138話 セーラの輝き
「長い、長い戦いだったわ…………」
北風が肌に突き刺さる様な寒さの中、カミラは意味深気に呟いた。
「気持ちは解りますがまだ始まってませんよっ! これからですよカミラ様!?」
アメリもまた、寒さに震えながらツッコム。ユリウスはと言えば、やや呆れ顔でこぼす。
「出発の式典に二時間半、それから移動で三十分。長いと見るか、短いと見るべきか…………」
カミラ達三人は今、魔王城跡地に出現した“世界樹”の前に居た。
ユリウスの言の通り、ここまでの所要時間三時間。
盛大で活気があったが、当事者としては退屈な二時間半の主に眠気で苦しい戦いを経て。
これまた主に、科学の勝利とも言うべき音速飛行可能な輸送機に揺られる事三十分。
念のため、十キロ離れた所に着陸の後、全長数キロの円柱を見上げながら、こうして今は入り口だ。
三人はガラス張りの自動ドアを潜り、中に入る。
当然の様に受付フロアは無人。
特に罠や障害が待ち受けるでも無く、指定された中層の大広間を目指し、登り始める。
「色んな事があったわね…………これが終わったら私、結婚式をするのよっ!」
「何か不吉な事を言わないでくださいよぉ。その前にわたしの婚約者探しに付き合って貰いますからねっ!」
「お前達。もう少し、緊張感をだな…………。それにしても、エレベーターというのは便利だ。なぁカミラ、王城にも設置出来ないかこれ」
三人は緊張感に欠けたまま、一気に中層へ。
無理もない、最終決戦と言えば聞こえはいいが、恐らく死人は愚か、どんなに酷くても軽傷者くらいしか出ない茶番劇だ。
カミラはたわいもない事を二人と話しながら、過去を思い返す。
ループに気づいた日、どうにも出来なかった絶望、世界の真実、そして、そして。
「――――ありがとう、ユリウス。貴男が居なければ、私は今、ここに居ないわ。きっと魂が擦り切れるまま、ループの中を彷徨っていた」
「礼を言うのは此方の方だ。お前が居なければ、俺はこんなにも真っ直ぐに、誰かを愛する事などなかっただろう。誰かが隣にいる喜びを、知らなかっただろう。だから――――ありがとう」
カミラは左手を、ユリウスは右手を、そっと寄せて握る。
その姿を、少し後ろからアメリは見ていた。
(おめでとうございますカミラ様、――――それにしても、セーラは何を考えて、カミラ様と直接対決なんか…………)
そして、チーンという軽快な音が、目的の階層に着いた事を教え。
扉は、開かれた。
□
中に入れば、そこは草原。
長期に渡り生活する避難民のストレス緩和の為に作られた、自然公園。
そこの中心で今、セーラは仁王立ちで待ち受けていた。
(――――あぁ、くらくらする。アイツ、よくもまぁこんなに沢山の記憶抱えて生きてるわね)
傍らにはガルドが、やや不安げにセーラを見ている。
彼には悪いが、セーラには引く気は無い。
寧ろ、数多の自分の記憶を知り、決意が堅くなっている程である。
(カミラ、いくらアンタがユリウスと幸せになってもね、それだけじゃ治らないモノだってあるのよ)
学園一つは丸々入る敷地とはいえ、開けた場所。
カミラ達は、一分もかからずにそこへ辿り着く。
「――――臆せずよく来たわ、カミラ・セレンディア」
「話は聞いている、ここを破壊するのだろう。でもその前に、セーラに付き合っては貰えないか?」
申し訳なさそうに言うガルドに、カミラは不穏なものを感じ。
セーラはただ静かにカミラを、そしてアメリを見る。
