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124話 ループは続くよ何処までも、カミラ様ベリールナティックエクストリームビックボス大往生ハード

新規読者に優しい今までの粗筋。


転生してループしたけど、私は元気です。

辛いこともあったけどループ終了、魔王になったので最萌キャラ嫁にするべ!

なんやかんやで女装イケメンを堕としたやったZE。

か、過去が追い付いてきただと……!?

過去が重すぎて胃もたれしたので、皆も巻き添えです(真顔)←今ここNEW!



 赤子の声と、その心の声が聞こえてくる事態に、カミラ以外がざわめいた。



「成る程、カミラの体験したタイムリープ現象はこういうモノだったか」



「っていうかアンタ、反応が転生モノそのままじゃない。…………あ、そっか。今、前世に覚醒したのか」



「何か、いっきに今のカミラ様に近づきましたねぇ…………」



「か、カミラ!? これはいったいどういう事なのだ!?」



 腑に落ちた顔の三人と対象に、困惑極まった顔で父クラウスが大声を出した。

 残りの皆も、首を縦に振っている。



「私はね。この瞬間から十六の誕生日を――――何度も、繰り返していたのよ」



「何度もッ!? ――いや、そうなのだろう。だが、繰り返して“いた”とは? 今は違うのか?」



 焦燥を浮かべ、不安を隠さずに問いかけるユリウスに、カミラは静かな眼で答えた。



「ええ、私は繰り返しから抜け出したわ。ただ、今見ている場面から、ずっと後の事だけど」



 映像では、セシリーに抱かれあやされるカミラが、何かに気づいたように、ああっ! と心の叫び声をあげていた。



『ばぶばぶばう~~』

『(ちょっ! これって、「聖女の為に鐘は鳴る」に転生したんじゃないっ!? ひゃっほぅ! 死ぬ直前まで人生捧げてたかいあったわ!)』



「…………これは酷い。というか初期のアンタは、アタシの事、責められないんじゃない?」



「…………この頃は、私も未熟だったのよ」



 恥ずかしい過去を、文字通り恥じいる様に、カミラは映像を早回し。

 急速に成長していくカミラだったが、赤子の頃から人格が形成されている以外、前回とほぼ同じ道筋であった。



「同じなら、飛ばすべきか――――いや、それよりだ」



 堅い声で、ガルドがカミラを見つめた。

 その顔には、敵意にも似た怒りがこもっており、セーラとカミラ以外は戸惑っている。



「ええ、当然の疑問ね。聞きましょう」



「では一つ――――『聖女の為に鐘は鳴る』とは何だ?」



「ああ、確かにそんな奇妙な単語を言っていたな。何か、重要な意味があるのかカミラ嬢?」



 カミラは口を開こうとして躊躇い、映像を等倍再生にする事で、疑問に答えた。

 映像では十歳程のカミラが、自室にて何かを書き記している。



『私の名前はカミラ・セレンディア。えーと、それから書くべきは…………そうそう、ゲームの事を忘れないようにっと』



『ゲームという概念の説明は必要かな? やっぱりっていうか、こっちの世界には乙女ゲー無いし。まぁ、必要になったら、前世で今の世界の、セーラを主人公とした物語を読んだ。という事にしましょう』



『いくら今が現実とはいえ、貴方達は、前世で虚構の存在だったの、とは言えないしね――――』



「この時の私は、こういう認識だったわ。――――本当は、半分正しくて、半分間違っていたのだけれど。ええ、“虚しい悪意”だったわ」



 要領を得ない、今のカミラの説明は兎も角。

 子供カミラのモノローグに、セーラ以外が動揺する。



「つまり、カミラは、…………どこか違う世界の物語の人物に、生まれ変わった。そう思ったのか?」



「理解が早くて助かるわユリウス。最初に死ぬ前の私は違うけれど、この二周目から、私は前世を思い出した。――――そして、気づいたの」



『というかさぁ、何でカミラなんかに生まれ変わった訳よ! 脇役にも程があるじゃないっ! いや、待って、もしかしてこれは――――原作キャラと仲良くなるフラグ! 二次創作や乙女ゲーネタのラノベでよくあるパターンでは!?』



