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フィールド調査3

「シャッターからヘリポートまで20メートル、ヘリが2機収容されてる時の通路幅は3メートル」


「あの?」


「整備中のヘリは隠れ場所になり得る、それ以外にも死角は多い、工具棚、牽引車、修理中のエンジン」


「あのー?」


 エレベーターを降りてすぐのところにあるのがヘリポートと格納庫、ここは東西南北の門を通らずに中へ侵入できる唯一の場所なので一層細かく調べておく。

 巻尺伸ばしたり物陰を覗いたりするサーティエイトを前例に漏れず変な目で見るのがメカニックねーちゃんコンビ、それぞれ茶髪のセミロングと三つ編みでツナギの作業着姿、セミロングがクーで、三つ編みがマオである。普段はここでひたすら機械をいじくっているが、航空隊の人手が足りない時にはドアガンナーをやったり後部座席に座ったりする、操縦桿を握る事もできた筈。ライフルも握れる事は握れるだろうが、まぁ、戦闘隊(プロ)からしてみれば所謂ドングリというやつでしかない。


「失礼、このドアの先は?」


「私らの寝床……」


「ちょい中を見てもよろしいですかね?」


「いいけど……あ、いや待ってまだだめ隠し撮りした写しゲフンゲフン!」


 シオンが2人に聞くと「片付けるからー!」などと言いつつクーが慌てて室内へと飛び込み、どすんばたんやり出したので一度目を離し、他のドアを調べておく。すぐ近くにあったのは外に繋がっており、核シェルターの扉を挟んで司令部が見えた。シェルター入口までは10m、司令部の壁までは20mほどだろうか。その円形の空間には遮蔽物が何も無く、内周部では最も広い場所である。シェルター内部へと続く道は封鎖されており、しかし黄色いテープが数本張られているのみだ、侵入者にとっては知ったこっちゃなかろう。関係者はわけのわからないウイルスの存在を知っているのでまったく近付きたがらないものの、「完全殺菌には成功したっぽい」とメルが一言。


「お待たせー! もう何してもいいよぉー何なら今晩ふへへへへ……」


 とかなんとかやってる間にクーが戻ってきた、彼女の額に手を当てまとわりつくのを阻止しつつ中を覗いてみれば推定4畳半、布団が2セット敷かれているのみで目につくようなものは無かった。ドアの施錠はごく普通、内側からなら自由に開けられるが外側からだと鍵がいる。

 というかここに住んでるのかこのねーちゃんコンビ、他の男性作業員もいるのだが。


「シュミレーションしましょう」


「何の?」


「着陸したヘリに敵が潜んでいて、パイロットは既に制圧されたものとします。2人は直後に異変を察してヘリを確認」


 なんて、部屋のドアを閉めてすぐ、クーとマオに言ってみる。そこらにあったプラスチック製の結束バンドをメルに渡して、ヒナとフェルトを合わせた3人が駐機場のヘリコプターまで駆けていく。鈴蘭を邪魔にならない位置まで下げたのち、「はいスタート」と言えば、とりあえずといった感じに2人は駐機場を確認しにいく。


「ぼっ……」


 格納庫の外に出たかどうか、というところでまずクーが消えた。シオンと鈴蘭からはフェルトに口を塞がれ物陰に消えていく彼女が見えていたが、マオからは見えず、いきなりの相棒失踪にポカンと立ち止まってしまった。そうなったらもう手遅れ、メルに背後を取られて同じ目に遭い、それぞれをヒナが結束バンドで拘束していく。


「5秒もたないとは」


「こういうのは説明してからスタートしてくだしゃんせーーっ!!」


「これから襲いまーす! なんて敵が言うとでも?」


 赤子の手をひねるが如く転がされたねーちゃんず、取るに足らない相手だというのが判明した。ヘリポートからの侵入を想定していない、というか現状する必要が無いので仕方ないといえばそうだが。


「ほどいて……」


「よし、絶対見ないといけない場所は見た、そろそろ実技の時間なので戻りますよ」


「実技?」


「担当する任務と直結する能力のテスト、私らの場合は射撃能力です」


「ほどいて……」


「ベニヤで作った家に的が置いてあって、兵士が突入して順番に撃っていくやつ。まぁ鈴蘭は見学しててください、4人ワンセットのテストなんで。長距離射撃のテストもありますから、やってみたいならそちらを受けれるようお願いしてみましょう」


 外周部の構造は知り尽くしているし、ぶっちゃけ、どこにいっても同じ造りの家が並んでるだけである。偉いさん方の住居は除外として、商店街エリアもできれば見ておきたいが、日中は人通りが多いのでゆっくりと計測できない、夜にまた行く事としよう。「今回は記録更新できそう?」「だから弾の射程的にこれ以上無理」なんてメルとヒナが話す中、着替えと武器を取りに行くべく自宅へ体を向け、


「ほどいてぇぇぇぇ!!」


 その下でねーちゃんずが悲鳴を上げた。

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