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階段話  作者:
5/5

そして愛は確かめられた

登ってきたときの石段の数は41 段。


「降りるか」


そう言って拓也は由美の手を握ろうとする。しかし、由美は素早く手を引っ込めた。


「降りるときは、手を繋がないんだよ」


「そ、そうだったな」


拓也はこの石段を降りるのが怖かった。それでつい、由美に触れたいと思ったのだ。

もう拓也は石段だけを凝視していた。


「じゃあ、いくよ、 せーの」


大丈夫だ。何も起こらない。

拓也は自分にそう言い聞かせて、震える足で一段目を降りようとしたそのとき。


ドンッ


拓也は何者かに押されて石段を転げ落ちた。





拓也は石段の下まで落ちていた。かすかに意識はあるものの、体は痛みで動かなかった。


コツ、コツ、コツ


「・・・さんじゅうはち、さんじゅく、よんじゅ」


誰かがゆっくりと、石段を数えながら降りてくる。


グリッ


その何者かは横たえる拓也を


「よんじゅういち」


と言いながら踏み


「よんじゅうに、っと」


と言ってその何者かには石段を降り終えた。


「あーあ、段数、違ったね。拓也」


ゾクッ


またあの視線を感じた拓也がなんとか見上げると、無表情の由美が殺意ある目で見下ろしていた。拓也は石段から突き落としたのは由美だと悟った。


「ゆ、ゆみ・・・」


「私たちの愛は偽りだったね。そりゃそうだよね、だって拓也は私に隠れてこんなことしてたんだもんね」


抑揚のない声でそう言うと由美はしゃがみこみ、カバンから一枚の写真を取りだし、虫の息の拓也に見せた。


拓也は目を見開く。写真には拓也と由美ではない女の子が、公園のベンチで体を寄せあい、あつい口付けをしている場面が写っていた。


「私は本当に拓也だけを愛してたのに、拓也は私をもてあそんでただけだった」


由美は今度はカバンから鈍く光る金槌を取り出す。


ウウウ・・・


拓也は恐怖で顔が固まった。


「私だけを愛してくれない拓也なんて、いらない」


由美は金槌を振り上げる。


「さよなら、拓也」


そう言って、動けない拓也の頭めがけて金槌は振り下ろされた。




最後まで読んで頂きありがとうございます。




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