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81話 TSしたてで話し合いとか、進まねぇに決まってんだろ!



 水色の長い髪がいつもの暖かさではなく、酷く怜悧な印象だった。

 妖艶ささえ漂っていた切れ長の目は、精悍さに。

 華奢な肩幅は、逞しいさを。

 身長は大きく伸び、威風堂々さを。



「はふぅ……男子の制服がよくお似合いですよカミラ様――いいえ、カラミティス様」



 今日何度目か解らない賞賛を、アメリがこぼした。

 カミラとしては、頭を抱える他に無い。

 ちなみに、カラミティスという名はアメリが付けた。



「どうしてユリウスはユリシーヌの時とは変わらないのに、私は…………はぁ」



「ええと、カミ――カラミティスの今の姿も“男”らしくて、いいですよ?」



「はぁぅん……ため息をつくカラミティス様も素敵……」



 関係各者が集められた寄宿舎の食堂にて、どんより落ち込むカミラもといカラミティスを、ユリシーヌが慰めた。


 時はあれから次の日の昼前。

 カミラとユリウスが、セーラによって性別反転の直後気絶し、朝まで目を覚まさなかったので。

 これから、対策会議が始まる所であった。

 なお元凶であるセーラとガルドは、昨日よりずっと正座である。



「うけけけっ……いやしかし。そうやって男の格好してると。アンタ男に産まれた方が良かったんじゃない?」



「うぅむ。昨日は驚いてよく分からなかったが。……その、なんだ? 男らしくて羨ましいな。余もユリウスも線の細いタイプであるからなぁ……」



「――――貴方達はっ! 特にセーラっ! 反省しろ馬鹿あああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」



 とても反省しているとは思えない言葉に、カラミティスのハスキーヴォイスが放たれる。

 だがその声は効果が無く、寧ろ二人どころかアメリとユリシーヌの耳までうっとりさせた。



「ああ、いい声…………じゃなくて。まぁまぁカラミティス様。押さえて押さえて」



「貴方はどっちの味方なのよアメリ!」



「…………気持ち悪いので、女言葉止めませんかカラミティス様?」



「助けろユリシーヌ。アメリが役に立たない…………」



「そう言いつつも、言葉使いは直すのですねカラミティス」



 元カミラの肩をぽんぽんと叩き慰めながら、ユリシーヌは、その顔に見惚れてしまった。

 元女の筈なのに憂い顔に妙な色気が発揮されて、何故だか下腹が微かに疼く始末。



(何で男時の俺より、今のカミラの方が男として魅力的なんだッ! というか何で俺はときめいてるんだよッ!)



 元男としてのアイデンティティを、ユリウスが大いに揺らしている横で。

 カミラとしてもその偶にぐんにゃり曲がる鋼鉄の心を、またもぐにっと曲げていた。



(嗚呼、嗚呼……ユリウスに見られている。…………やっぱり、男の姿は変なのね)



 せっかく苦労して体を磨いて、文字通り血の滲む努力とともに手に入れた恋人――否、永遠の伴侶の座。

 だがこれでは――――。



(ううっ、嫌われていないかしら。こんな無骨な男になってしまって…………せめて、ユリウスの様に線の細い男だったら女の姿も出来たのに…………)



