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57話 このストーカー女、拗らせすぎである。

あ、今日もエロ中尉です。



(何でコイツはこうも…………ッ!)


 ユリウスはカミラの制服の釦を、震える指で何度も失敗しながら外し。

 同時に、苦悶していた。


「あらあら、手助けが必要かしら?」


「……五月蠅い、黙って脱がされろ」


「ふふっ、強引なユリウス様もス・テ・キ」


「――――ッ! クソッ」


 夏服の白いワンピースは所謂前開き。

 一番上のだけならまだしも、次も釦を外すとカミラの白い肌が、たわわな果実の上半球がお目見えする。

 ――ごくり。


(こ、こんなのただの肌だッ! 何かを思うことなど――――ッ!)


 なのに何故、こんなに目が引きつけられるのだろう。

 震えの収まらない指先が、力加減を間違えて柔らかな丘に沈む。

 ふにゅん、という感触が電撃となってユリウスの脳を犯した。

 それだけではない。


(う、ううぅ…………、何だってこんな甘い匂い……)


 髪だけでは無い、カミラの全身から発せられる香り。

 赤子の時の記憶を呼び覚ます様な、母の乳。

 それでいて、蝶を引きつける濃厚な華蜜の匂い


 一緒の部屋に居るだけで、探してしまい。

 近づくと、その柔らかな髪に、白い首筋に顔を埋めて嗅ぎたくなる蠱惑的な匂い。


(くらくらする…………正気を保て俺ッ!)


 こんな邪魔な釦など、今すぐ引きちぎってその陶磁器の様に白い肌にむしゃぶりつきたい。


(畜生ッ! 考えるな俺ッ!)


 必死に脳裏から邪念を追い出し、邪念まみれに次の釦をまた一つ外す。


「――ッ、ぁ――――ッ!」


「さあ、いいのですよ。どうぞご覧になって……貴男に見て貰うためだけに、貴男に触って貰うためだけに、成長した“胸”を――」


「ぁ――ぁぁ――――」


 ユリウスは、カラカラに乾いた口内を不快に思う間のなく、ふらふらと、怖々と、ゆっくりと制服を左右に開く。


「ぁ――――――」


 そこに現れたのは、白いレースのブラに包まれた魅惑の果実。

 胸の下の釦はまだだったが、それ故にV字に開かれ卑猥に見えた。


「……そんなに、熱い眼差しをしないでくださいまし。………………恥ず、かしいわ……」


 その羞恥に満ちた言葉に、照れて朱く染まった頬に。

 軽く伏せられた、吸い込まれそうな黄金の瞳。

 ユリウスの理性はガリガリと削られる。


「き…………れ、いだ………………」


 余りに熱烈な視線に耐えかね、カミラはしおらしく顔を伏せ。

 そして透き通る様な水色の髪が揺れる。

 白磁の肌と空色の糸のコントラストに、ユリウスは一層目を奪われた。



「ぁ――――ぁぁ――――カミラッ!」



「あっ、…………やぁ…………っ! あ、……ふぁ…………やァ、ン…………」



 ユリウスは衝動的にカミラを強く抱きしめ、その形の良い、朱く染まった白い耳に噛みつく。

 二度三度、甘く歯で挟みそのこりこりした感触を楽しみ、舌で形をなぞる。

 少し汗をかいていたのか、甘やかな塩味を堪能して――――ふと、我に返った。



「~~~~~~~~~~~~~~ッ!? す、すまないッ!」



「…………ン…………はぁ…………、い、いいえ。いいのですわ。この耳も、貴男のモノなのですから」



「い、いや……悪かった…………。つ、続けよう……」


 最早、何のためにカミラを脱がしているのか判断できずに。

 己の唾液でテラテラと塗れるカミラの耳から、ユリウスは必死に全身の衝動を押さえて。

 歯を食いしばりながら、胸下の、お腹の釦を外す。


「……はぁ、はぁ……ぁ……次で、はぁ……最後、だ……はぁはぁ…………」


「ど、どうぞ…………」


 荒い息を吐きながら、ユリウスは血走った目で最後の下腹辺りの釦を外す。


「……出来た……出来た……」


 ユリウスはカミラの制服を最大限に開き、その細い腰の下、秘所を守るレースの布に手を伸ばした。


「ゆ、ユリウス様ぁ…………ま、まだ早いです、わ? 先にこっちを…………」


(あうあうあうあうあうあうあう、ま、まだ早いですわ早いですわっ! もうちょっと心の準備を――――!?)


 いつになく本能剥き出しのユリウスに、今更ながら羞恥に襲われて、せめて、と胸のブラへその手を誘導する。


「嗚呼、いくら女装していても。貴男はやっぱり男ですわ…………この長い指で。“これ”を外してくださいませんこと?」


「ああ…………」


 こくこく、と頭を上下させ。ユリウスはカミラの胸の谷間を凝視しながら、躊躇無く顔を埋める。

 勿論、腕を後ろに回して背中を撫で回しながらブラのホックを探すのも忘れない。


「嗚呼、嗚呼……もっと、もっと求めてくださいユリウス様」


 感極まったカミラの眉尻から、一粒の水滴が落ちる。

 その事実を、滴を頬で受け止めた事でユリウスは知ったが、意味を考えることなくホックを外し。

 カミラの胸の匂いを思い切り嗅いだ後、一舐めして顔を上げる。


「ほ、ほ、ほ、本当に、いいんだな……」


 ごくりと唾を飲んだのはどちらだったか。

 カミラも思考を羞恥に浸しきったまま、こくんと頷いた。



 ――ぶるん、否、ぷるんであったか。



 ユリウスによって、カミラの母性が暴かれた。

 シルクのブラは完全に脱がされる事なく、下半球の下へ。

 そして――――。



(――――これは、芸術だ)



