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72話 魔王会議……会議してねぇじゃん!

そういえば、男性読者と女性読者

どっちが多いんでしょうねぇ……?



 その言葉は、ユリウスとアメリの理解の外であった。



「誤解があるようだから、最初に言おう。――余は最早“魔王”では無い。対ユグドラシルシステム用の“超能力者”である」



 カミラのサロンに四人が移動して、紅茶を一口飲むなり“それ”である。

 流石のカミラも、ドゥーガルドの発言を飲み込めず、目を白黒させた。 

 香り高い、熱い紅茶を吹き出さない様に、火傷しない様にゆっくり飲み込み、返答を思考する。


「ドゥーガルド・アーオン。色々聞きたい事はあるが、先ずは超能力者とは何だ?」


 だが、カミラが考えている間に、ユリウスが先に質問する。


「ユリウス・エインズワース。余の事はガルドでいい。その代わりにユリウスと呼んでもよいか?」


「ああ、それでいい。それで――――」


「はいはい! アメリと呼んでください」


「アタシもセーラ様でいいわ」


「あ、コイツの戯言は無視して下さい」


「ヒっドーーい! こっちは巻き込まれた被害者よ! 様付けでも足りないくらいだわ!」


 やいのやいの、がやがやと、騒がしいアメリとセーラに、カミラの毒気が抜けていく。

 そして、ガルドの“超能力者”発言が確かならば、もしかして、もしかして――――。


「――――空回り、していたかしら?」


「いや、今回の件は余も悪かった。最初からキチンと話すべきだった。――カミラがやった事を考えても、死者が蘇った事実を考えても、余が軽率であった……」


 気まずそうに視線を交わすカミラとガルに、ユリウスは苛立った様に割り込んだ。


「悪かったと思うなら、二人とも後で東屋の修復に加わって、学院にも謝罪しておくんだ。それより――――」


「――ああ、余のカミラへ話で。その前に質問であったな。……許す、何でも聞くがよい」


 えへんと胸を張るガルに、アメリが挙手する。


「ではお言葉に甘えまして! 先ずは“チョウノウリョクシャ”とは何でしょうか?」


「ふむ、そこからか…………いや、今の時代の者達が知らぬも無理からぬ事である、か……」


 一人、解った顔で頷くガルドを放っておき、カミラが返答する。


「アメリ、そしてユリウス、セーラ…………は別にいいわね。貴女なら言葉の意味は分かるでしょうから」


「まーねぇ。……っていうか、アタシ的にはこの世界に超能力者が存在してる事がビックリなんだけど?」


「“ゲーム”とは違う、今は貴女はそれで理解しときなさい」


「あいあい、了解しましたよっと」


 手をひらひらさせて、これ以上はいいと示したセーラに頷いてから、カミラはユリウス達に話す。

 ――――どこから、説明したらいいやら。


「それでカミラ様。“チョウノウリョクシャ”とは一体何ですか?」


「……文字でにして表すと、超越した能力を者。それを超能力者と言うのよ」


「ではカミラ、その“超越”した能力とは何だ?」


 カミラは言葉を探した。

 本当の事を言ってもいいのだろうか。

 言った所で、理解できるのだろうか。


「――――ドゥーガルド。貴男、現状の思考支配率は解る?」


「ん? それは一番キミが解っている筈じゃないか。永遠に続くシステムなど無い。もはやボロボロで最低限しか機能していない。――――そも、そうしたのはキミだろう?」


「変わりない、という事ね…………」


「え、何それ。すっごく物騒な単語が聞こえたんだけど!?」


 憂鬱そうにため息をつくカミラに、にこやかなガルド。

 何やら頭を抱えているセーラの姿に、アメリとユリウスは置いてけぼりだ。


「お二人の会話の意味分かりました? ユリウス様。途中でむにゃむにゃ言ってて聞き取れなかったんですけど」


「俺もだ。セーラが理解している辺り、何らかの資格が無いと聞き取れないのかもしれないな……」


「この二人が聞き取れない…………うわぁ、うわぁ…………何この世界、乙女ゲー転生したんじゃないのアタシ……」


 一人、世界の闇に気付きつつあるセーラを放っておき、カミラは元の話題に戻る。


「……はぁ。聞き取れなかったら諦めて頂戴。それで、超能力者というのはね、言ってみれば特化型の魔法使いみたいなモノよ」


「特化型……ですかカミラ様?」


「……ふむ。魔法を使う者にも、得意苦手とするジャンルがあるが、それと何か違うのか?」


「だいたいその認識であってるわ。ただし、得意なジャンルは天才レベルで、苦手な分野は使えない。という塩梅だけどね」


