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19話 朱に交われば……じゃねぇ、類は友を呼ぶ、残酷な話だけどな。

という訳で本日二回目の投稿です。


 カミラとユリウスが喜んだ一方で。

 ユリウス=ユリシーヌだと気付いた夫妻は、彼の背景を察しその事については口をつぐんだ。

 ――しかし、謎は残る。


「カミラ。お前に今まで浮いた話、好きな男の話一つしなかったのは理解した。だが、いったい何処で知り合ったのだ?」


「ユリシーヌ様とご一緒している時、ユリウス様と出会い。その、恥ずかしながら一目惚れしたのです。ユリウス様は夢幻の様なお立場、けれどどうしても諦めきれなくて……」


 だいたい嘘は言ってないのが、悪どい所。

 こっそり魔法で聞いていたアメリは、物は言い様ですねぇ……、と呆れたコメントを残したが、そこはそれ。

 精一杯恥ずかしがって、乙女ぶって、大好きアピールだ。


(今回の事はまったく以て想定外でしたが、これでユリウスの立場が認められ、婚約者となってくれたら儲けものでしょうけど、流石にそこまでは望みすぎでしょうね……)


 カミラの邪な考えは兎も角、ユリウスは紳士に訴える。


「……私達の事は認めて頂けないかもしれません。けれど、どうか。どうかッ! せめて、今回の王子との婚約は取りやめて欲しいのですッ!」


「私からもお願いします。……私はユリウスが好き、愛しているのよ。わかって、パパ様ママ様。――そして陛下、殿下の事は嫌いではありません、でも、私の男はこのユリウスだけなのです」


 静かに頭を下げるユリウスと共に、手を繋いでカミラも頭を下げる。

 一見してみると緊迫のシーンなのだが、裏では別の問題が起こっていた。


(ぐ、ぐううぅ! 何というプレッシャー! おいっ! ゼロス、もしやこの茶番はマジかっ!?)


(――ぐっ! 父上、残念ながらカミラ嬢は本気ですぞ! ユリウスの事は兎も角、この縁談を無しに、或いは破談にしなければ、どうなる事やら想像もつきません!)


 そう、ここで少し巻き戻してみよう。


「――そして陛下(王と王子にゴウっと威圧)

 殿下の事は嫌いではありません。(ただの友人だから)

 でも、私の『男』は(口出ししたら殺す)

 このユリウス(男としての姿が欲しいから、いずれはユリシーヌじゃなくすから)

 だけなのです(今回の件でユリウスに何かしたら、承知しないから)」


 はい、もうお分かりですね。

 カミラの側からしてみれば、好きな人が嘘をついてまで、リスクを背負って己の縁談を破談にしようとしてくれるいいシーンが。

 反対側から見れば、アタイの男に手ェ出したら殺す、という暗躍する魔王の脅迫シーンに早変わりである。

 ――だが、ジッド王は王であった。そして勇者であった叔父さん大好きな王であった!


