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捻くれ男は動き出す。 ⑧

 松戸から情報を貰い、玲からアドバイスを受け、名も知らぬ先輩にも手助けしてもらった。

 あと必要なのは解答のみだろう。にしても協力したもっら人数少なすぎな気もするが、戦隊が五人程度で地球を守るのを考えればこうした小さな問題には一人も要らないのかもしれない。時間にお任せ。

 だからか、その解答には思いの外簡単に辿り着いた。そもそもが難しい話じゃなかった。ここまで手間と時間をかけるのが馬鹿らしくなるほどに。リンゴを見ていれば発見できる重力を計算式のみで証明しようとしていたようなものかもしれない。


 一応頭を捻ったりはしたが俺が実際にやることはシンプル極まりない。

 物語してみれば手に汗握る山場もない駄作かもしれない。だがそれでいい。選ばなければいけない時限爆弾のコードやゾンビ化する友人なんて実際に体験したら俺はきっと選択を間違える。なにせ選択に関する経験がほとんどないのだから。

 選択肢がありすぎて困るリア充がいて、選択肢がないぼっちよりも彼らはずっと頭を抱え、悩みや葛藤があるのだという人がいるが、俺は認めない。リア充のくせに悲劇のヒーロー的同情されるキャラも取り込みたいとか欲張りすぎる。では俺がそうした悲劇の主人公を演じたいかというとそんなの恥ずかしくて無理すぎる。


 経過より結果だ。


 ゲームでこそ攻略本を買わなかったりレベルアップするあめを使わなかったりと地道な俺だが現実では違う。同じ結末があるのなら迷わずして楽な方を選ぶだろう。たとえそれによって努力の結晶や友情の汗が生まれないとしても。リアルとゲーム内でのキャラが真逆だとかネカマの才能があるかもしれない。女子校生っぽいツイートとかしてみようか。

 

 準備はいくつかした。

 あとは仕上げをして待つだけでいい。

 なんとなく物足りない気もするが、致し方ない。


 勿論最善の方法ではないかもしれない。

 おそらく俺に実害が及ぶことも、部長達が部費を取り戻すことによって誰かの怒りを買うこともないはずだけれども会長との対話を重ねるやり方や、他の部長を納得させる手段などなど。だがどれもコミュ力が必要不可欠なので俺は選べない。なのに、選択肢がないのにこうして悩むのだからぼっちが選択肢を与えられたら恐ろしいことになるだろう。だからきっと洋服のチョイスに時間をかける女子とかと気が合うから友達になりませんかね。あ、決断力のある男子が好きですか。そうですか、はーい、わかりましたー。


 …ふぅ。一人で当たって砕けちゃったよ。


 そうして自己完結している俺だが俺なりにがんばったよきっと。

 普段は部屋にこもりにへらにへらしているのが俺の日常なわけで、それが急に初対面の人と会話したり、言葉を交わしたり、喋ったりしたもんだから最近の疲労感は半端なかった。

 …冷静に考えたら俺トーキングしかしてないよ。なのに疲れるって人間としてどこか欠落しているとしか思えない。


 さて。


 では俺は俺なりのアクションを起こすとしよう。

 そして俺自身を褒めてあげよう。市慶さんかっこいい!ステキ!みたいな感じで。んで自分へのご褒美とか買っちゃうね。なにそれOLっぽい。けど男はロンリーの略だから俺は当てはまるな。うん。


 そして俺は控えめに扉をたたいた。

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