「うう…………、カミラの思考がアタシと同じで辛い…………、あー、何という黒歴史。よく見せる気になったわねアンタ」



「わかってくれるセーラ! でも思うわよね! 私だけじゃないわよねっ!」



 皆の呆れた視線の中、がっちりと固い握手を交わすカミラとセーラ。

 一方で、映像では子供カミラが更に続ける。



『何で、カミラとして一度死んだ記憶があるのか解らないけど、これってやっぱり。十六歳の誕生日が生存出来るタイムリミットって事なのかな? ――――どのルートでも魔族の最初の襲撃で死ぬ上に、ゲーム中で名前さえ出ないキャラとか…………詰んでない?』



『セーラの親友役、アメリの立ち位置奪って生存戦略するのがいいのか、それとも物理防御力凄そうな、ウィルソンを原作知識で籠絡でも…………うーん。ゼロス王子に取り入った方が早いのかしら?』



「節操ないですよカミラ様!? というか、ユリウス様は? ユリウス様の存在は知っていたんですよねカミラ様」



 今のカミラを知る者にとって、当然の疑問。

 ユリウスの名前すら上げないカミラの姿に、皆、恐ろしいモノを見たような視線をカミラに投げる。



「…………いえ、確かに、前世からの一押しだったわよ? でも考えてもみなさい、ユリウスの難易度と、この時の私の状況を」



 言い訳がましいカミラを肯定するように、子供カミラが続きを入れる。



『ユリウス…………は、この際、近寄らない方がいいかな? 確かに聖剣と未覚醒とはいえ勇者の力は強力だわ。最萌えキャラだし、後ろ髪を引かれる。けど、ユリウスの役目はセーラの警護と、邪魔者の暗殺。少しでも変な所を見せたら殺されかねないし、残念だけど、諦めますか。』



『ま、いくら現実になったとはいえ、ゲームの印象を押しつけちゃダメでしょ』



「と、こういう訳よ」



 変なところで常識的であるというか、やっぱりユリウスに拘らないカミラに違和感があるのか。

 何ともいえない空気の中、映像は続く。



 順当に成長するカミラが早回しで映し出され、再び、入学式に。



『(…………これがシナリオの強制力なの? 入学式に到るまで、ゼロスはおろか、攻略対象の一人も、悪役令嬢ヴァネッサの取り巻き三人にすら会えなかったんだけど?)』



 入学式で、在校生代表として挨拶するゼロスの姿を眺めながら、カミラはボヤいた。



「え、何? アンタ、攻略対象への接触制限でもあったの?」



「――――私はあくまでモブキャラ、脇役だった。そういう事よ」



 物語に関われない状態で、よく現在の状況まで持って行ったわね、という言葉をセーラは飲み込んだ。

 それはきっと、軽々しく言ってはならないモノだったからだ。



 映像の中のカミラは、ウィルソンをターゲットに定めて行動していた。

 時に、婚約者のグヴィーネに阻まれ。

 時に、セーラに機会を持って行かれ。

 どうにかこうにか、ウィルソンにとって、性別を越えた親友の関係になっていた。



「――――でも、ダメだったわ」



 十六歳の誕生日を前に、領地ではなく、王都の別邸でパーティを計画し。

 ウィルソンの伝手で、騎士団をそれとなく配置させる事に成功させ。

 駄目押しに、聖女として覚醒途中のセーラと、恋人一歩手前のゼロス。

 そして連鎖的に、ユリシーヌやヴァネッサ達の姿も。



『――――お父様と、お母様には悪いけれど、少なくともこれで私の生存は計れる筈。嗚呼、でも、これで本当によかったのかしら?』



 誕生日を祝われ笑顔の下で、悩むカミラ。

 宴はつつがなく進行し、そして終わる直前、再び惨劇は訪れた。

 ――――そう、魔族の襲撃である。



『我が友カミラよっ! グヴィーネを連れて逃げてくれっ! ここは我らが足止めするっ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』



