表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/141

30話 縛りプレイでも、魔王は魔王

タイトル変えたら、ガッポガッポだと聞かされていましたが

そうでなかったみたいなので、タイトル戻します。

……もっともっと、皆に読んでほすぃーーーー!



「まずいな……」


「ええ、皆、心が折れてしまってます」


 ゼロス王子と、ユリシーヌが深刻そうに顔を付き合わせている。

 綱引きが終わった後の白組は、目も当てられない有様であった。


「力を使い切ったとか、服が酷く汚れた程度なら、幾らでも何とかなるが、あの状態では……」


「こちらも、カミラ様の脅威を下に見過ぎていました……あれは、天災です」


 競技に参加した生徒を見れば、濡れた体操着を乾かそうともせず、ぐったりと座り、うなだれているのが大半だ。

 ヴァネッサ以下、他のメンバーがケアに当たっているが、彼らが心を取り戻すのに、今しばらく時間がかかるだろう。


「あちらは勝利に沸き立っているから、大惨事になっていないものの、これが続けばワンサイドゲームで色々と問題が起こりかねない」


 ユリシーヌが紅組の陣営を見ると、勝利に喜んではいるが、浮き足立っていない。

 カミラがよく統率しているのだろう。


(だが、あの纏まり具合はそれだけではない。……演説で言っていた生徒達に出回っている“噂”とやらも気になる。……装備の面では既に手を打ってある。――後一つ、向こうの結束を緩める事が出来れば――――)


 恐らく、カミラへのカウンターとなれるのは、自分だけだろう。

 ユリシーヌはそう決意すると、ゼロス王子へ奏上する。


「…………ゼロス王子、私に一つ案があります」


「良い手でも思いついたか? 言ってみろ」


「では耳を」


 王子の耳に口を寄せると、ユリシーヌは逆転の一手を打ち明ける。


「――――しましょう。それでその間に――――」


「……なっ!? …………ふむ。真正面からでは無いのが残念だが、それにかけるしかあるまい。――ただし“あれ”の原因がお前の想像通りでないのならば、策は中止せよ」


「ええ、偽りを暴くなら兎も角、陥れる様な事はしたくありませんから」


「…………、影失格だぞユリシーヌ」


「殿下こそ、王を継ぐものとして冷酷さが足りないのではないでしょうか」


 お互いに笑いあい、ゼロスとユリシーヌは拳を合わせた。


「白組に勝利を」


「あの魔女めを打ち倒す栄光を」


 白組の反撃が、始まろうとしていた――――!



「――と、いう次第ですカミラ様。残念ながら肝心の策の内容までは、手に入りませんでした。申し訳ありません」


 所変わって、紅組陣営。

 カミラは白組の鉢巻きを手にした“紅組”の女生徒から報告を受けていた。


「ありがとう。確か貴女は一年のミリアだったわね。汚れ仕事をさせてすまないわ」


「――――、カミラ先輩! 私の事をご存じだったのですね……嬉しいです!」


 名前を呼ばれた女生徒は、飛び上がらんばかりに歓喜した。

 なお実際の所は、ゲームで名前だけ出ていたモブがいたから、偶々使っただけの模様。

 慕われているのに、この女は酷いものである。


「大切な後輩ですもの……、名前くらいはね」


「カミラ先輩……いえ、カミラお姉さま……」


 瞳をうるうるさせたミリアの姿に、カミラは十二分に自尊心を満たし、更なる尊敬を得ようと口を滑らす。


「白組が何を企んでいようが、私達はそれを打ち破る矛と盾を持っている。それに――大丈夫、私もついているわ」


 にっこりと微笑み、ミリアの頭を撫でるカミラ。

 実際の所は全くのノープラン。出たとこ勝負である。

 そんなカミラの頭の中も知らず、うっかり納得してしまったミリアは、絶対なる信頼をカミラへ。


「ええ、ええそうでした。カミラお姉さまのハンデという事で、私達平均以下の学生が集められましたが、そんな私達でもやりかた次第で互角に戦えるって、さっき証明して貰えましたもんね」