 ただの脂肪の固まり、そう表現する事すら不敬な“美” 


 食べ頃の大きな白い果実と、桜色の頂き。


 この蠱惑的な禁断の果物を前に、ユリウスは熱に浮かされた患者の様に手を伸ばし――――挫折した。

 同時に、鼻の奥がかっと熱くなりドロっとした液体が流れ出る。


「ユ、ユリウス様!? 鼻血が、早く拭きませんと……」


 カミラは慌ててティッシュを探しあてるも、手錠に繋がれたままでは届かない。

 仕方なしに手で拭おうと、ユリウスの顔に手を伸ばした。


(あ、あ、あ……そんな、馬鹿な……、一つ一つの動作で“揺れて”いる、だと――――ッ!?)


 制服が、ブラが、髪が、禁断の果実をこれでもかと強調する様に形を変え。

 重い肉房は、引力に従い柔らかさを見せつけた。


「駄目だ…………、俺には出来ない……」


 呆然と呟かれた言葉に、カミラの手が止まる。

 ユリウスは鼻血で自らの手が汚れる事を厭わず、片手で憔悴した顔を覆い俯く。


「どうしたのです、ユリウス様?」


 ともすれば怯えたようにも見えるユリウスに、カミラは優しく頭を撫でて問いかけた。

 ユリウスは軽く呻いた後、ぽつりぽつりと話し始める。



「ぁぁ……ぅ……ぁ……薄々、気づいていたんだ」



「お前の……、カミラは“俺の理想”だ」



「その匂い……髪の、曲線、長さ……赤い唇……」



「自慢げな、でもどこか優しげな微笑みも……」



「黄金を凝縮したような瞳だって……ああ……」



「首筋のラインも…………、ああ、ああ……。」



「何もかも……、白い肌も、その乳房も、華奢な腕も、腰も……、まだ見ぬ下半身だって、きっとそうなんだ…………」



「何で…………、何で、お前はそんなに…………ああ、なんて淫猥で、なんて清らかなんだよ…………」



「俺には出来ない……、こんな完璧な芸術を、この世の至宝を汚すなんて、ああ、ああ、ああ、こんなにも汚したいのに、俺には出来ない――――ッ!」



 どこまでも苦しげに、罪悪感と欲望を吐露するユリウス。

 カミラはユリウスの距離をゼロにし、ふわりと包み込みながらその耳元で囁いた。


「そんな事、お気になさらなくてもいいのですよ…………」


「俺は……」



「だって――――ユリウス様が私の躯に、そう思われるのは“当たり前”ですもの」



「カミ、ラ……?」


 その優しく言われた言葉に、言いようのない怖気を感じ、ユリウスは顔を上げた。

 必然、カミラと至近距離で顔を合わせる事となり。

 先ほど褒めた、黄金瞳を覗くこととなる。


(こんなにも綺麗なのに、何で俺は――――)


 感じていた熱情も、頭が痺れる様な甘い匂いもそのままなのに、背筋につららを差し込まれたような。


(――痛いほどに“恐怖”を感じているんだッ!?)


 ユリウスの瞳み激しい怯えを看取ったカミラは、地獄くすら灰にする情炎で言の葉を紡ぐ。



「ええ、ええ。……苦労したのですよ? ユリウス様の本能が最も惹き付けられる姿に成長するのは」



「何を、言って――――ッ!?」



「以前申し上げたでしょう。貴男の“全て”を知っている、と。――――それは何も、出生の秘密だけではありません」



 恐怖のままに逃げようとしたユリウスは、自らが填めた手錠によって、身を捩るだけの抵抗に終わる。

 頬に添えられたカミラの手が指が、燃えるように熱く感じられ、ユリウスは自分が焼死する幻影さえ見た。



「私は調べたのです。無意識、意識的に問わず、貴男が目をやる仕草、髪の長さ、声の抑揚、抗えない匂い、肌の柔らかさ、胸、腰、お尻の大きさ、爪の長さ、腿の太さ、うなじの線。――ええ、上げていけばキリがないほどの“全て”を」



「それら“全て”の“貴男の理想”を叶えるために、そして“私が私のまま”でこの世で一番の好みとなるべく…………」



「メスを入れずに、遺伝子も弄くらずに。あくまで“私が私のまま”“貴男の理想”に成るように、この躰を育て上げたのです……」



「ね、だから、いいんです。…………さあ、私の全てを貪り、堪能してください」



 ――――その時初めて、ユリウスは自分が食虫植物に捕らわれ、半分以上溶かされていた事を知った。



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カミラ様、ストーカー遍歴

1魔王ぶっ殺す

2悪質なストーカー行為

3脅迫(脅迫したとは言ってない)

4権力を駆使して外堀を埋める

5常識を超えた壮絶な自然的肉体改革←new!


これは手遅れにも程がありますね……。

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