加護の目神社の噂
つたない文章ですが、最後まで読んで頂ければ幸いです。
学校の帰り道、拓也と由美はいつものように手を繋いで歩いていた。
「ねぇ拓也、これから加護の目神社に行かない?」
「加護の目神社って、町外れにあるあれか? 何で?
」
「あのね、噂で聞いたんだけどね───」
由美の話によるとこうだ。
拓也たちの住む町の外れには、昔縁結びの神社として有名だったと言われる『加護の目神社』という古びた神社がある。その神社にある石段で、カップルの愛が本物かどうかがわかるという。
まず、二人で手を繋いで石段を数えながら登る。
次に、神社でお祈りをする。
そして、今度は手を繋がずに二人で石段を数えながら降りる。
石段の数が登ったときと降りたときとが同じであれば、そのカップルの愛は本物。もし数が違ったら、そのカップルの愛は偽物、という。
拓也は正直、くだらない話だ、と思った。石段の数が変わる訳がない。そんなの愛し合っているカップルだろうと、そうでないカップルだろうと、男同士であろうと、結果は同じだ。
「私達の愛も確かめに行こ」
由美はニコッと笑って言った。
(私達の愛、ねぇ・・・)
拓也は心の中でボソッと呟いた。