「そうよ、貴女達は決して落第生じゃない。やり方次第で上と互角に戦える。それで勝利に足りなければ私が背中を押して上げるわ。――さ、行きましょう。次の玉入れが待っているわ」


「はいっ! カミラお姉さま!」


 アメリがいたら絶対阻止しそうな、百合の花を咲かせながら、カミラはミリアを引き連れ校庭へと向かった。



(不味いわね……、これはもしかすると、もしかするかもしれないわ)


 玉入れのスタート前。

 カミラの前には、臆することなく静かな戦意を燃やす白組の生徒達。

 不味いと感じている割には、カミラの表情は楽しげだ。

 否、本当に楽しんでいるのだ。



「さぁーて、先程の綱引きの時に水浸しになったグラウンドを直すのに、少しお待たせしてしまいましたがっ!」


「まも……なく。始まり……です……」


 アメリとエミールの放送が入る。


「さて、エミール様。こちらはまたカミラ様が出場しますが、ご勝算の程はいかに?」


「…………あえて、いいましょう」


 遠目からでも、エミールがにやりと笑うのがカミラには見えた。

 やはり、何か手を打ってきたのだろう。

 それをこの場で言うとは、どんな策なのか。


(ふふっ、聞かせて? どうやって対抗するのかしら? ふふふっ)


「な、な、なーーんとっ! あのカミラ様に対抗する策があるのですかっ! 言っちゃうのですか!? この場で!?」


 紅組にがやがやと動揺が走る中、エミールは告げた。


「……この玉入れ、白組、の……負け……」


「いきなりの敗北宣言んんんんん! これはいったいどうした事かあああああっ!」


「アメリ嬢……うる、さい……」


「おっと、これは失礼をば。――それで、その心は?」


「今回……は、勝ちを、譲ろう……、だが、覚えておくが、いい……。これは“布石”……、後の勝利の為の……“布石”」


 それを聞いた途端、不安そうにミリアがアメリを呼ぶ。


「カミラお姉さま……、これはいったい……」


「落ち着きなさいミリア――――、皆も聞きなさいっ!」


 カミラは声を張り上げた。


「今、貴方達の心は不安に満ちているでしょう……、しかし、それこそが白組の狙い! そして、心しなさい! 同時に彼らは勝利を捨てて、私達の消耗を狙っている、激しい妨害が予想されるわ」


「では、どうすればいいのですかカミラ様!」


 紅組の誰かが声を上げた。

 カミラは紅組の生徒達から背を向け、大声で叫んだ。



「――――戦いなさいっ!」



 白組に立ち向かう背中を見せつけて。



「貴方達の総てを使って! 貴方達の命を削って!」



 紅組の旗を魔法で呼び寄せ、高らかに掲げる。



「貴方達は強い! このカミラ・セレンディアが保証するわ! 私が出るまで持ちこたえろなんて言わない――命令は一つ! 勝利を!」



「――勝利を!」


「――勝利を!」


「――勝利を!」



 特に実のあることは言っていないのだが、そこはカミラのカリスマと作り上げられた雰囲気。

 仕込んでおいた手の者が、続いて叫んだことにより、紅組全員が、競技に参加していない者まで叫び始める。


 全員がドンドンと足踏みし、勝利、勝利と叫ぶ。

 空気に飲まれ、白組の戦意が揺らいだ瞬間。

 カミラは合図を出し、皆を止める。


 次の瞬間、はっと我に返ったアメリが、開戦を告げる。


「――――玉入れ開始いいいいいいいい!」


 魔法の花火が上がり爆音を轟かし、カミラは旗を振り下ろし叫んだ。




「――――蹂躙せよっ!」




「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」」


「「「「させるかよおおおおおおおおおおおっ!」」」」


 約束された混戦が、今始まった。



明日も夕方七時にアクセス!


そうで無くても、読み返してもええのんで?


私はGWでむしろ忙しくなりますが、お前らちょっと、私に休みを譲れ

さもなくば、感想とかレビューとかブクマとか評価を選ぶがよい!


夢でカミラ様に蹂躙される権利をやろう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