 前回を彷彿させる。

 というより、登場人物と場所が違うだけで、まったく同じ状況に、カミラの顔は真っ青になった。



『畜生! 何で――――わかったわ! 生きて戻ってウィルソン! いくわよグヴィーネ様っ!』



 カミラは側にいたグヴィーネの手を引き、屋敷から脱出をもくろむ。

 だが、逃げまどう人波に揉まれ、グヴィーネと一端離ればなれに。

 そして、焦りにより永遠に感じた数分後、フライ・ディアに追いつめられたグヴィーネを発見した。



『(私が馬鹿だった! シナリオの強制力も考えずにこんな、こんな――――)』



 そして、グヴィーネとフライ・ディアの間に割って入り――――そして。



『か、カミラ様! カミラ様ああああああああああああああああああああ!』



『へっ、糞虫にしては麗しい友情ってヤツか? 反吐がでるな』



 振り下ろされた鉤爪によって、カミラの背中は大きく裂ける。

 誰が見ても致命傷だ、助からない。



 グヴィーネが半狂乱になる中、駆けつけたウィルソンとユリシーヌによって撃退。

 それを、カミラは朦朧とした意識の中で見ていた。



『(嗚呼、嗚呼。死ぬの私、死んだらまた、繰り返すの? 私は、私はどうなるの!?)』



 急激に迫る死に怯えるカミラ。

 だが、抱き上げらたユリシーヌの体温すら感じられない。



『だめ、聞こ、え、な……。わた――――』



 悔しそうに顔を歪めるユリウスの腕の中で、カミラは死んだ。

 そして。

 そしてまた、時は巻き戻る。



『おぎゃあああああああああああ』

『ま、また始めからなの!? もう一度、繰り返せって言うのっ!?』



「――――これが、本当の始まり」



 映像の中のカミラは、また赤子からやり直す。

 その姿に、誰もが絶句した。



「…………これが、これがまだ始まりだって言うのかカミラッ!?」



「ええ、そうね、次からもかなり重複するから、多少飛ばすけれど、まだまだ――――」



「――――違うッ! 違うッ! 違う…………」



 平然とした顔のカミラを、ユリウスは抱きしめた。

 これが、こんなモノがカミラの過去なのか。

 悲劇しかないこの過去が、まだ続くのか。



「お前は、どれだけの――――」



「…………少し、痛いわユリウス」



 強く、強くカミラを抱きしめるユリウスに、カミラはか細い声で抗議した。

 しかし、誰も止める者はおらず。

 ただ、重苦しい空気だけが流れる。



「さ、次の変化があるまでとっとと進めましょうカミラ。アンタの過去はまだまだこれからんでしょう?」



 不自然な程、軽く出されたセーラの言葉に、アメリも唇を噛んで同意した。



「…………ええ、見せてくださいカミラ様。わたしは、カミラ様の事が知りたいです」



「ありがとう、アメリ、セーラ、――――じゃあ、続けるわ」



 カミラはユリウスを弱々しく引き剥がし、その手を堅く握りしめながら、映像の時間を進めた。



「自分だけが死を繰り返す理不尽を、架空であった筈の世界に生まれ変わった事を、私は知った。そしてまだ、諦めていなかった」



 再び、カミラの成長が繰り返される。

 今までと違う点は、その鬼気迫る表情だ。



『(ようやっと、入学式ね。…………ええ、今度こそ私は生き残る)』



