二人の愛
拓也と由美は付き合い始めて3ヶ月ぐらいになる。
顔を真っ赤にして交際を申し出たのは由美だった。拓也はぶっちゃけ、由美のことは好きでも嫌いでもなかった。ただ、クラスで3番目ぐらいにかわいい女子だったので、軽い気持ちで付き合い始めた。
由美は積極的だった。告白の次の日から手を繋いで登校したり、拓也のためにお弁当を作ったり。
クラスの男子全員が拓也を羨ましがった。
当の本人も最初は満更でもない様子だった。
しかし由美は、焼きもちなのか、拓也を束縛する傾向にあった。
拓也がクラスの女友達と話してると
「私よりあの子のほうが好きなの」
と言って、泣きそうになるし、
拓也のメールの返信が遅れると
「拓也に何かあったんじゃないかって、心配になって来ちゃった」
と息を切らして拓也の家までやって来たり、などなど。
拓也は正直、由美の異常なまでの愛に少し苛立ちを感じていた。
それでも、拓也は由美と別れようとは思ってない。
理由は2つある。
1つは、もし仮に、拓也が由美に別れようなんて言ったら、ショックで自殺されるかもしれないということ。
もう1つは、気軽にエッチができること。
拓也がヤりたい、と言えば由美は嫌がるどころか喜んでヤらしてくれた。由美の相手は面倒だが、エッチができれば満足だった。
拓也は思う。自分と由美の間に愛などないと。
「ねぇ、行くの? 行かないの?」
由美が拓也の顔を覗きこむ。
正直面倒だが、ここで断って泣かれるのはもっと面倒だ。それに、加護の目神社周辺は人通りが少ないから野外でエッチできるかもしれない。
そんなことを考えながら拓也は
「じゃあ、行くか。二人の愛を確かめに」
と由美の胸元をチラッと見て答えた。