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10 お持ち帰りをされるらしい -お姫様抱っこ-

 しばらく睨み合いが続いたけど、ふっと富永氏は息を吐きだした。


「すみません、向陽町に向かってください」

「向陽町ですね。では発進します」


 どうやらうちに送ってもらえることになったようだ。タクシーも動き出し、ホッと体の力を抜いたのに、富永氏の言葉にまた力が入ってしまった。


「着替えとか必要なものを持ったら、すぐに出るからな」

「はあ?」


 聞き間違いだろうか? 着替えということは、お泊りの支度をしろということか?


「どういうことですか」

「そんな状態で一人にできるか」

「大丈夫ですけど」

「大丈夫に見えないから言っている」


 どこの過保護な親だと思いながら、私は黙った。そうしたら。


「なんなら、泊まってやってもいいんだぞ」

「それは嫌です!」


 即答したら、何がツボったのか「クックッ」と笑いだした。目じりに笑いしわが出来るんだと、なぜかそう思った。


 冗談だろうと思っていたのに、私のアパートについたら、タクシーに待っていてくれと言って、部屋までついてきた。……いや、まだちゃんと歩けないから、付き添ってくれたというほうが正しいか。でも、部屋の鍵を開けて玄関に一緒に入ってくるって……本気か?


 富永氏にせっつかれて着替えとパジャマと旅行用のあれこれが入ったポーチをバッグに詰めたら、その荷物ごと抱えあげられて、またタクシーに乗せられてしまった。


 えっ? マジ? 本気でお持ち帰りされるの?


 富永氏の家……部屋は流石のセレブ御用達のマンション。いや、オクションでしょう、これは。コンシェルジュがいるって何? 


 逃げられないようにするためか、その前をお姫様抱っこされて通るって、どんな拷問よ!

 ……って、歩けないからなんだけどさ。本当は。


 そのまま富永氏の部屋(22階建ての最上階)に連れ込まれたのでした。


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