 今回のカミラは、合法ショタキャラのリーベイに近づこうとしていた。

 彼は、攻略対象の中で随一の頭脳キャラ。

 その知恵をもって、生き残るという算段だった。



『――――はっ!? またリーベイを見失った! い、いやまだよ。婚約者でストーカーのエリカの後について行って、先回りすれば必ず会えるはず』



 カミラはリーベイの影の薄さに悩まされながらも、徐々に距離を縮めていく。



『ゲームの描写が正しければ、リーベイは温もりと理解者に飢えている筈。そこを上手くつくのよ私…………』



 本来ならば、弱みにつけ込む卑怯な行為だと、罵られただろう。

 セーラがやってきた事と、何一つ変わらないと、軽蔑の眼差しがあったかもしれない。

 だが、誰一人として口を開かず、沈痛な面もちで記憶映像を見つめていた。



 結論から言おう――――失敗した。

 リーベイと親友になり、前世を信じてもらい。

 誕生パーティには身代わりを、カミラ自身はセーラと共に厳重な警備の中、遠方の地へ避難。

 だが世界のシナリオは、カミラの生存を許さなかった。

 決して、許しはしなかった。



『しっかりッ! しっかりしてカミラ様ッ! 生きてリーベイ様の所に戻るのでしょう! カミラ様ッ!』



 避難の最中、大雨による崖崩れに巻き込まれ。

 馬車から一人投げ出され生き埋めに。

 息絶える寸前、ユリシーヌに助け出されるも死亡。

 ――――そして、時はまた巻き戻る。



 次は陰気なヤンデレ、エミールだった。

 彼の気を引き、土下座して頼み込み、彼の実家の隠し部屋に数ヶ月も監禁してもらった。

 だが、駄目だった。



 婚約者であるフランチェスカが、嫉妬により屋敷を放火。

 全身に重度の火傷を負いながら、ユリシーヌに助け出されるも、やはり死亡。

 時はまた、巻き戻る。



『いやぁ…………いやよ、いやっ! もう、もう死にたくないっ!』



 弱々しく、悲痛な叫びだった。

 ヴァネッサが思わず目を反らし、耳を塞ぐ。

 ゼロスが彼女を抱きしめながら、悔しそうにカミラに問いかけた。



「カミラ嬢…………いったい、何度繰り返したのだ?」



「さぁ? 百を越えたあたりから、数えるのを止めてしまったから。でも安心して、ある程度はダイジェストでお送りするわ」



「そういう事ではないっ!」



 ゼロスの、全員の苛立ちの意味に気づかないフリをしながら、カミラは時を進める。



『まだ、まだよ。まだ時間はあるの。だから冷静になって死亡条件を整理しましょう』



 再び、十まで成長したカミラは、青い顔でノートを開く。



『条件その一、十六歳の誕生日に必ず死ぬ。



 条件その二、死亡原因は魔族だけじゃない。



 条件その三、遠くに逃げても、前もって姿を隠しても必ず死亡する。



 …………どうしろって、言うのよ』



 カミラは半狂乱になりながら、屋敷の図書室に入り浸っって知識を蓄えた。

 少しでも生き残る為に、体力作りを始めた。

 無駄だと知って、魔法の練習もした。



 そしてまた、入学式の日が訪れる。

 カミラの瞳にはまだ、生存への光があった。



『(――――セーラ。彼女を早く聖女に覚醒させれば、そして側にいれば、何とかなるわ。幸か不幸か、入学式の今日から、皆に介入出来る。…………今度こそ、私は生き残る)』



