表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

第3話 前編

誰かに、体を揺すられている。仰向けに寝ているが海の上に浮かんでいるように揺すられてている。地震かな、最初はそう思ったけれど地鳴りのようなものは聞こえない。地震ではない事は確かだった。その時、耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「啓くん、啓くん。起きてよ」その声は優しい感じでそう言っている。母では無い声だ。当てはまるのは、あの人だけだ。



啓介はゆっくりとまぶたを開ける。そこには天井ではなく人の顔がはじめに目に映った。ぼやけていた視界がどんどん晴れて、その顔がハッキリと見えてきた。




「ん…愛菜…?」



愛菜だった。わざわざ起こしに来てくれたらしい。啓介は体を起こし愛菜を見る。今日は確か…カラオケだった。その事を思い出す啓介。愛菜は、もうカラオケに行く準備が出来ていた。




「あ…やっと起きた。もうお昼だよ?」お昼…昨日は確かいつも寝る時間に寝たはずなのになんでだろう。疲れて寝すぎたのか、そう啓介は思う。




「え…お昼?」啓介はそう言うとベットに置いてある自分のスマートフォンを手に取り、スマートフォンを起動させる。スマートフォンの時間は午前11時30分を示している。




「ほ、本当だ…寝すぎた…ありがとうね愛菜」啓介はベットを降りると体を伸ばした。




「もう…9時くらいから起こしてるんだよ?」と愛菜は啓介を見ながらそう言う。




「え、9時からなの?そうなんだ、ごめんな愛菜。ちょっと待ってて」と愛菜に言い啓介は部屋を出る。階段を急いで降り着替えを取りに行った。そして部屋へと戻ってきた。




「着替えるからちょっと向こう向いててもらっていい?」啓介はベットに座っている愛菜にそう言う。しかし愛菜はベットに座ったまま、方向を変えようとしなかった。




「幼馴染だから別にいいでしょ。昔からこうやって遊んでたんだしお風呂だって一緒に普通に入ってたじゃん。だからパンツくらい私平気だよ?」愛菜は微笑みながらそう言った。「そうなんだ…わかったよ」と啓介は言い着替え始める。たまたまその日はハートの入ったパンツを履いていて、それを愛菜に見られいじられた。



「ハートのパンツってかわいいね。そんなの履くんだね、啓くん」まじまじとパンツを見る愛菜。



「ま、まじまじと見るな!たまたまだわ…」顔を赤らめる啓介。それをみて愛菜はふふっと笑う。こっちの気持ちも考えてくれよ…愛菜。






啓介は着替えを終え、髪の毛をセットしている。愛菜はその間ずっとスマートフォンを使っていた。髪の毛のセットを終え、耳にピアスをつけながらベットに座っている愛菜の方へ行く。




「愛菜〜終わったよ。待たせてごめんね」



「やっと終わった?じゃー行こ!みんな待ってるから!」と愛菜はそう言い啓介の手をとり部屋を出て行く。「え、みんな?」と啓介は言うが無視されてしまった。そして2人は玄関を出る。













愛菜は啓介の自転車の荷台に座り、地元の大手カラオケ店に向かっていた。こうやって2人乗りして自転車漕ぐのも久しぶりだな、と自転車を漕ぎながら微笑む。漕いでいると、愛菜の髪の毛が風に吹かれ揺れる。





30分ほど、自転車を漕ぎカラオケ店にについた。カラオケ店の駐車場に入り駐輪場を探す。駐輪場に近づくとそこには同じ年齢くらいの女子の姿が数人見えた。関係ない人だろう、そう思った啓介。しかし愛菜がその姿を見て声をあげる。




「みんなー!遅れてごめんー!お寝坊さんがいて遅れちゃったー!」と手を振っている。え?と小声で啓介は言うと1回愛菜を見て、また前を見る。その女子たちは愛菜を見て手を振っている。愛菜の知り合いだろうか。





その女子たちのいるところの近くに自転車を止める。愛菜は先に降り女子たちの方へと行く。自転車に鍵を掛け愛菜の方へと行く。その女子たちの愛菜は話していた。




「ごめんね、遅れて。結衣(ゆい)ちゃん、和泉(いづみ)ちゃん、玲奈(れな)ちゃん。彼氏が寝坊しちゃって…」




啓介はその名前を聞いたことがあった。啓介の前にいる3人は愛菜の所属しているSMILE(スマイル)のメンバーだった。3人と会うのはほぼ初めてで、話したことは1回も無い。テレビや曲でしか声を聞いたことがなかった。




「え?全然大丈夫だよ。私たちもさっき来たところだから。愛菜の彼氏さん、かっこいいね。私もらっていい?」とと結衣が言う。それを聞い愛菜が言った。



「ダメだよー。私のものだから!誰にもあげないから」愛菜は笑いながらそう言った。それをみて、3人は笑う。なんか複雑な気分だ。3人とも可愛いなー…なんて思ってる啓介。ニヤニヤが止まらない。




「じゃー愛菜ちゃん眠らせて私たち3人で楽しもっか」玲奈がそう言う。この人たち本当にアイドルなのだろうか。そんな会話していいのかな?啓介はそう思う。




「もー!みんなでいじらないで!啓くんかわいそうでしょ?」愛菜が少し怒りそう言う。「嘘嘘、冗談だよ」と玲奈が言う。その会話を見て啓介は、ははっと笑う。愛菜はため息をついた。





「じゃー中行こっか」愛菜がそう言う。それぞれ返事をし5人はカラオケ店の中へ入って行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