91 火曜日は、友人に……泣きついた
「もう、茉莉ってば、水臭いんだから~!」
私の話を聞いてくれた鈴音は、私が話し終わると開口一番に言った。
「ほんとにもう! でも、その前に水分を補給しようね。それと、持ってきてくれたメロンを切るから一緒に食べよう」
「えっ、いいよ、それは。くにっちと桃ちゃんと食べてよ」
「いいの、いいの。こんな大きいメロンだもの。今食べるのは二人で四分の一くらいなんだからさ。残りは輝君と娘と食べるから、大丈夫」
「それなら、私がやろうか?」
「いいから、茉莉は座っていて」
妊婦の鈴音が動いているのに私は座っていていいのかと思うけど、先ほどまで泣きながら話していたから、瞼は腫れていることだろう。申しわけないけどお任せしてしまった。
麦茶とメロンで喉を潤した。うん。鈴音が言う通りに、水分を欲していたんだな。
ひとごこちついてから、鈴音が口を開いた。
「それにしても、やっと言ってくれたね」
「えーと、それは?」
笑みを浮かべて私のことを見る鈴音。
「だから、家族のことで臆病になっていたことだよ。茉莉は気がついてなかったかもしれないけど、みんなね、心配していたんだよ。でもよかった~。泣くくらいそばにいたい人が出来て」
「みんなって?」
「みんなはみんなよ。まあ、この場合は大学からの友人たちだけどね」
大学の時の友人たちに心配をかけていたとは思わなかった。彼らとは年に2~3回顔を合わせるくらいだったから。
「でもなー、宮君は、ショック受けるだろうな。茉莉に結婚したい相手が出来たと知ったらさー」
「ちょっと待って。私は結婚したいんじゃなくて、お付き合いをどうしようかと思っている、という相談をしたんだけど」
そう言ったら、鈴音は真顔になって私のことを見てきた。
「あのね、さっきの話のどこに、相談があったわけ? 茉莉はもう答えを出しているじゃない」
「どこがよ」
私がむくれ気味に答えたら、鈴音はため息を吐き出したのでした。