 これは絶対、パパ様の遺伝子大活躍である。

 るーるるー、と黄昏るカミラ。

 だが本人は気づいていないが、その姿は憂いを帯びたイケメン。

 魔王の魔力も相まって、壮絶な色気をユリウス含む女性陣へ送っていた。



「余は、余はおかしくなったのだろうか…………カミラが美しい男に変わっただけなのに――――わりとどうでもいい」



「あー、うん。アンタが良くも悪くも純粋だって事よ。その感覚を大事にしなさいな。……しっかし、何でアンタ、女の時より色気出てんの? アホじゃない?」



「と言いつつ、顔真っ赤でカラミティス様ガン見じゃないですかセーラ。――――その沈む顔も素敵ですカラミティス様…………」



「糞ッ。何故こんなに心臓がバクバクいうのですかッ!? これじゃまるで…………」



 元より、女装生活が長く、そっち方面の心に理解があったからだろうか。

 本当に女になってしまったユリシーヌは、カラミティスの頬に手を差し伸べたい衝動をこらえながら、手をグーパーグーパー。

 その顔もどこか、ぽおっとしている。



「……頑張りなユリウス。雌堕ちしたら元に戻ったとき大変だよ」



「――――ユリウス様が雌堕ち!? 詳しく話しなさいセーラ!?」



「不穏な言葉に食いつかないでくださいカミラ!? そしてセーラも、何か怖い単語出さないでくださいッ! ――――教育的指導ッ!」



「あぐっ!? ほ、本気で拳骨するんじゃないわよっ! 脳細胞死んだらどうすんのよっ!」



「訳の解らない事を言ってないで、反省しなさいセーラ」



 カラミティスの元を離れ、ツカツカとセーラまで歩きその脳天にガツンと一発。

 ユリシーヌの優美さを増した立ち振る舞いに、やった事はあれだが、優雅さを増したその動作に“雌堕ち”はともあれ、カミラの下半身の何かが反応する。



(――――今、何かピンと来たわ)



 何が来たのであろうか。

 カミラは自問自答に入った。



(見たところ、本当に女になった影響で腕力は落ちているようね)



 ともすれば聖剣を振るえるか怪しい程だが、問題はそこではない。



(髪の長さ? 艶やかさ?)



 そうではない。

 では、では?

 魔法で視覚情報を誤魔化していない分、首筋の細さ白さにグっと来るが、一番ではない。



(手首の細さ…………、指の形…………いいえ、確かに女装の時より美しくなっているけれど“それ”ではない)



 カミラは目を瞑り、もう一度ユリシーヌの動きを脳内再生。



(こう、てってってっと私の横から移動して、腕を振り上げ、振り下ろす――――うん?)



 そこに、カミラの脳内に稲妻が走る。



(ま、真逆、真逆――――――――!?)



 そんな、いや、だって。

 思考がそんな言葉で埋め尽くされる。

 だが、考えてもみれば理にかなっている。



 ――――覚えているだろうか。



 今のユリシーヌは、女装時と同じ女生徒の制服を来ている。

 だがそこに――――胸の大きさに変化が見られない。



 つまり、つまり、つまり――――。



「…………ユリシーヌ」



「ああ、カミラ。どうかしました――――!?」



 もはやカラミティスになったカミラは、ユリシーヌに近づくと、一瞬たりとも躊躇わず手を伸ばす。



「わぉ、だいたーん」



「はわわぁっ! カラミティス様何しているんですかっ!?」



「余は解るぞ勉強したからな、あれはセクハラというヤツなのであろう?」



「は? え? ――――んぁっ!」



 カミラの突発的な行動に、ユリウスは女の身で思わず喘いだ。

 その声にいっそう下半身に力を貯めつつ、顔は努めて冷静に、カミラは指を自在にを動かす。



「…………なるほど、これか」



 ふにふに、ふにゅっふにゅっ。



「――――ぁッ!? ~~~~ッ!?」



 むにゅっ、むにゅっ。

 柔らかさと弾力を兼ね備えた感触、下着と制服で二重の壁があるのに、押せば沈み、離せば戻る至福。


 ――――そう、これこそが男となったカミラを反応させた罪の巨大リンゴ。

 セーラを叩く際に揺れ動いた、魅惑過ぎる果実。




「こ、これが、男の快楽――――!?」





「あんッ! やッ! ――――いつまで揉んでいるのですか馬鹿女あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」




「へぶっ! 今は男の体あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」



 ぱしーーーーん。

 次の瞬間、顔を真っ赤に染め涙目になったユリシーヌの平手が、カラミティスの右頬に見事な紅葉を作る。



 結論。

 本当に女になったユリウスは、カミラにとって至極エロい存在だった。



これから暫く、TS&○○○編です。

お楽しみに。


ね、ね、皆知ってた?

夕方確認したらさ、久しぶりに異世界転生転移の恋愛日刊に、ランクインしてんの。

夜七時のランキング更新で消えちゃったけどw


結構久しぶりよね。

ありがとうございます!

これからも、応援よろしくですっ!


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