「成る程、超能力者の意味は解った。しかし、何故それを今この場で言ったんだガルド?」


 ユリウスの問いかけに、ガルドはえへんと胸を張った。


「ああ、それだよそれ。余はそういう質問を待っておったのだ。分かってるなユリウス!」


「どこに喜ぶ所があったのか理解できないが、とっとと答えてくれ」


 疲れたように言ったユリウスの肩をぽんぽんと叩くと、ガルドはカミラに向かって殊更にこやかに笑う。



「余は“以前の余を殺し”見事に魔王を簒奪したそなた。この世でたった一人の本物の“超能力者”であるカミラ・セレンディアに同盟を求め「却下」



「…………、せめて最後ま「却下」



「カ「却下」



 舞台劇役者の様に大仰に差し出された手を、カミラは殊更に満開の笑顔で否定。

 しかも、全てを語らせない有様。



「取り付く島がない、とはこの事だな」



「気にくわない相手には冷たいですよねカミラ様…………じゃっ! ないっ! え、ええっ! 何です! 何でみんなそんなに落ち着いてるんです! か、か、カミラ様が魔王を殺し、い、いや超能力者…………はいいとして、いいとして!? 魔王を簒奪!? は? え? えええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」



 ガタン、と立ち上がって動揺するアメリの姿に、ユリウスとセーラから同情の視線が向けられる。



「うむ? この者はどうしたのだカミラ? アメリ・アキシアはそなたの右腕、そんな事も知らなかったのか?」



「そうか……知らなかったのか…………」



「カミラ、アンタさぁ……仮にもこんなに尽くしてくれるアメリに何一つ教えてあげてないって、なくない? ないわー。マジない」



 三人の集中砲火に、カミラはぐうの音しか出せない。



「そ、その……ごめんなさいアメリ。決して貴女を蔑ろにしていた訳ではなくて……」



「わかってますっ! 万一の事を思って、カミラ様がわたしの事を考えてくれて、お伝えなされなかった事はわかってますっ! でもっ! でもですよっ!」



 ハンカチを噛んで、くけぇー、と激しく悔しがるアメリの姿に、カミラは慌てて席を立ち、アメリを抱きしめる。

 こんな事初めてで、どうすればいいか解らない。



「ごめんなさいアメリ、私は貴女に…………」



「いいえっ! いいえっ! 謝罪など不要ですっ!カミラ様の右腕たる者、察してしかるべきでしたっ! カミラ様はそれぐらいしても何もおかしくない偉大なお方ですっ! そしてっ! 何よりっ! わたしが悔しいのはっ! あの馬鹿女すら知ってた事が悔しいだけですっ!」



 カミラの柔らかな胸に顔をぐりぐりしながら、アメリはセーラを指さし、続いて親指を下に向けて、しゃーっと威嚇。



「へ、アタシ!? っていうか馬鹿って何よ馬鹿って! これでも聖女なのよアタシ! 魔王が前に居たら判るっつーのっ! 凡人の分際でナマ言うな!」



「はん! カミラ様にけちょんけちょんにされた癖に、そっちこそ生意気言わないくーだーさーいーっ!」



「えぇ~~。そこなの? アメリ…………」



「君のカミラへの忠誠心はどうなっているんだ?」



「良い部下を持ったなカミラ。余もこんな部下欲しかったなぁ…………」



 今にも激突が始まろうとするアメリとセーラの姿に、話が進まないとユリウスが音頭を取った。



「喧嘩するなら後にしろ……。で、カミラが世界でただ一人の本物の超能力者とやらは、まぁカミラだからいいとして」



「あれっ? それで流すのですのユリウス!?」



「お前が今更何者であっても、俺が愛する女という事は変わらない」



 さらっと言われた言葉に、カミラはアメリを抱きしめたまま、いやんいやんと顔を真っ赤にして身をくねらした。



「カミラ様、ギブギブギブ! 嬉しいのは解りましたからっ! もう少し力を弛めて…………ぐぇぇ」



 言わんこっちゃない、アメリが青い顔でコテンと気を失う。



「ああ、アメリが失神したわっ! 誰がこんな非道い事を!」



「オマエだよ馬鹿ババア! 恋人になったんなら、もうちょっとセリフに耐性つけときなさいよ!」



「…………苦労しているのだな、ユリウス」



「頼むから、それは言わないでくれ…………」



 慌てふためく女性陣と、元魔王から同情されるユリウス。

 話は、一向に進んでいなかった。



割烹やツイッター見てくれた人は、察してください。

ちょいと凹んでいます。

明日には回復してる筈ですが……多分。


誰か私を甘やかしてくださあああああああああああああああああい!

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