(アメリ、アンタじゃダメなのよ。アンタでは、カミラに近すぎる)
カミラ・セレンセレンディアの唯一無二と言える欠点、それを埋めることが出来ない。
思わず拳を握るセーラに気づかず、カミラは戸惑っていた。
セーラと対決する、それは聞いている。
聞いてはいたが、正直、彼女との意地の張り合いだと。
この茶番劇に相応しい、レクリエーションの様なモノと。
だが。
だが、この雰囲気は。
こちらを睨むも、何処か焦点の合わない瞳で、“魔王”の膨大な魔力を揺らめかせる様子は何だ。
カミラはアメリとユリウスに合図を出し、打ち合わせ通り百メートル程後ろに下がらせる。
同時にガルドもまたセーラの後ろに下がり、カミラとセーラの二人だけが残される。
彼女に何があったのだろうか。シーダ0がしでかしたのか。
そんな疑問を解消すべく、カミラは口を開く。
「色々と聞きたい事はあるけれど。生身の肉体を得た気持ちはどう?」
「思ったより変わらないわね、でも、気持ちの上では段違い。――――ありがとう。素直に言っておくわ」
環境プログラム通りの一陣の風が吹き、セーラの赤い長髪を揺らす。
さわやかな草木の匂い、風の音。
セーラはそれらを鬱陶しいと言わんばかりに、鼻で笑うと、カミラを睨みつけた。
「ねぇカミラ、アンタがここをどうしようと構わない。――――だからその代わり、一戦交えて頂戴」
「別に構わないけれど、何故そんなにやる気になっているのかしら?」
飄々と受け流すカミラに、セーラは魔力の“圧”を強くしながら答える。
「すまないわね、今のアタシは“ちょっと”特殊な状態で、“少し”しか持たないのよ」
ちょっと、少し、特殊な状態。
(――――思えば、彼女との付き合いも長いわね。貴女がやると言うなら。ええ、そうね。私も全力でお相手するわ)
カミラはセーラの言葉の中に本気を悟り、己が心を切り替える。
セーラが、カミラと“同じ”事を感じているという事実に気づかずに。
「いくわよカミラ。――――この一戦はアンタの為に、そしてアタシの為に」
「行くわよセーラ。――――私の全てはユリウスの為に」
今のカミラには、未来への希望。
そして、ユリウスへの想いしかない。
断じて、負ける筈がない。
セーラが見ているモノは未来、そして過去。
最後の最後で、世界に裏切られ、敗北を重ね続けてきたカミラの為に。
示すのだ、彼女の世界への“不振”を晴らす為に。
(見ていてユリウス、貴男に見せつけてあげる。私がどんなに“いい女”かって事を――――!)
(解らせてあげるっ! アタシの欠点を! そしてそれはアタシだけの役目なんだから――――!)
□
最初のぶつかり合い、その先を取ったのはセーラだった。
魔王の魔力出力に任せて、彼我の差、十メートルを瞬時に詰め右ストレート。
(反応出来ない速度じゃないわっ!)
対するカミラは、侵・雷神拳を発動させながら受け流しカウンター。
だがセーラはそれを難なく交わし、二人の位置がぐるりと入れ替わる。
「やるようになったっ!」
「場数を踏んでるのがアンタだけとでもっ!」
二人はそのまま拳の応酬、フック、ジャブ、ストレート、掌底に裏拳、回し蹴り。
歴戦の猛者でも目で追うのがやっとの攻防を繰り返す。
(――――何か“変”よ! でも考えてる暇は無い)
カミラの培った経験と技は、魔王となって強化されたセーラと拮抗かに見えた。
(予想はしてたけどっ! 何でこの馬鹿女は対抗出来てんのよっ!)
