちしています」
『じゃあ、あとで』
通話が切れると、私は盛大に息を吐きだしたのでした。