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48話 エキシビジョン決着!

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ですぜ右や左の旦那様方!



「いやー、これ本当に武闘大会ですかねぇ……」


「一応、男女ペアは想定の内だったが、これは……まさか戦闘中にいちゃつくとか、予想外にも程があるぞ……?」


 クラウスとセシリーが、カミラの張った結界に苦戦している中、カミラとユリウスは抱き合ったままだ。


「ぬおおおおおおおおおおおっ! 何時までそうしている気だああああああああ! ぶっ殺してやるこの野郎! カミラちゃんはお嫁に行かさんぞおおおおお!」


「アナタ、気をつけて下さいね。婿殿の目、何か策がある感じですわ!」


「わかっとるっ! 結界の破壊を急ぐぞっ!」


 クラウスが物理的に負荷をかけ、セシリーが魔法的アプローチで、結界の突破を計る。

 薄皮を剥ぐように少しずつ結界が弱まっていく事を、カミラは知覚していたが、そこに不安はなかった。


(嗚呼、嗚呼。ユリウスの言うとおりだったわ。私は大切なあの人達と戦えない事に捕らわれて、そこで止まっていた。……まだまだ視野が狭いわね)


 自分に足りないモノを補ってくれるユリウス。

 その愛おしく、頼もしい肉体をぎゅっと抱きしめ返して、カミラは言われたとおり勝利への下準備。

 両親は気づいているだろうか、この抱擁すら勝利への布石である事を。


「ユリウス……貴男に、力を――」


「受け取るさカミラ。お前と俺に、――勝利を」


 カミラは打ち合わせ通りに、そっと目を閉じた。

 別に唇にする訳では無いが、目を開けていたら今度こそ嬉しさで失神してしまう。


 ――ちゅっ。


 額の柔らかな感覚で、カミラの胸に暖かな光が溢れる。

 その光を制御せずに、身体能力増加の魔法としてユリウスに流す。


「どうぞ、ご存分に――」


「――ああ。お前の望み、果たしてみせる」


 ユリウスと言えば涼しい顔をして、カミラの髪の匂いやら躰のやわっこさに、本能と理性で奥脳していたが。


「うおおおおおおおおおおお! カミラ様&ユリウス様ペア見せつけるううううううううう! これは相手の挑発を誘う作戦かああああああああああ!」


「だろうな、アイツらあんな事する仲では、無かった筈だが……さては何か進展あったな? 後で聞き出してやる」


「ですね……しかし、それだけじゃないですね……さっきから何やらユリウス様が指示を出している様です。この後に一波乱起きそうですね!」


「…………何故そんな事が解る?」


「あれ? 見えませんでしたか? 抱きしめている間に、ユリウス様が作戦っぽいこと囁いていたじゃないですか?」


「……真逆、心が読めるとは言わないよなアメリ嬢?」


「それこそ真逆ですよ。読心術です、唇の動きを読むヤツを、カミラ様に仕込まれまして……上流貴族には必須って聞いたんですが、違うんですか?」


「お前、カミラに騙されてるぞ……? 普通、どの貴族でもそんな技術は必要ないんだが」


「ぎゃーすっ! マジですか!? これ覚えるの苦労したのに、カミラ様の馬鹿あああああああああああ!」


 実況席の叫びは兎も角、カミラとユリウスは体を放し、しかして繋いだ手は放さない。



「行くぞッ!」



「はいっ!」



 共に駆け出すと同時に、カミラは結界を解除。

 簡単な事だ。

 傷つけたくなければ、傷つけなければいい。

 魔法を撃つのが怖いのなら、正確に制御できるユリウスに任せればいい。そうすれば万が一も無くなる。



「ようやくイチャイチャを終えたカミラ様&ユリウス様っ! 今度は仲良く二人して突撃いいいいいいいいい! その繋いだ手には何の意味があるんだああああああああ!」



「これから――――見せてあげますわっ!」



「――――ッ! はあああああああああああッ! 行ってこいカミラアアアアアアアアッ!」



「その手を放さんかああああああ――――どぉあっ!小賢しい真似を! 勝負を捨て――――カミラあああああああ!?」



「――――アナタ!? カミラちゃん!?」



 実況する間すらない一瞬の出来事。

 セレンディア夫妻及び、観客は驚愕した。


 最初の一撃は、ユリウスによる投擲。

 そう、こともあろうか“聖剣”の投擲である。

 だがそこは歴戦の猛者クラウス、難なく遠くへ弾き飛ばす。

 ――――だが、問題はその後。



「うおおおおおおおお! 放せっ! このまま一緒に場外負けするつもりか!?」



「まさしくそれですわ! パパ様――――!」



 剣を弾いた事による一瞬の隙を付き、カミラがクラウスに抱きつく。

 事態を飲み込めないクラウスに、更に致命的な隙が産まれ。

 次の瞬間、クラウスはカミラ事場外へ投げ飛ばされた――――!



