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58話 皆さまに今明かすユリウスの弱点!……「童貞」

今日もエロ大尉。

でも大丈夫、バカエロだよ?



(ああ、そうか。カミラ、お前は――――)


 ユリウスは自身の置かれた状況を悟ると同時に、カミラの歪さをはっきりと認識した。

 ――以前から、感じてはいたのだ。

 言葉には出来ていなかったが、今なら正確に表せる。


(――執着)


 カミラという女が、何故こんなにも執着し、世界を燃やし尽くす様な愛を向けてくるのかは解らない。

 だが……。


(きっとお前は、俺の為だけに生きていて――――)


 その愛は本当で。

 だからこそユリウスは目の前の少女が“哀れ”に思った。

 病的を通り越して、狂気という言葉すら足りない“執着”を、哀しくも、確かに嬉しいとも思ってしまった。


(だから駄目だ。――少なくとも、今の瞬間に流されては駄目だ)


 本能で答えるのではない、心でも揃って答えるのだ。


(思い出せッ! 泣かせたくないんだッ、傷つけたくないんだッ!)


 このまま拒否しても、この場は収まるだろう。

 だがカミラという存在は、また悲しみに涙する筈だ。

 だから――――。


「ま、だだ。まだお前のモノにはならない。俺が、お前を――――ッ!」


 鋼鉄の意志でユリウスは、カミラに密着していた体を離した。


「…………ユリウス様。嗚呼、嗚呼、それでこそ私のユリウス様ですわっ!」


 己の誘惑に踏みとどまったユリウスの姿に、カミラは歓喜した。


(そうですわ。貴男は何時だって最後は踏みとどまった。痛みも、快楽も、どんなモノにも耐えてきましたわ)


 胸の奥から沸き上がる純白の歓喜と、漆黒の衝動にカミラは尽き従った。


「うふふふっ、ふふふふっ。嗚呼、嗚呼嗚呼っ! 嬉しいですわユリウス様。…………私もまだまだですわね、貴男の心の芯まで虜にできないのですもの」


「生憎と俺の心は、国の――いや、俺自身のモノだ」


「ええ、私の心が私のモノであるように、貴男の心は貴男のモノ。――――それでも、貴男の全てが欲しいっ!」


 瞬間、獰猛な笑みを浮かべたカミラが、ユリウスの制服も破り裂いた。



「うおッ!? おまッ!? 何をするんだッ! このッ! 止めろバカ女――――!?」



「私には解りますわッ! お肌の触れ合いがっ! 触れ合いが足りないのですわっ! こうなったらユリウス様も裸にして、無茶苦茶にして貰いますわっ――――!」



「お前が無茶苦茶だ――――――――ッ!?」



 げに恐ろしきは、色ボケした女の怪力か。

 ユリウスの抵抗も虚しく、ビリビリ、ビリリと制服が紙の様に破れていく。



「綺麗ですわっ! お綺麗ですわユリウス様っ! 嗚呼っ、制服を着ていると国一番の淑女ですのにっ! ですのにっ! 何ですかイヤラシイっ! むほっ! 嗚呼、こんなに逞しい、む・な・い・たっ!」



「男の胸なんて撫で回すな変態女っ! ――って俺の手掴んでどうするつもりだッ!? 何無理矢理指を動かして――――ど畜生おおおおおおおおおおおおっ! それが本命かああああああああああっ!」



 同情した事実が恥ずかしくなる様な、欲望一直線の乱痴気に、ユリウスの遠慮とかそういうのがどっかに消え去る。

 然もあらん。



(何かッ! 何か“手”は無いのかッ!? 何か心の奥底がもぞもぞして、ヤバイ極まりないぞおおおおおおおおおおおおおッ!?)



「さあ、もっとッ! もっと獣欲のままに私の服も破り、支配欲とか嗜虐性を呼び覚ますのですユリウス様っ!」



「自分で言うのか大馬鹿オンナ――――――ッ!?」 



 破ったり、破られたり。

 自分の意志でしているのか、無理矢理やらされているのかも解らない。

 ただ一つ。あまりの衝撃に、カミラの発する非常に強い蠱惑的な吸引力が気にならなくなった事が救いだ。

 揺れる胸とか、左右上下に振られる腰とか、狙い通りユリウスの獣欲を呼び覚ましたが――――。



(大丈夫だからッ!? まだ理性は無くしていないぞ俺ッ! それよりどうやってこの場を乗り切れば――――)



 欲望を紙二重くらいで押さえ込んでいるユリウスは、無惨な布切れになった制服の存在に注目した。

 ――――何とか、なるかもしれない。


 深く考える事なくユリウスは、カミラのブラを引きちぎり、先ずはカミラの口に突っ込む。



「これで口は封じさせて貰った――――ッ!」



「もがもがもがっ! もぐもぐもぐっ――――!」

(強引なユリウス様も素敵…………って、え、あれ? そんな高度なプレイを――――!?)



