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捻くれ男は動き出す。 ⑥

 俺は友達を作れない。

 そもそもどうすれば作れるのかすらわからない。

 他人と二人きりの時に何を話せばいいのかがわからないし、おせっかいと気遣いの違いがわからないし、そもそも友達と知り合いの境界線すらもわからない。ほんとそういうのゲームのように数値化してほしい。

 そうした無知な俺が友情なんてあやふやな存在をベースとした関係なんて築けるわけがない。

 どうしてこうも人付き合いが苦手なのか。

 経験だとは思わない。小学生、幼稚園の頃から既に周りとコミュ力の差があった。ほんと、秘密の特訓でもしてるの?ってほどに。

 となれば遺伝か。両親が過去ぼっちだったのかは知らないけれど。それでも俺の今の捻くれた性格や、自分では整っていると思ってはいるがどこか華のない顔つき、そして将来はげたら積極的に親のせいにする。けれどそんな両親も彼らの親からどうにもならない悪性、通称DNAを受け継いでいるわけだから最終的にはアダムとイブを訴えるまである。あとへびも。


 理由はどうであれ俺は初対面の人と軽快なトークを繰り広げることは出来ない。うんとかああとかプログラムかなってほどに単調な返事しかできなくなる。いや、でも最近のプログラムはSiriさんだったりbotさんだったりと彼らの方がユーモアもあって会話が上手い気がする。ロボット以下ってどうなのよ俺。

 これが誰かが予言していた機械が人間を支配する未来なのか…


 だがしかし今俺は短期間で友達を作らなければならない。

 松戸や玲といった俺の知り合いリストの全員に協力を募ってはみたが、目覚しい躍進は見せることができずにいる。

 だから新たに人脈を掘り当てなければならない。会長周辺で。

 ではどのようにしてそれを完遂するか。

 他人との距離の縮小を加速させる方法は一つ。共有することだ。

 多くの人は感情や責任を共有することで繋がりを確認する。一緒に悲しみ感性の相性を確かめ、秘密を打ち明け信頼を暗示する。

 本来ならばそういった激情や秘密を分かち合う以前に時間の共有を経て相手について探ったりするのだが、その時間が俺にはない。よってその他のもので急展開をはかるしかない。

 つまり選ぶべきは何を共有するか。

 まず秘密は無理だろう。一方的に秘密を打ち明け、半ば強制的に繋がりを発生させる方法もあるが、それは相手が秘密を暴露するのは申し訳ないと感じなければならない。俺が黒歴史を打ち明けたらおそらくウイルスとか目じゃないくらいに拡散される。いや、そもそも興味をもたれてないから広まりもしないなんて可能性もある。なにそれ悲しすぎる。


 なんにせよ。

 喜びや悲しみも俺と対象が同時に感じられるような状況は思いつかない。

 そうして否定を続け、結局はまた一つしか残らない。ことごとく選べないよ俺。一度くらいどうする、どうするよ俺!とか一度やってみたかったのだけれど。ちょっと古いけど。

 で、俺が共有するべきものは。


 嫌悪だ。


 聞きかじった話によると好みの対象が同じな場合よりも、嫌悪の対象が同じ方が人は絆を深めるらしい。インターネットの掲示板を閲覧していても同じアイドルのファンでもにわかだなんだと貶し合ったりしているのに対し、とある特定の人物のブログやらが炎上してる際には嫌う者同士での争いは見当たらない。

 つまり好き同士は競い合うが、嫌い同士は結託するということだろう。

 ならそれを利用するほかない。

 いくら会長が人畜無害やら有機栽培やら無農薬なんてヘルシーな言葉が似あいそうであっても今回のような派手なことをしたがる人だ。人に対して嫌悪感を抱くことも、抱かれることもあるだろう。そして無色な俺はいつもの如く感化されるようにして同調し、子分を演じてればいい。なにかしら成果はあがるだろう。そして最終的には裏切ることになるだろう。雑魚な子分が裏切るのは定番だもの。


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だらだらしてきたかもだけどご勘弁。

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