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捻くれ男は動き出す。 ⑤

「ちなみに松戸はどうすれば部費が上がると思う?」


 手帳に主要な情報を書き写しながら、ふと気になり尋ねてみる。


「さぁ。出来ることはやったわ」

「もう少し穏便にやれなかったのかあれは」

「しょうがないじゃない。あの山岳部の部長が役に立たなかったんだから私がああするしかなかったのよ」 

「いや、だからその棘をなくせって」


 どこまで敵を作るんだよこの人は。きっと彼女の彼氏になる人は本当に例え世界を敵に回しても、なんて台詞を言わなければならないかもしれない。


「これが私の普通なの」


 さいですか。

 友達いないだろうなぁ。俺が言えることでもないけれど。


                ☓     ☓     ☓


 おそらくは松戸は色仕掛けとかできないだろうな。容姿だけならば素質は十分だけれど、刺々しい性格じゃ無理だなきっと。

 となればどうするべきか。

 会長を曲げるにはそれなりのインパクトが必要だ。

 デモとか?

 現実的じゃない。できないことでもないかもしれないが、控えめなのが多いあの部長達がそうした漫画的な派手な団体行動に出るとは思えない。

 もっと堅実な方法を考えなければいけないのだが、思いつかない。


「ということで助けてください」


 そして今度は玲の部屋、彼女の前で懇願している。腰が重いように頭も重いようで自然と下がる。土下座どころか床にのめり込むまである。

 本来ならここで頼るべき頭が切れる、ちょっとスケベな親友とかがいるはずなんだけど、俺には玲の他頼る人間はいない。親に相談するようなことでもないだろうし。


「えー、あんなに俺にまかせろ!って感じだったのに」


 そうでしたっけ。いや、やっぱり俺にかっこいい主人公は相応しくなかったというか。俺TUEEEでもなければSUGEEEでもなく、情けNEEEEEでした。チョーローだったりこれだったりの主人公としての俺の属性がかっこ悪すぎる。

 それに対して玲は金髪サキュバス貧乳幼馴染。なにそれマニアック。 


「まぁ…冷静に考えてみれば期待した私がいけなかった」


 申し訳ない。


「で、何すればいいの?」

「会長を色仕掛けで落としてくれれば…」

「は?」


 一気に眉間にしわがよる。心なしか玲に抱えられたマレーバクまで俺を睨みつけているような気がする。ジト目の視線が痛いです。


「いや、そうして弱点を作れば交渉しやすいかなーと…」

「それで幼馴染の女の子を売るの?」

「いや、別に相手はおそらくうぶだから大人な色仕掛けじゃなくても効果はあるはずだから」

「それでも売るのは同じでしょ?」

「いや、ほんと決定的な事はしなくても会長が弱みと感じてくれるだけでいいわけで」

「いやいやうるさい」

「…すみません」


 やはり無理か。

 サキュバスだから誘惑がプロフィールの特技の欄に書いちゃうようなことかと思ったんだけど。


「でも他に方法が見当たらん」


 半ばやけになって大の字に床に転がる。

 そうしてみても見えるのは天井だけで、頭の中は靄がかかっていて進むべき道筋は見えない。


「別に会長を倒さなくても味方につければいいじゃない」


 そりゃ会長がなかまになりたそうにこちらをみているなら楽だろうけれど、実際はそうじゃない。

 玲や松戸に話を聞いてみたが、未だ解決に近づいたとは思えない。


 ならやはり核心に近づくしかないのだろう。

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