 この時より、カミラは“仮面”を被るようになった。

 勉強が出来、人当たりがいい、そして面倒見も良い優等生を演じる様になった。

 全ては――――アメリのポジションを奪う為だ。



『(アメリには悪いけれど、セーラの親友の座は私が貰う。でも、彼女の情報網は優秀よ、何とかして飼い慣らさなければ)』



 そうしてカミラは、セーラの親友という立ち位置に収まった。

 不満な点と言えば、アメリを排除することが出来ずに、仲良し三人組という形になってしまった事だ。

 だが、そういった“悪意”は直ぐに消えた。



『不思議ねセーラ。貴女といると、何故だか心が安らぐの』



『あ、カミラもそう思います! わたしもですよ。セーラの側にいると、安心できるというか、それでいて、力になろうって勇気が沸いてくるような感じで』



『もー、二人ともアタシの事、誉めすぎよ。調子のっちゃうじゃない』



 暖かな昼下がり、三人で仲良く昼食。

 繰り返しが始まって以来、カミラに訪れた初めて心許せる瞬間。



『ねぇセーラ。もし私が、十六歳の誕生日で死んでしまうと言ったら――――信じてくれる?』



『ええ、勿論。アタシがアンタの事を助けてあげるわ!』



『おっと、わたしも力になりますよカミラ。情報収集は任せてください』



『――――二人とも…………ありがとう』



 信頼できる友達、聖女として覚醒を早めていくセーラ。

 全ては上手くいくと思えた。

 ――――でも、時は巻き戻った。

 ユリシーヌの悲しそうな顔を前に、カミラは再び赤子へ。



『何が、何が足りなかったというのよっ!』



 カミラは繰り返した。

 同じように行動して、同じように言葉をだして。

 それだけではない。

 至難を極めたが、全ての攻略対象者の協力を取り付けて、十六歳の日に望む。

 だが。



『私は、私は諦めない――――』



 二度、三度、四度。

 カミラの行動は最適化されていく。

 息を吸うように皆と仲良くなり、攻略対象の婚約者とも親交を深め。



『駄目、駄目、駄目よ。時間が足りない、どうすればいい? ――――そうね、こうなったら“死”を前提に、セーラの覚醒だけを試してみましょう』



 そうしてカミラは繰り返す。

 限りある、限りない時間を使って、聖女の装備を探し手に入れて。

 時には魔族に接触し、セーラを襲わせて、鍛え上げ。



『セーラ、セーラ、セーラ、セーラ…………嗚呼、貴女こそ私の希望、私の全て』



 カミラはセーラに入れ込んでいった。

 親友から、疑似的な姉妹へ、偽りの家族へ。

 繰り返す度に理解を深め、とうとう恋人にまでなった。



『愛しているわセーラ』



『アタシもよ、カミラ…………』



 映像には、ベッドの上で二人。

 生まれたままの姿で抱き合う姿が。



「ちょ、ちょっとカミラ!? アンタ何してるのよ!?」



「前に言わなかった? 私に性行のイロハを教えたのは貴女だって?」



「――――マジ?」



「ええ、マジよ」



 恋人であるユリウスでさえ、何を言えばいいのか判らない空気になったが、それはそれ。

 カミラの繰り返しは続き。

 ――――最悪の真相が明かされる。



『せー…………ら、ぶ、じな――――』



 幾度の先に、カミラはまた死に瀕していた。

 今回も、フライ・ディアの襲撃。

 もはや目に写すモノなく、倒れ伏すカミラの耳にセーラとフライ・ディアの声が響く。



『しかしよう、聖女の嬢ちゃんや。コイツはオマエを、オマエはコイツを愛していたんじゃないのか? 何でまた、殺すように頼んだんだ?』



『何でって、愚問ね。愛してるからこそ、効率的にアタシの利益になってもらわなきゃ。どうせ死ぬ運命で変えられないのなら、ゼロス達を侍らす切っ掛けくらいにはなって貰わなきゃ損よ』



『はんっ! これだから人間は屑なんだ。オレはもう行くぞ、例の勇者候補が近づいてくる』



『ええ、とっとと行ってよ。これからアタシは、親友を失った悲劇のヒロインになるんだから』



『あいよ』



『(そんな、セーラ? セーラ? お願い、嘘だと言って、嘘って言ってよ…………)』 



 指一本動かせず、ただただ真実に動揺するカミラに、セーラは言い放つ。



『もう聞こえてないでしょうけどね、ホントはアンタの事、邪魔だったのよ。――――転生者は二人も要らないわ。だって、アタシがヒロインなんだから』



『(セーラが転生者――――!?)』



 カミラがその意味を深く考える間もなく、ユリシーヌが駆けつけて、そして。

 幾度と無く繰り返された、巻き戻しが始まった。



『(ユリシーヌ様、ユリシーヌ様、彼女に、セーラに、嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼、私は、私は――――)』



 いつも最後に来てくれるユリシーヌの姿に、少しの安堵を感じながら。

 カミラは赤子に戻った。



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ドリルでキュイーン通り越して、ペンチでシャキンだったけど、私は元気です。

次回も恐らく来週です、筆が乗ったら今週中にもう一話とかそんな感じで。


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