「これか! これを狙っていたのかあああああああああああああああああああああ!」


「そうか、先ほど抱きついていたのは、挑発の為だけではなく、ユリウスに支援魔法をかけているのを悟らせない為なのだな」


「支援魔法がバレると、セシリー様が直ぐ解除しそうですものね……」


「いやしかし、いくら支援魔法で筋力増強しているとはいえ、人間二人を投げ飛ばすとは……」


「けど、カミラ様まで投げちゃって良かったんですか? ほら、二人とも場外負けになってますけど」


 アメリが指し示した先には、審判によって敗北を言い渡されている親子。


「たしかにカミラ嬢の戦力は魅力的で、実際に有効だろうが、この場合はこれでいい」


「と、言いますと?」


「――エキシビジョンという形だが、彼らの戦いの理由は何だ?」


「ああ、結婚の許可でしたっけ」


「……せめて、交際の許可と言ってやれ。まぁ兎も角だ。それならば、ここはなるべくユリウスの実力を見せる時、カミラ嬢の力で強引に解決しても意味がないからな」


「カミラ様、ご両親大好きっ娘ですからねぇ……ではカミラ様の蹂躙は、本戦に期待ですね!」


「蹂躙で済めばいいがな……」


 観客が実況の言葉に、しみじみと頷いている間にも勝負は続く。


 セシリーが奇抜な展開にあっけに取られている間に、カミラから渡された魔銃剣を抜刀。



「使い方は聞いている――――いけぇッ!」



 狙いは曖昧でいい、銃についている自動補正がセシリーをしっかりと捕らえ、魔弾を発射。

 弾幕といかずとも、魔力を使い果たす勢いで連射しながら疾走。



「舐められたものね……、いくら婿どのでも、慣れない武器をいきなり使うものではありませんわっ!」



 元々、セレンディアで作られた新兵器だ、その威力、効果は把握済みだとセシリーは軽々回避。

 同時に、土の壁や氷の坂などを作りだして進路妨害。

 それは観客が思わず拍手するほど鮮やかな手際だったが、カミラによって強化されたユリウスの前には無意味。

 魔弾で打ち壊し、楽々と飛び越えて最短距離でユリウスの間合いに入る。



「これで、終わりだ――――!」



 懐に入ったユリウスは、上段より一線。 



「それは一度みたのよっ!」



 対するセシリーは、騎馬戦でカミラがした様に金属製の籠手をとっさに作り出し防御。

 剣が衝突の衝撃で跳ね上がる前に、錬金魔法で魔銃剣の剣身を、籠手と一体化させる。



「――――これで、勝ちね」



 ユリウスの背後から聞こえる声。

 突きつけられる魔法の杖

 だが、どうして? セシリーはユリウスの目の前にいるのに。


(――やはり、分身)


 観客が目を疑う中、ユリウスはニヤリと笑う。

 こうなる事は、全て予想済みだった。

 そう、今の一撃が分身によって防がれ、背後に回られる事を。

 そして――――――。



「――――ああ、“俺達”の勝ちだ。」



「そん、な…………」



 ダン、ダン、ダンと魔弾が発射される音が三発。

 直後、ぐらりと傾くセシリー。

 彼女が見たものは、刃の部分から取り外された魔銃剣、否――――魔銃。

 錬金魔法も見越していたユリウスは、剣を振り下ろした直後に刃との物理接続を解除。

 そしてマントに隠して銃口をセシリーに向けていたのだった。



「安心してくれ、術式は御息女謹製の“麻痺弾”だ」



 背後にて、セシリーが倒れた音を聞き届けると。

 ユリウスはゆっくりと立ち上がり、魔銃を高々と掲げて勝利を示した。



割烹に書きましたが、投稿時間を夜七時から後にずらします。

恐らく夜十時過ぎか九時過ぎに落ち着くと思いますが。

たぶん、殆どの皆様もその頃に読んでいますよね? ね?


では、また明日


……明日はエロス注意(ボソッと小声で)

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