一時的とはいえ、セーラはカミラとほぼ同等の経験と技を身につけている。
アドバンテージで言えば有利、だがこの格闘戦に限り座して待てばセーラの敗北は濃厚だ。
「忌々しいオンナねアンタぁ――――!」
「――――幾ら“力”を得ようともっ!!」
セーラが距離を取る為、攻撃の手を緩めた瞬間。
カミラは見逃さずにガゼルパンチ、辛うじて防御が間に合ったセーラは、その勢いを利用し、空へと舞い上がる。
「これなら、――――どうよってもんよおおおおおおおおおおおっ!」
セーラは戦場である半径百メートルの空を、魔力の光弾で埋め尽くし、間を置かず一斉発射。
「チぃっ、小賢しいっ!」
頭で考えるより早くカミラは疾走。
直後、元居た場所に数百を越える光弾が着弾。
それだけでは無い。
セーラとて初撃が外れるのは予想済み、次々と新たな光弾を産みだし偏差射撃、誘導弾を混ぜるのも忘れない。
「あははははははははっ! いくらアンタでもっ! 魔王の力が無ければ――――」
「来るのが解っているならっ!」
暫くジグザクに走った後、誘導弾を避けきれないと判断するや否や、カミラもまた飛翔し、セーラの元に向かう。
(セーラの魔力の“波”は解析済みよっ! 中和し霧散させる魔力の剣で、回避せずにつっこむ!)
カミラの出現させた七つの光剣に、直線弾や誘導弾、浮遊機雷として設置したモノまで無力化され。
しかして、セーラは勇ましく笑った。
(馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿、馬鹿オンナっ! その執念だけは認めてあげるわよっ!)
認めなくてはならない。
カミラ・セレンディアという人物の経験・技、そして――――心。
「この万能感っ! 堪らないわねぇええええええええ!」
「力に溺れて負けなさいいいいいいいいっ!」
聖女という役目と力に酔っていた、だから解る。
魔王という力は危険だ。
以前のセーラならば、酔いのあまり世界征服でも始めただろう。
(嘘っ! こんな早――――――)
(取ったっ! 手足は頂いてっ!)
カミラのスピードと光剣に対応出来ず、両腕と両足を切られる。
血は出ない。
切ったのは魔王の力。
体から腕と脚へ流れる、魔王の魔力との接続状況。
「――――私だって、魔王だったのよ。対策くらい考えてあるわ」
「だからってぇええええええええええええええ!」
空間を埋め尽くしていたセーラの光弾が消え、同時に墜落する。
宙に止まり見下ろすカミラに、セーラは次の手を打った。
セーラが与えられたのは、魔王の力と権限だけではない。
即ち――――。
「――――傀儡兵っ!? なんてもの持ち出してるのよっ!?」
「アンタの言う事じゃないわねっ!」
地面に激突する寸前、セーラを助けたのは傀儡兵――――AI制御の戦闘用パワードスーツ。
(科学の力は、あのバカを助けなかった! 幸せにしなかった!)
だから、乗り越えてみせろと、セーラは十体の傀儡兵を天井より出現させ、カミラを包囲する。
「――――私の輝きの前にっ! 機械は人を支配するべきではないわっ!」
傀儡兵の抱える大型ビームカノンから、暴徒鎮圧用に調節された粒子が放たれる、カミラめがけて限りなく光りに近い速度で放たれる。
だが。
だが。
「侵・雷神拳を甘く見ない事ね――――」
カミラには通じない。
物理法則に従い発射されたビームは、人為的に引き起こされた“奇跡”により、当たる前に霧散。
無害な光となり、カミラの周囲を彩るだけだ。
「――――ちぃっ! 突撃して自爆っ!」
「無茶苦茶する――――」
まずは一体と、セーラの真正面にいる傀儡兵へと突貫。
だが、カミラの拳が届く前に爆散。
カミラ本人には侵・雷神拳の効果でダメージは来ないが、一瞬だけ緩んだスピードの隙を突かれ、傀儡兵が殺到。
四方八方から、逃げ場が無い程の爆発がカミラを襲う。
