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Level.35.5:「レイネ・フローリア」

 少女は『ある出来事』が起きてからしばらく、自分の殻の中に閉じ籠っていた。

 自分が未熟なせいで。

 自分が不甲斐ないせいで。

 自分が『あんなこと』をしたせいで。

 全てを失った少女は、哀しみと自分への怒りに明け暮れていた。

 そんなある日。一組の男女が、少女の元を訪れる。男女は少女に優しく声をかけ、少女はその男女に『ある出来事』について話した。するとその男女は少女を優しく慰め、暖かい笑顔で包み込んでくれた。安心した少女は、そのまま眠りに就き―。




 冒険者となった少女は、『両親の敵』である『黒いコートの男』を追い求めて、旅に出た。遺跡や洞窟を探索し、多くのモンスターを狩り、数々のクエストをこなし、炎使いのライバルと巡り合い……。やがて少女には《氷の魔女》の二つ名が付くようになっていった。



 その日も少女は一人、旅をしていた。《祝宴の街》に向かうために、広大な草原を歩いていた。

 この辺りには高レベルのモンスターが出る。それを知っていた少女はモンスターに見つからないよう、慎重に歩を進めていた。―と。


「ルモォォォォォォ……………………!」


 後方、少し離れたところからモンスターの叫び声が聞こえてきた。これは恐らくボアのものだ。

 見つかってしまったのだろうか?

 少女は空間から杖を呼び出し、後ろを振り返った。するとそこには、明らかに駆け出しの冒険者と見られる男が、ボアに追いかけ回される……といった光景が広がっていた。しばらくすると男は、石に躓いて転んでしまった。このままでは男はボアに殺されてしまうだろう。そう思うと、自然と少女の身体は動いていた。自分のレベルではボアに勝てないと分かっていながらも、男を救うため、氷の弓に氷矢をつがえた。少女は、何故かそうしなくてはいけないと思ってしまった。その男を助けたいと思ってしまった。だから少女は、ボアに向けて矢を放った。

 



 それが、最高であり最悪な出会いであったというとを知らずに。偶然であり必然でもある出会いということを知らずに。そして、自らの運命を大きく変える出会いになるということを知らずに―。

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