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王妃様の副業  作者:
39/40

状況把握 2

凪の言葉に場に沈黙が訪れた。


少年は目を見開き。


楼は「え?え?ええええ?」とタダひたすらに凪を凝視し。


そして苑王はただただ静かに突拍子のない発言をかました己の王妃を見据えていた。


三者三様な視線に晒され、さすがに理性が戻ってきた凪は「えっ~~~と」と先ほどの勢いはどこへやらもごもごと縮こまってしまう。

だが、発言を撤回する気はないらしくチラチラと上目遣いで苑王と楼に無言の訴えをしていた。


本人に自覚はないがその行為は小動物っぽく他者に映った。


それを直に見せ付けられた苑王の眉がぴくりと動き、続いて隣にいた楼が悶えた。


「うっ!女の子の必殺技、上目遣いの「お願い」を使ってくるなんて………!王妃さま、実は小悪魔け………ぎゃん!すんません!!なんでもありません!!」


「………」


頬を染めて何かを言いかけた楼だったがすぐに青い顔に変わり頭を振った。何故だか痛そうに足を押さえている。


「あの?」


「いや。あはははははははははは!!」


笑って誤魔化された。

その隣でいつも以上に冷たい顔をした苑王がいたがダラダラと脂汗を流す楼以外に気づく者はいながった。



「はぁ………」


重いため息をつく苑王に凪がびくびくと肩を震わせる。前言を撤回する気はないがほぼ交流がないこの夫に対してどこか気後れしてしまうのは止められない。

だけどこの人を説得できないと色々と前に進まない。


「苑王、ダメでしょうか?」


「貴女は私が許可すると思っているのか?」


冷静に言い返されて思わず詰まる。


「うっ!無理を言っているのは承知してますが………」


「承知しているのなら結構。楼、このままこの子供たちを預かって………」


「だ、だめぇ!」


楼の方に何か言いかける苑王の腕に思わずしがみ付いて止める。きゅーと必死に縋りつく凪。

別にしがみ付く必要性はないが思わずしがみ付いてしまったものはしょうがない。とにかく事態を決定する言葉だけは言わせたくない一心での行動であった。

窓から差し込む夕日が海に沈んでいく。最後の光が淡く部屋を染め上げそして消えた。

しがみ付かれた苑王が硬直したのには気づかずに凪はべらべらと言葉を並び立てる。


「えっと……あの………とにかく、駄目、です」


「…………」


「話し合い。そう、話し合いを。話し合いこそ相互理解と平和的解決の糸口で………苑王?」


「……………………………………………………………………………………………なんでもない」


かなり長く沈黙した苑王はそれだけ言う。沈黙を不審に思い顔を上げれば何故だか顔は思いっきり凪から逸らされていた。


「あの?」


事態が分からない凪が首を傾げる後ろで「ぶほぉ!」と吹き出す声が響いた。

振り向けば入り口にしゃがみ込み腹を抱え震える男の姿。


「………誰?」


いきなり現れて笑い転げている彪流に少年は胡散臭げに眉をひそめる。


「くっ………ははっ!だめ、おもろすぎっ!」


何がそんなツボにはまったのかガンガンと近くの壁を叩く。プルプルと震えながらタダひたすらに笑う男の名を苑王の怒りの篭った声が呼ぶ。


「そこで………何をしている!彪流!!」


王の右腕と謳われる金髪の騎士は笑いすぎて滲んだ目元を拭いつつもにやりと彼独特の内心を読ませない胡散臭い笑みで「どもっ」と手を上げた。


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