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21話 デートにはトラブルがお約束。え? カミラ様の存在がトラブルそのもの? またまた~~正解です。

本日二度目、感謝の投稿!

毎度読んでくださり有難うございます!



 その後も、あれやこれやと見て回ったカミラとユリウスだが、当然のことながら奪われた『始祖』シリーズを発見する事ができず。

 裏道を見て回る事にした。


「成る程、これが裏道というやつか。何というか……」


「思ったより普通、ですか?」


「ああ、小説に出てくるように破落戸やスリ、孤児等がたむろしていると思っていた」


 市場の裏通りは、表と違い閑散としていた。

 時折、話し込むちょっと露出の高い女性の姿等が見えたが、平穏な町そのものだ。


「ふふっ、あながち間違いではありませんが、それは王都の外周部、外壁近くの貧困街の姿ですわね」


「成る程、当たり前だが一口で裏通りといっても、様々というわけだな……」


 少し言いよどんだユリウスの、その瞳が時折泳いでいるのにカミラは気付いた。


(……? ああ、娼婦の方々から目を反らしているのね、そしてそれは、嫌悪ではなく照れ)


「ふふっ、ユリウス様は初心でいらっしゃる」


「――ッ! 解っているなら指摘しないでくれ。大体何なんだ? やけに肌を見せた綺麗な女性や男が多いが」


「お分かりにならない?」


「……少なくとも、俺達が場違いだという事はわかる、そして何だ? 何で道行く者から、頑張れと言われるのは?」


「ふふふっ、くくくっ! ――本当にお分かりにならない?」


(嗚呼、やっぱりユリウスきゅんはこうでなくては! 王子に忠実な堅物で、偏った育て方をされたから女装している割に、性知識に乏しくて、ええ、この真っ白な中性的な美少年を、好きに汚せるなんて、女冥利につきますわ!)


 お前本当にユリウスのファンだったのかと、小一時間問いつめたくなる、邪悪な欲望まみれのカミラ。

 おい、始祖シリーズの探索とかデートは何処へ?

