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第5話

救急車が病院に着き、愛菜の乗っているストレッチャーは病院の中への運ばれていく。愛菜は手術室で緊急手術を行うことになり手術室に運ばれていった。



啓介と愛菜の母は愛菜の運ばれた手術室の前にある椅子に座っている。その場はしばらくの間無言の空間になった。愛菜の母が啓介に口を開いた。




「愛ね、帰ってきた時「今日、啓介君とカラオケ行ったんだよ」って私に笑顔で言ってきたのよ。」




「そ、そうなんですか…」啓介はそう返事をした。




「それでね、「今度、啓介君と旅行行くんだ」って本当嬉しそうに言ってたのよ。どこへ行くか、聞いてなかったけど本当楽しみにしてたみたいよ」




愛菜の母がそう言う。それを聞いた啓介の目には涙が浮かんでいる。起こしていた体を前へやりうつむく形に啓介はなる。それをやった時、啓介の目に浮かんでいた涙が、ポツリ、ポツリと床に落ちていく。





今の俺の姿を愛菜が見たら、どう言うのかな。「啓くん!男なんだから泣かないの!」とか厳しめに言われるのかな。まだ、愛菜は死んだわけじゃ無いんだし、まだ諦めてはいけない。俺は今、泣いてちゃダメなんだ、大切な人が今、手術室で闘っているのだから。





「…頑張れ…愛菜…」


啓介は小声でそう言う。











愛菜が手術室に運ばれ、もうすぐで2時間が経過しようとしている。まだ手術が続いているらしい。手術室のドアが開くまで、2人はじっとその時を待っている。








啓介がうつむいたまま、病院の床を見続けている。その時、手術室のドアが開く音が聞こえた。その音を聞き啓介は立ち上がり、出てきた人に駆け寄る。




「ど…どうなりましたか……」と啓介は医師にそう言う。しかし医師のその顔は決して良くは無い。




「…一命は取り留めましたが、まだ意識は回復してません。数日様子を見て……」と医師はそう言ってるが啓介の耳には入ってこなかった。











その後、愛菜は病院の個室に運ばれた。愛菜の意識はまだ回復しておらず愛菜の目は閉じたままだった。ベットに寝ている愛菜を啓介は見ている。愛菜は寝ているがこのまま起きて「遊び行くよ!」とか言いそうな感じがする。











啓介は、来る日、来る日愛菜の事を看病やお見舞いに来ていた。いつか愛菜が起きる日を、啓介をお見舞いをしながらずっと願っていた。そしてある日、啓介はいつも通り、個室の椅子に座っていた。啓介は愛菜のそばに寄り添い、愛菜の手を握る。





「愛菜…起きてくれよ…まだ行きたい所、あるって言ったじゃねぇかよ…こっちに戻ってきて、旅行行こうぜ?ライブも残ってるんだし…愛菜…」ぎゅっと愛菜の手を握る。そして、そっと手を離し手を元の所に戻した。




啓介は立ち上がり、椅子に座る。



「喉…乾いたな。なんか買ってくるか…」啓介は椅子から立ち上がり個室を出ようとした。その時、誰かに心の中に直接話しかけられた。




「啓…くん?」と。




啓介はその声が聞こえた事に気が付き啓介は後ろを振り返る。




そこには…そこには…

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