(侵・雷神拳は奇跡を起こす。でもそれは万能を意味しないわ)
先のビーム攻撃と同じく、爆風はカミラだけを綺麗に避けていくが、その熱波は防げない。
(さっきみたいに事前に飛翔を魔法を使っていた場合を除き、侵・雷神拳を使っている間は新たに魔法を使えない)
解除すれば魔法が使えるが、その場合、防御魔法が間に合うかは判らない。
高熱の熱波と薄い酸素に耐えながら、カミラは一歩一歩前に進む。
永遠とも感じる数秒の後には、焼け野原と、新たな傀儡兵を出したセーラの姿。
「重力制御に長けた大型ハイエンドタイプっ!?」
「本命はこっちよ、上手に踊りなさいよカミラ。――――いっけぇえええええええ!」
セーラの号令と共に、十メートルサイズの傀儡兵がカミラに向かって突進。
「一体、二体…………まだ増えるのっ!?」
「全部で十体。見た感じ、さっきの変な技は近距離専用で、しかも一つの事しか出来ないみたいね。この人形達は、堅さも早さも倍以上、それに重力まで操作できるって言っていたわ。――――これで、“詰み”よ」
勝ち誇るセーラを前に、カミラは必死で逃げまどう。
ハイエンドタイプの重力制御の前では、カミラの魔法は出力不足。
一度重力に捕まったら抜け出せず、避けて近づき、機体表面を覆う重力シールドが待っている。
(足りない…………! 一手足りないわ)
カミラの魔力をどんなに圧縮して発射しても、どんなに高度な魔法陣をもって魔法を発動しても。
一般家庭の蛇口は、ダムの放水には勝てない。
(負ける!? 負けるっていうのっ!?)
カミラが必死になって、勝利への糸口を探す中。
セーラは、呟く。
「…………今一度、覚えておいてカミラ。圧倒的な力は絶対じゃない。勝利も、幸せも保証しない」
きっとカミラは、この窮地も乗り越えてセーラの前に立つだろう。
予感でも願望でもなく、確信。
この先どんな困難があっても、彼女が打ち勝つ事を願って。
この先どんな“力”を手に入れても、それを振るう相手を間違わないように。
「人の輝き、光があるのなら。アタシが見せてあげる。――――だから、勝ちなさいカミラ」
セーラが祈る様にカミラを見つめる中、カミラはセーラに違和感を覚えていた。
(違う。これはセーラの、今の“セーラ”のやり方じゃないっ!)
重力の網をくぐり抜け、振り下ろされる巨大な拳をいなし、カミラは思考する。
(使える物は何でも使う、確かな目的とメッセージを込めて。それは――――)
それはまるで、“共に”魔王と戦った時の様に。
(セーラは何かを伝えたい――――ええ、感じていたわ)
警告、警鐘、――――そして、願い。
(いいえ、願いではない。それはきっと)
きっと――――。
カミラは思い浮かんだ答えに、頭を振った。
今は、そんな事を気にしている場合ではない。
(遠距離では出力不足、接近戦では一手足りない)
ならばと、カミラは首から下げた銀時計を握る。
(私だけが使える力、鍵はきっとここよ)
だが、どうすればいいだろうか。
時を止めてセーラへ向かう、その勝ち方は敗北も同然だ。
(これは殺し合いでは無いわ。――――女として、一人の人間としての“勝負”)
矜持に賭けて、時を止めたり、時間遡行で有利に持っていく事は出来ない。
(何か、何か使えるものはっ!)
地形を変える――――、重力制御の前では無意味。
大気の状況を変えて――――、そんなもの対策されている。
(――――大気。…………大気?)
巨兵の又を潜り、背中を踏み台に跳躍し、拳を受け止め背負い投げ、横からのトゥキックをバク転で回避。
(これよっ! これならば、侵・雷神拳を超える何かがっ!)
侵・雷神拳とは、カミラの魔力を超能力として発言させたモノ。
時間操作には、時空間を超越するタキオン粒子が必要。
(この二つを合わせれば――――――――っ!)
