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Level.5.5:「ティカ・アスレイン」
少女は、医者になりたかった。
幼い頃、自分の病気を治してくれた看護師に憧れて、医者を目指そうとしていた。
大学への足掛かりとなる高校。いい高校を狙うには、それなりの中学校へと入らなくてはいけない。
少女は必死に勉強し、有名中学校へと入学した。
入学してすぐの事だった。防波堤から落ちた小さな子供を助けて海に溺れ、少女が気を失ったのは……。
「そこのアナタ、聞いてますか!?」
「は、はい……スミマセン」
翠色の瞳を持った青髪の小柄な少女は、会話中に"記憶に無いはずの何か"を思い出していた。
「全く、ちゃんとしてください。新人とはいえ、守衛兵団の一員であるのですから、自覚を持ってもらわないと困ります」
「スミマセンでした……以後気を付けます」
「ならいいのですがね。……ではアナタは、水の都ソリュータルに配属となります。期待していますよ? 治癒士【ヒーラー】……ティカ・アスレイン」