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第4話

啓介は一度眠りについたが、30分ほどでまた起きてしまった。なかなか眠りにつけずベットに仰向けになり天上を見上げている。その時、救急車のサイレンがだんだんと啓介の家に近づいてくるのがわかった。その時は、啓介はまだわかっていなかった。愛菜が家で倒れ、愛菜の母が救急車を呼んだことを。




啓介の耳には、だんだんと近づいてくる救急車のサイレンがはっきりと聞こえてきた。そのサイレンが大きくなるにつれなぜか不安になってきた。そのことが気になりすぎ、ベットから体を起こしカーテンを開け窓の外を見る。





救急車のサイレンが近付き、赤色灯が家々に反射し、光っているのがわかる。そしてしばらくたち救急車が啓介の家の前の道路を通る。サイレンを止め救急車がある家の前に止まる。そこは、愛菜の家だった。




「え……なんで…」



啓介は救急車をじっと見続けている。救急車の後方のドアが開き救急隊員が中からストレッチャーを出し愛菜の家に向かっていく。まさか、愛菜が…そう思った啓介は窓を離れ、ベットに置いてある自分のスマートフォンを持ち、部屋を飛び出ていった。





急ぎ足で階段を下り、私服みたいなパジャマのまま靴を履き玄関のドアを開け、走っていく。




愛菜の家の前にある救急車の前につき、開いている後ろのドアの下を通り愛菜の家へと向かっていく。しかし、玄関に向かっている途中、ストレッチャーが中から出てきた。ストレッチャーの上には、パジャマを着た愛菜が目を閉じて横たわっている。それを目で追う。ストレッチャーが行った後愛菜の母が中から出てきて、啓介がいる事に気がつく。啓介は、愛菜の母に駆け寄る。




「あ、愛菜がどうかしたんですか?」息が荒くなる啓介。愛菜がどうなったのかを早く聞きたかった。




「愛がお風呂から出て、ソファでテレビ見た後に立ち上がったらいきなり倒れたのよ…その時にはもう息はしてなかったのよ…」愛菜の母は泣きそうになっている。啓介だって泣きそうになっている。





愛菜の母がそう言い、しばらく2人は黙り込んだ。救急隊員の1人が愛菜の母を呼びついて行く事になった。愛菜の母が救急車に歩いていく。その後ろ姿を見て啓介はこう言った。




「俺も、ついて行っていいですか」



俺は愛菜の彼女だ。家が目の前でこのまま自分だけ家に帰ってまた寝るだなんてそんななんか出来ない。とっさに出てきたのが、その言葉だった。




「ついてきていいよ。それの方が愛も嬉しいかな」愛菜の母が泣きそうになっている顔で無理やり笑顔を作り啓介を見る。啓介も救急車に向かって歩いて行き、愛菜と愛菜の母と啓介は救急車に乗り込んだ。









救急車が、サイレンを鳴らしながら地元の総合病院へと向かっている。救急隊員の1人が応急手当などをしている。啓介は愛菜の手を握り、息を吹き返すことだけを願っていた。ポツリ、ポツリと救急車の床に啓介の涙が落ちる。








「愛菜…俺は近くにいるからな…絶対に戻って来い。やりたい事まだあるんだろう?それやろうって、2人で決めたじゃねえかよ…愛菜…愛菜…」涙を流しながら啓介は愛菜にそう言う。もちろん返事はない。手も動かない。









そして、愛菜を運んでいる救急車は地元の総合病院に着いた。

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