「……よかろうカミラ嬢、そなたの気持ちは受け取った。此度の話は王家の威信にかけて無しにしよう。よいなセレンディア公爵、そして奥方」


「――はっ! 王のご命令とあらばっ!」

「――承知致しました」

「ありがとうございます陛下。――きっとご聡明な陛下の御代と次代の王の御代は安泰でしょう」


 約束破ったら殺す、と言わんばかりに艶やかに微笑むカミラに、魔王の威圧に負ける事無くジッド王は続けた。



「だが、――――ユリウスはやらんぞカミラ嬢!」



「――なっ!?」


「聞こえなかったか? ユリウスはやらんと言ったのだ……!」


 足をプルプルさせながら、キメ顔で言い切ったジッド王に、困惑の声が上がる。


「父上!?」「へ、陛下、何を……?」


 だがカミラは違った。

 ジッド王の真意に気付いたのだ。


「ええ、そうでしょう。そうでしょうね……、私が陛下の立場でも、そう言ったでしょうから」


「ふむ……、流石、ユリウスと共に在る者と褒めてやろう。ならば我らは相容れはしないであろう?」


「いいえ陛下、それは違いますわ。私達は、きっと分かり合う事が出来るのです」


 無駄に火花を散らす二人の前に、他の者は置いてけぼりだ。


「なあユリウス、陛下とカミラ嬢の言葉がさっぱりわからんのだが、お前心当たりあるか?」


「いや、残念ながら……」


「――はっ! もしや陛下は、成る程そういう事か!?」


「え、アナタは解ったの? あの下らなさそうな空気の事」


 置いてけぼりの三人は、クラウスの言葉を待つ。

 ただし、その目はゲンナリしていたが。


「……あれは私がカイス殿下の従者をしていた頃だった。あの頃の陛下はカイス殿下によく懐いていてな」


 誰もがユリウスとカイスに繋がりがあるとは、直接言わないが、つまりそうであるのだ。


「つまり公爵? 父上はもしかしてユリウスを非常に気に入っている可能性があると?」


「ああ、ウチの息子をあんな危険人物にやれないと、言うことですわね」


「父上、俺が危険物と結婚するのは良かったのですか!?」


「王子にはヴァネッサ様がいましたから、きっとそうですよ。――そしてセシリー様!? ご自分の娘を地雷呼ばわりとは……」


「ふふっ、そこまで言ってませんわ私達の新しい息子。だっていくら可愛い我が子でも、カミラですもの」


「成る程……じゃないッ! 息子扱いしないでくれませんかッ! まだ早いッ、じゃなくて……!」


 焦るユリウスに、クラウスが肩をポンと叩き親指を立てる。


「うう、私はカイス殿下の従者をしていたんだ。『何故』かは解らないが、殿下によく『似ている』君がカミラの夫になってくれるなら、こんなに嬉しい事はない……!」


「くそッ! 魔女めッ! 外堀を埋めて来やがったか――!?」


「落ち着けユリウス、あのカミラ嬢の親だぞ? きっと天然だ」


「……殿下もさり気なく口が悪いですね。後でヴァネッサ様に言いつけておきます」


「ず、狡いぞユリウス!?」


 等と四人が脱線していた間に、カミラとジッド王は激烈な熱戦を繰り広げて。

 互いに息を荒げて、健闘を讃え合っていた。


「……はぁ、はぁ。……ふふっ、やるじゃありませんか陛下。よもや私のユリウスコレクションに匹敵するお宝アイテムをお持ちとは……!」


「……ふぅ、……ふぅ、……はぁ。流石我が国一の魔法使い、生まれた時から見守っていた我のユリウスセレクションに匹敵する秘宝をもつとはな……!」


 詳しく内容は語らないが、現代日本では犯罪で一発逮捕、ストーカー法にもプライバシー保護法にも余裕で引っかかるとだけ言っておこう。

 こんな奴らが上にいていいのか、大陸統一国家ジラールランド!

 ――なお、二人のコレクションとセレクションは、後でユリウス直々に破壊されました。


 数刻後に待つお宝破壊の悲劇も知らないで、ジッド王とカミラは肩を組んで意気投合する。


「はっはっはー! よし、もう何も言わない、全てはお前の手で勝ち取るがよい……!」


「ありがたきお言葉、子が産まれたら陛下にも抱かせて上げましょう」


 そんな二人を複雑そうな顔でみる主従。


「くっ、見てられん……。ユリウス、後で陛下とカミラ嬢を……」


「ええ、勿論だゼロス。後でヴァネッサ達にも声をかけときましょう」


 ゼロス王子とユリウスの様子に気付かず、カミラは言った。


「王命が下ったわ! 明日、私たちは奪われた『始祖』の宝物探索を城下町で行うわ、無論男女ペアで、『ユリウス』の特別参加も認められたわ! つまり、皆でデートをしましょう!」


「もう少しオブラートに包めカミラあああああああああ!」


 カミラに対し遠慮が脱げ去ったユリウスの叫びが木霊する。

 ――つまり、そういうことになった。



乞食みたいなおねだりに、答えてくださって有難う御座います!(でももっと欲しいです)


御蔭でランキング外を免れただけでなく、日刊99位に入ってました! マジか…! マジだよ…!(午後六時五十分ごろ確認)


ですんで、明日も二話投稿です。(まあ、ポイントの為に書いてる訳ではないですが、あると凄い嬉しくて、執筆速度も上がる、マジです)


……もっとこの小説を広めてくれてもいいのよ?

掲示板に晒したり、親、友人、恋人に勧めてもいいのよ?

皆に面白いと思っていただけるのが、私の喜びですから。


――勧めて、趣味を疑われても私は関知しませんが(笑)


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