「そして、これをこうして――こうだッ! 手は封じさせて貰ったぞっ! 手抜かったなカミラッ!」



 ユリウスは己が何をしているか正確に把握しないまま、勢いに任せて突き進む。



「俺を惑わす危険物は全て封じ込んでやるッ! これもッ! これもッ! これもッ! ついでにここもだッ! んでこれだッ! ――――どうだ見た…………か?」



 数秒後、ユリウスは硬直した。

 カミラを封じる事は出来た。

 ――――カミラがその気になれば直ぐ解かれるものだったが。



「……………………手抜かったのは、俺か」



 有り体に言って、カミラの姿はより一層卑猥になった。


 口の中に突っ込まれた下着。


 両手は縛られ動かす事が出来ず。


 禁断の白いたわわに実った果実はは、乱暴にきつく巻かれた故に。

 その大きさと柔らかさを強調するように、襤褸布が食い込み。

 しかも甘噛みしたいサクランボしか隠せていない。


 臀部も同じく、ぐにっと食い込み、隠す前より卑猥さが高まる始末。

 下の最後の一線を、破っていなかったのは幸か不幸か。


 おまけに両足首も縛ってしまい、片足のソックスが脱げているのが、なんかもう…………。



「もがもがぐむぅ……」

「ユリウス様のえっち……」



「しまったあああああああああああああッ! 中途半端に隠したほうが過激とか、解るかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」



 再度鼻血を噴出させながら、ユリウスは叫んだ。

 なお悪いことに、勢い任せでベッドに押し倒して、カミラの両手を上に上げさせ、手首を掴んでいる状態だ。



(ヤバイヤバイヤバイいいいいいいいいいいいいいッ! こんなの見つかったら、コイツの事だから一時間後に結婚式でも不思議じゃないッ!)



 首筋まで真っ赤に染めて、顔だけは真っ青で冷や汗だらだらなユリウスに。

 カミラはぽっと頬を染めて、顔を横に恥ずかしそうに視線をそらす。



(わざとかッ!? わざとやってるだろ絶対いいいいいいいいいッ!?)



 そのしおらしい姿と、散らばって頬にかかる長い青髪に、得も言われぬ衝動がユリウスの理性とガリガリと削った。



(というか何だ結婚式ってッ! その前にどう見てもか弱い女性を襲う卑劣漢じゃないかッ!? そもそも今は裸同然で男の姿まるわかりだしッ!)



 仮に乱入者が来て、それがアメリやセーラでも冷たい視線どころか、軽蔑の眼差しからの罵倒、王に突き出される前に殺されるかもしれない。


 アメリも共犯だという事も忘れ、ユリウスの頭に最悪の想像がぐるぐる回る。



「…………うぅ……これから、どうすればいいんだ」



 形だけ見るならば、何時も強気な女性を拘束して、己の男で蹂躙し支配する、どうしようもない男の夢のシチュエーション。

 迂闊にも、ユリウスはその事に気づいてしまう。

 ――――なお、カミラは襲われるのを今か今かと心待ちにしている模様。


(考えるんだ……、何をすればいい?)


 ユリウスの中に、天使と悪魔の姿が浮かぶ。

 なお、天使がセーラの姿で、悪魔はアメリだった。


「今がチャンスですよっ! ガバって押し倒して全部楽になってカミラ様に溺れちゃいましょう! 後の事は全てカミラ様任せでいいじゃないですか?」


「悪魔の声を効かないでユリウス、相手は“あの”カミラよ? 今屈したら後々大変じゃない。ことある後とに体を要求されたり、快楽を餌に土下座を求めたり、やりたい放題されるわよ!」


「邪魔しないでよこの天使がっ! カミラ様の望みを叶える事こそ、幸せへの道なんですからっ!」


「はんっ! 馬鹿言ってんじゃないわよ。だいたいこの状況で押し倒した所で、こっちが骨抜きにされるのがオチじゃない」


「ならどうしろっていうんですか、この天使がっ!」


「徹底抗戦しかないじゃないの! カミラ第一主義の悪魔めっ!」


 意見が平行線を辿る天使と悪魔の間に、今度は情けない顔のヘタレーヌが現れた。

 脳内会議に自らの残念人格を登場させるあたり、ユリウスも一杯一杯である。


「お前等に任せたら解決しないじゃないかッ!? こんな所にこれ以上居られるかよッ! ――俺は逃げさせてもらう」


「逃げるって何処にですヘタレ」


「第一、自分で手錠を付けたんでしょ。しかも頑丈なヤツ。逃げられる訳ないじゃない」


「う、ぐ…………、な、なら誰かくるまでトイレで籠城でも何でもしてやるよッ!」


「…………トイレ?」


「ふぅん、トイレか……」


 天使と悪魔は顔を見合わせると、ヘタレーヌに告げた。


「「それだ!」」


(それだッ! このままトイレに逃げ込んで“念話”の魔法で助けかアドバイスを二人に求めるしかないッ!?)


 そうと決まれば、ユリウスは恥も外聞も棄ててカミラに告げた。




「…………すまない、ちょっとトイレ」




「――――――もが?」

(はい、お好きに………………………………あれ?

 あ、れ? え、え? 何でトイレ? この状況でトイレえええええええええええええええええええええええええええええええ!?)




 ユリウスの言葉を認識きた途端。

 カミラは展開についていけず、心の中で絶叫した。


 そしてそのままトイレ前まで運ばれ、扉の前に放置。

 ユリウスは器用にも、扉に穴を開けて手錠の鎖を通した上で塞ぐ。

 手錠に魔法は効かなくても、その他は有効、という理論である。


 なお、ユリウスの言葉からここまで僅か三秒の早業だった――――!



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