その5:何が起こった神隠し、髪は長い友です。
全然進みませぬ。
その5〜閑話休題
私、相原美帆の前から、おにいしゃんが、私のきみのんが、私が唯一愛する小橋公也様が消えてしまった。私が、ドアをこじ開けるのに成功してきみのんに抱きつこうとした瞬間、ふっと、かき消えてしまった。私の全てが消えてしまった。
「ハハハ、そんな人が消えるなんてあるわけないじゃない」
と鈍感な姉巴が言う。我が姉ながら、適当だ。目が悪いからまあ、何も見えていなかったんだろうか。彼女に興味があるのは、バレーと勉強だけ。しかもバレーは、自己アピールのためらしい。将来は、外国の大学で研究したいんだと。アホかとバカかと。いや、バカなのはおにいしゃんだよ。私の目から思わず涙がほろりと流れる。
「心配しなくても、私たちからかっただけだから。」
どうしてか、きみのんは、この研究バカの姉が好きで好きでたまらないらしい。本人は、全然気にしていないのに。告白されて悩んでいたのも、どううまく断るかを考えていただけだし。でもどうせ、お姉ちゃんに告白するなんてことないから、バツゲームなんだろうけど、いや、そうにちがいない、そうに決まった。
ともかく、どうしよう、どうしよう。そう思っていると、いきなり、目の前に光が満ちて、私は白い空間にいた。せ、精神とピーの部屋?
『いえいえ、違います。』
頭の中に声が語りかけてくる。
『いえいえ、私は神ではありません。ただ、あなたたちより少しだけ進んだ世界から来た訪問者です。』
う〜ん、微妙。
『人間は、輪廻を繰り返し少しづつ高い世界へ登っていきます。それには、気の遠くなる時間がかかります。1つの世界を登るだけで1,000年、2,000年かかってしまうこともざらなのです。』
わからぬ。でも聞かなくちゃ。おにいしゃんのために。
『彼は、その1,000年、2,000年を一気に駆け上って次の世界に行ってしまいました。あなたは、その世界に登る資格はないのですが……』
おにいしゃんのところに行くなら神であるあなたでも倒します、いえ、今倒します。
『だから神ではありません。本来なら、あなたの姉の方がずっと資格があります。しかし、あなたが行った方がおもしろそうです。ですので、あなたを彼のところへおくりましょう。』
やった。これでおにいしゃんに会える。
『ただし、あなたは、向こうで死んでしまったら輪廻からも消えてしまうかもしれません。普通は死んで次の似たような世界を延々と繰り返すのをいきなり、上の世界に行く代償です』
しらぬ。どうせ、きみのんのいない世界など闇。この生など、媚びぬ、省みぬ。
『では、彼のところに送って差し上げましょう。』
そして、私の視界は闇に包まれた。待っていておにいしゃん、妻がまいりまする。
短くてすみません。