カミラは大きく跳躍し、空に張り巡らされた重力の網に態とかかる。これならば傀儡巨兵といえど、カミラを捕縛する為に、一度動きを止める。
「勝負を捨てたのっ!?」
「真逆っ! これで私の勝利よっ!」
侵・雷神拳とタキオン。
巨兵の手が伸ばされる中、カミラはぶっつけ本番で融合を始める。
紫電を放つ奇跡の雷の中に、カミラだけが見える極彩色の粒子が集まり――――。
「――――――――極光・雷神撃」
その瞬間、全ての防壁防御を無視して、奇跡の雷が全ての傀儡巨兵の電子回路を焼き尽くした。
「…………アンタって奴は、ホントに規格外だわ。モブ詐欺も甚だしいっての」
「貴女こそ、聖女にしては行動に慎みが無いわね。原作主人公を見習ったらどう?」
ドスンと大きな音をたて倒れる傀儡兵に構わず、涼しい顔でカミラはセーラの前に降り立つ。
セーラもまた、呆れ顔でカミラを出迎えた。
「それで、まだ続ける? これ以上やっても繰り返しになるだけよ」
「でしょうね。万策尽きたって所かしら」
「その割には、貴女の瞳。戦う意志が消えていないのだけれど?」
再び彼我の距離は、大凡十メートル。
最初の時の様な速度は出せないと、カミラは踏んでいたが、油断せず構える。
「ねぇカミラ。アンタがアンタだから、アタシの歩みは止められないのよ」
セーラは一歩踏み出す。
そろそろ、この勝負を決める時だ。
「…………意味が解らないわ」
セーラには闘志がある、しかし攻撃の意志は無い。
それがカミラを戸惑わせ、静観へと移行する。
「――――お願いガルド」
魔法で、そして声にだして、セーラはある事をガルドに頼んだ。
「あら、適わないと知って、ガルドに頼むの? 良いわよ。それでも私の勝利は揺るがない」
一歩、また一歩とセーラは進む。
「バカね。そんなんじゃないわ」
一歩、また一歩とセーラはカミラに近づく。
「――――何のつもり? 貴女の拳一つ、私には当たらないわ」
「違うわカミラ。――――“力”なんて、要らないのよ」
またも着実に近づき、同時にセーラの体から“魔王”の魔力が消える。
(魔力を押さえた? いいえ違うっ! 魔王の“力”を放棄した!? さっきのガルドへはこれを――――)
何かよくない事が起ころうとしている。
思わず一歩下がったカミラに、セーラは言った。
「ねぇカミラ。今のアタシはね、アンタと過ごした全てのアタシの“記憶”を持ってる」
「――――シーダ0!」
何の為に、何の目的で。
カミラが侵・雷神拳を発動させる中、セーラは苦笑する。
「ご明察。だからこう言うわ。――――アンタを倒すのに、武器は“力”は要らない」
「アンタは言ったわ。――――愛してるって、親友だって」
その言葉に、カミラの体から闘志が薄れゆく。
(何で、何でっ! 今になって――――)
ずっと、ずっと欲しかったのだ。
同じ様にループの記憶を持つ人物を。
幾度と無く探して、でもそれはカミラ一人。
早々と諦めて、でも、心の何処かで望んで。
(孤独を分け合いたかった、悲しみを、怒りを、喜びも、楽しかった時だって)
幾ら記憶を見せて理解が得られても、長い繰り返しを共に過ごした本人ではない。
カミラは力なく拳を降ろし、近づくセーラを見た。
「アンタわね、もう二度と一人で頑張んなくてもいいの。ガルドもアメリも、ユリウスも。――――アタシも居るんだから、さ」
「ありが、とう………………」
頬に涙を伝わせるカミラを、セーラはふわりと抱きしめた。
「これで、アタシの勝ちね」
「ええ、私の負けだわセーラ」
二人は皆が駆け寄って来るまで、ずっと、抱きしめ在っていた。
カミラは敗北した。
だがそれは、とても幸せな事だった。
残り@二話+エピローグ
この期に及んでというか。
行間関係を、少し変えてみました。
…………読みやすくなった?
ではでは、次話は来週です。