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Level.10.5:「エレナ・ジオルーン」
彼女は、男勝りな女の子だった。
いつも男友達に混ざり、時には怒鳴ったり泣かせたりしながら、子供時代を過ごしてきた。
家業として、彼女は大人達に混じって狩りをすることもあった。彼女はずっと、それが普通のことであると思っていた。
だが何年かの時が経ち、彼女は気付いてしまった。自分が、自分と同じ"命"を持った動物達を平然と殺めていたということに。
彼女はある日の夜、父親にそんな自分の心情を伝えようとした。
―その日の夜のことだった。彼女の家が、業火に包まれたのは。
「ねえ……ねえってば!」
エレナ・ジオルーンは、友人であるハルナ・ラスファルの声で我に返った。
「ゴメン……なんかボーッとしちゃって……。で、なに?」
「今日の村会議、エレナも来るでしょ? 村祭りの話し合いだってよ」
そうだった。もうすぐ開催される"予定"の村祭り、今日はその話し合いが行われることになっていたのだ。
「うん。もちろん……ボクも行くよ!」
エレナはハルナの後に続いて家を出た。
その背中には、大きな弓が背負われていた……。