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0811

 工場東500m

 AGX-1"ランドグリーズ"実験アサルトギア

 フェイ




 周り一面が乾いた荒野の中、地下に太い水脈でもあるのだろうか、この場所だけは潤沢な水と植物の育てる土壌があり、踏み込んだ瞬間、湿地に脚を取られた。すぐに移動時荷重移動の設定を変更、ブースターも下向きにする。

 ホバークラフトのような移動方法だ、傍目には変わらないが前進速度が明らかに落ちている。遥か遠くに見送っていた120mm弾が急に近くを通るようになればフェイは舌打ち、湿地帯を脱してフレスベルクのいる荒野へと踏み込む。


「高周波は!?」


「ソフトウェア未搭載な事が判明した! 作りかけの実験機だからな! 間に合わせで作っているがまだかかる!」


「畜生…!」


 現状このランドグリーズには相手へ致命傷を与える手段が無い、出来損ないロングブレードの他には左腕のショートブレード、右腕のワイヤーアンカーのみである。馬乗りになって何度も何度も殴ればいつかは壊れるだろうが、マニピュレータ出力で負けている、ひっくり返されてしまうだろう。

 とにかく殴ろう、そう思って湿地を出るや急加速する。外付けブースターの全力噴射は65tの機体を浮き上がらせ、フレスベルクを上方から襲撃、120mm滑腔砲へ向けロングブレードを振り抜く。が、ほんの僅かに相手が横移動したため滑腔砲は軌道から逸れてしまい、刀身は右肩に食い込んだ。装甲は斬れてもフレームには歯が立たない事は知られているらしい、刀身をへし折られる前に離脱する。


「アリソン!!」


『現状で撃破したいというなら不可能、フレームを破壊できない時点で詰んでいる』


「何ができる!?」


『首』


 後退のため、前を向いていたブースターユニットを後ろ向きに戻す。右スティックでフレスベルクの頭部に照準を合わせつつアクセルペダルを踏み、左スティックを前に押し倒して再度の突撃を行う。やや手前で着地、瞬発的な急噴射で砲弾を避け、その場で踏ん張り、ロングブレードを横に薙ぐ。

 気持ちよく首が飛んだ、すべてのセンサーを失ったフレスベルクは一時停止、その場で棒立ちになる。


『湿地』


 右腕を相手の腰に突きつけ、右スティックのトリガーを引けばアンカーが射出された。装甲に突き刺さり、停止してから返しが展開、固定を終える。

 親の仇が如くペダルを踏み潰せばランドグリーズは大量の土煙を巻き上げながらブースターを咆哮させ、ワイヤーで繋がるフレスベルクを牽引していく。段々と勢いがついてきて、引き倒したあたりで回転運動を加えれば相手はこちらを追い越して、さっきはまったぬかるみにドボンと落ちた。


『待つ』


「急げぇーーッ!!」


「やってます!!」


 何故か敬語になっちゃったりしている謎の黒髪女性はコンソールパネルを倒し、キーボードのような感じにして高速連打していた。「クソ! クソOS! このくらい直接打ち込みさせろ!」などと言う彼女を気にしつつフレスベルクを見れば、メインカメラの喪失からは復帰していたが、別の理由で動けなくなっていた。ランドグリーズより遥かに重く、ブースター出力も大きくない。右脚を上げれば左脚が沈み、どれだけ火を噴いても機体が浮き上がる事は無い。苦し紛れに1発撃ち込んできたがそれだけ、周りを回転し続ければやがてロングブレードがフルスペックを発揮し始めた。まず耳でギリギリ聞こえる高音がして、それはすぐ聞こえなくなったが、切っ先を地面につければ一切の抵抗なく土が抉れていく。


「よし行け!!」


 ブースター噴射と同時に右脚で踏み込み、空中でロングブレードを逆手に切り替えた。放物線の頂点で下を向いていたブースターユニットを上向きに、重力に加えて使用可能なすべての推力を上方からの襲撃に使う。


「だぁぁぁぁぁぁッ!!」


 接触の瞬間から大量の火花が噴出、斬る、というより削るような感覚で高周波を流されたそれは装甲も骨格も貫通して切っ先が内部へ突き進んでいく。すぐにジェネレーターへ到達、破壊、全動力を喪失させ、その場に仰向けで打ち倒したのち、フレスベルクはピクリとも動く事は無かった。


「は……ふぅ……」


「無事か? 少なからず脳を酷使した筈だ、目を閉じてしばらく動くな」


「それで……あなたはどこの誰…?」


「いきなり元に戻るな……」


 そりゃアドレナリンが出なくなったんだから、当然こうなる。


「私か? そうだな、何にするか……アトラ、アトラと呼べ」

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