筆記
筆記試験 一般常識(総隊共通、100点満点)
ティー 100
レア 96
フェイ 88
アリソン 90
クー 78
マオ 78
シオン 72
ヒナ 10
メル 94
フェルト 86
鈴蘭 2
60点以下の者は1週間後に追試を行う。
「地球の大気の78%は何が占めている?」
「空気」
「酸素!」
沈黙。
頭を抱える他3人の呟きは「増えた」である、教育係を任された以上いつものヒナの補習だけでは済まされない。
そもそも何故こんなテストがあるか、「我々が目指すべきは知性と理性を備えた兵士であり、トリガーを引くしか能の無いライフル運搬機ではない」とのことで、本当に常識的な、義務教育で習うくらいの問題を50ばかし出してくるのだ。なお出題者はマツタケを送りつけられてご満悦である、5本目くらいまでは小躍りしていたが、全部出し終えた頃には笑顔のまま固まっていた。
いやそんな事はいい、重要なのは2人、ヒナと鈴蘭、このバカ2人。いや鈴蘭は別としてこのバカスナイパー 、計算が一切できないにも関わらず1km先を平然と撃つこのバラエティ級ドバカ。1週間後の追試に落ちればもう1週間補習、その間、壁の外には出られない。
「化学変化の前と後で質量が変わらない事を何という?」
「泥棒がいない」
「等価交換!」
沈黙。
「まぁ……いつもの事だ、最悪ヒナ先生は個人授業(意味深)に突っ込んで廃品回収」
「いやできればあのカンヅメはもう嫌なんだけど…!」
「だったら少しは学べ!!!!」
あの男とて皆をいじめている訳ではない、36÷6-3は?とか、戸棚←これなんて読む?とか、答えられないとマジで恥ずかしいレベルの問題が半分であり、それに5、6の正解をプラスすればクリアできるテストなのだ。まさか赤点が出るとは本人すら思っておらず、最初に行われた時なんかは狼狽された、本当に。追試補習のルールができたのはその後である、これを放っておいたらいけないと思ったらしい。いったい補習で何を学ぶのか、わざわざ教える事などあるのか。
まぁとにかく、そんな感じの1問2点なテストで10点と、えー、2点?
「むしろその2点てなんだ」
「フルマラソンの距離は42.195キロ、これだけ正解」
「よう5ケタも覚えられた……」
「えへへへ」
「「褒めてないんだなぁ」」
焚き火の近くに並んで座らせられたヒナと鈴蘭、シオンとメルに挟まれてヒナは眉を寄せ、鈴蘭は照れている。フェルトはバカの処理を2人に任せて料理に集中、煮ているのは粉々に潰したインディカ米のようだ、東南アジアの粥なのだとか。
「はぁ……とにかく今は二次試験を始末しましょう、お勉強は夜にでも」
「二次試験って何です?」
「明確な答えの無いレポート作成、"敵に侵入された時どうやって撃退するか"を紙に書いて提出します。内容は部隊ごとランダムですが私達のは……隠密行動に長けた10体前後の敵が侵入したため捜索し撃滅。具体的には隠れられそうな場所を探せって事ですわ、私達の目を図ると同時に必要なら隠れられなく改善する」
こちらは筆記と比べてとても実用的な試験だ、評価にモロに響く。レポート用紙と鉛筆は支給されており、後は巻尺でもあれば良し。
「例えばこの場所、バンカーの住人から身を隠すには屋内に入る必要がありますが、基本的に鍵が閉まっています。例え入れたとしてもこの人通りの多さはステルスキルにはまったく向かないので、オツムのある相手ならここは安全地帯です」
なんて感じに、各所を回って危険か安全かを判断していく。ステルスキル、つまり誰にも気付かれず相手を殺害するには相手と同じ人数の味方、隠れ場所、最低1秒以内に接触できるルートが必要だ。家屋にはドアがあり、開けて外に出るだけでも1秒使ってしまうし、あらかじめ開けておくと不審すぎる。侵入者にとってどう考えてもここは襲撃場所には向いていない、という旨をさっそくレポートに記述していく。
「ま要するにスネークをとっ捕まえる算段を立てろってこってす」
「あ、それすごくわかりやすいです」
「サブカル知識は豊富だな……。無力化されたら困る場所から順に巡っていきますよ、司令部、武器庫、ヘリポート、そのへんから」
言いながら、シオンとメルも木箱に座る、同時に粥が器に盛り付けられた。
ジョークというまさしく冗談みたいな名前の粥で、米の原型がなくなるまでクッタクタに煮込んだものだ、フェルトは米を潰しておく事で煮込み時間を短縮している。見た感じ完全にペースト状、なんかの肉(深く考えてはいけない)が混ざっており、それに千切りショウガと三つ葉を乗せて全員に配膳された。
「でもさ、これって確実にアレの話だよね、割と本気で隠れ場所探さないと」
「かなり危険な話だもんねぇ」
「隠れ場所よりまず隠し場所の方が重要な気もしますが」
それに手をつけながらメル、フェルト、シオンが話す。アレというのが何なのかわからない鈴蘭だけはスプーンを口につけつつキョトン顔、話し込む彼女らをしばらく眺める。
「あのぉ?」
「ん? ああ、ごめんなさい」
声をかけるとようやく気付いたシオン、にやりと笑いながらスプーンをひらひら振り、
「実はマツタケを納品した時に……」