 爛々とした欲望に淀み濁った瞳に恐怖を覚え、ユリウスはカミラの腕を降り解き、一歩下がった。


「この裏道が何なのか解らないが、お前が邪な事を考えてるのは解るぞ魔女ッ! 近づくんじゃないッ!」


「ふふっ、大丈夫ですよ。――最初は、誰でも上手く出来ないものですし、私も初めてですから」


「何の話だッ!」


 怪しげなカミラに気圧され、更に一歩下がる。

 がしかし無情かな、そこは壁であった。


「ふふっ、逃げられませんわよ。ちょっとでいいんです、そこのお店に入ってみませんか?」


 はあはあ、と変質者そのものであるカミラ。

 ユリウスは逃げようとするが、即座に肩を強く捕まれ逃げられない。

 ――知っているか、魔王からは逃げられない。


「くそッ! 放せッ!」


「おいおい、にーちゃん! 可愛い子ちゃんが誘ってんだ、男見せな! がはははは!」


「今が女の見せ時だよ貴族のお嬢ちゃん! 一発ヤっちまえば男なんてアタシら女のもんさね!」


 やいのやいの、がーがーと、通りがかった野次馬の声援を受け、カミラは奮起する。

 そうこの裏通りは所謂、――夜の店の通り。

 談笑している女は娼婦で、行き交う男は客か客引きだ。

 更にカミラが連れて行こうとしている店は――連れ込み宿、男と女が休憩か一泊するアレである。


「大丈夫ですわ。ラブホは初めてですけど、きっと何とかなりますし!」


「ラブホとやらが何か解らんがッ! 絶対危険な所だろッ!」


 ある意味正解である。


「さきっちょだけ、さきっちょだけだから!」


「お前の言う通りにしたら、人生終わるだろ絶対ッ! 何のさきっちょか知らないが、渡すものかよッ!」


 カミラが魔王の力まで動員し、大人げない全力で一歩一歩宿まで引きずる。

 女に力負けするとは情けない、とは言うなかれ。

 ここはカミラに抵抗出来る、ユリウスの実力を褒めるべきだろう。

 そして誰もかも、中性的な美少年が、綺麗だけど悪役顔の少女に美味しく頂かれてしまうと確信し。

 ――その時、野太い声が響きわたった。



「あっら~~ん? 外が五月蠅いと思ったら、素敵な猫ちゃん達がいるじゃな~~い?」



「へ、変態だ(よ)ーーーーッ!」


 瞬間、通りから人が消えた。

 数少ない開いていた店は、バタンとドアを閉じ、ガシャンと鍵を閉める。

 娼婦も客も客引きも即座に逃げ出して、残るは逃げそびれたユリウスとカミラのみ。


「あら~~ん、変態!? どこどこ~、いやーん!」


(あ、あんたの事よ――――!)


 カミラは口をぱくぱくさせながら、内心で絶叫。

 ――それは奇妙な男? だった。

 背は高く、腹は太く、そして金髪ロールの鬘をしていた。


(ざ、雑過ぎる、女装としては、余りにも雑だ……ッ!)


 だがサイズの合っていない鬘は、所々地毛と思しき黒色が見え。

 上半身裸に、謎のロングスカート。

 ついでに言えば、逞しいカイゼル髭である。


(え、え? 何コイツ? こんなのゲームじゃいなかったわ!?)


(くっ、何という存在感ッ! そして――筆だと!? その筆で何をするつもりだッ!)


 正確には『聖女の為に鐘は鳴る』でいなかったキャラクターだ。

 実際にはBLゲーである前作にも……実は居らず。

 どっかの同人作家が男性向け同人誌で出した作者を模したオリキャラ、オッディ三世である。

 解れと言う方が無茶だ。


 なお余談だが、その同人誌の中身はセーラとゼロスのイチャラブ本で。

 彼の人の役所は、喧嘩した二人を仲直りさせるキューピッドの役目であった。

 つまり――。


「ねぇ~~ん。ちみ達(被写体として)いいツラと体してるわね~~ん」


「ひぃっ!」


「お、お前は何者で、何が目的だッ!」


 仲良く抱き合いながら震える二人に、オッディ三世は(自分としては)にこやかに笑い近づく。


(こ、これは色情魔の笑いだわ! ユリウス共々犯される!?)


 目の前のインパクトに、自分が最強である事を忘れ役に立たないカミラ。

 それを見たユリウスは、意を決してカミラを守るように前に出た。

 いや、こんな女は守らなくていいから。


「ユリウスっ! 駄目っ!」


「怖がらなくてもいいわぁ、(被写体として)立っているだけの簡単なお仕事があるのよん。もちのろん、報酬は弾むわぁ!」


「立っているだけ? 嘘を言うなッ! (どんな卑猥な事を)その大きな筆でするつもりだッ!」


「う~~ん? 勿論(絵を描いて)楽しい時間を過ごすつもりよ~~ん! 後悔はさせないわん」


 こちらを値踏みするような、舐め回るような視線を向けられユリウスとカミラは身震いした。(※誤解です)

 これ以上ここに居ては危ないと、素早く視線を合わせると、共に手を取り合った。


「すまないが、――――断らせてもらうッ! いくぞカミラッ!」


「はいっ、ユリウス様っ!」


 脱兎のごとく駆けだした彼らの背に、野太い声がかかる。


「いや~~ん、待ってえ~~ん!」


 ドスドスと、意外と早いスピードの変態に、カミラ達は必死で走った。



 未来に置いて、カミラ夫妻の肖像画は多数残っている。

 生涯に渡り、カミラの保護を受け、多数の王族を描いた画家の名前はオッディ三世と言うのだが。

 それはまた、別の機会に語るとしよう。


 ~~とある歴史作家の手記より。


もっと、もっとだ……、もっと読者様よ増えろ!

そして未来永劫、ポイントを入れ続けるのだ――!(ポイント乞食を通り越して、もはや只の強欲感)


戯言はさておき、カミラ様に夢で踏まれたい人たちがいるようで何よりです。

間違えました。

ブクマや評価有難うございます。


明日も二話投稿するので、後楽園遊園地でカミラ様と握手!


あ、言い忘れてました。

オッディ三世は、世界観に関わる重要な伏線です。

伏線です。(大事なことなので二度言いました)

なお今後の登場は未定です。

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