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王妃様の副業  作者:
36/40

不良医師登場

 それは始まりと終わり、死と生を内包した場所。


 「おやおや~珍しいお客様ですねぇ~~~~」


 驚いたようなそれでいて間延びした声に漂っていた意識が急速に覚醒し、来訪者は目を、開けた。

 闇とも光とも付かないあいまいな空間の中を陽炎のような塊がいくつも飛んでいた。それらは砕け、欠片になりそして欠片同士がくっつき新たな光となり、漂い、あるものはいずこかへと消えていき、そうでないものは再び砕けて欠片になり他の欠片とくっつくを繰り返していた。


 ゆっくりとゆっくりと意識にかかった靄が晴れてくる。その瞳に力が戻るのを少年の姿をした存在は面白そうに口元を歪ませた。


 「ようこそ。希なる来訪者さん。さぁ、君の話を聞かせてください」


 何一つ変わらない世界に訪れた一つの変化を少年は芝居かかった仕草で迎えた。




 城の一角にある騎士団専用の医務室。そこの主である若い医師は掃除にきていた前から目をつけていた侍女の娘を後ろから抱き寄せ、その柔らかな身体を腕に閉じ込めた。


 「ろうさま、お掃除ができません、だめですよ」


 建前上は拒否するような言葉を吐きながらも侍女は一切の抵抗を見せない。楼と呼ばれた医師はにやにや笑いながら形のよい耳に舌を這わす。


 「あっ……!」


 びくんっ!と震える侍女の身体をそのままベットに押し倒そうと………。


 「勤務中に盛るなと何度言わせれば理解するのだ。お前は」


 押し倒そうとしたが魔術で部屋に飛んできた主がそのまま容赦なく蹴り飛ばしたことによって己が床に蹴り倒される羽目になった。


 「ぎゃふん!」


 一応美形に入る楼がまるっきり三枚目のような叫び声を上げた。


 「ひゃ!あ、へ、陛下!」


 「………仕事に戻れ」


 苑王の姿に慌てふためく侍女に苑王は冷たく一瞥すると一言言い放った。

 侍女は慌てて一礼をするとそのままバタバタと部屋を飛び出していった。


 「あ~~~~~!!ひどいっすよ!王様!せっかくいい感じにもってこれてたのに!!ぐぇ!」


 楼の抗議など知らぬ存ぜぬでわめく部下の背に容赦なく踏みつけて黙らせる苑王。


 「楼、けが人だ」


 「僕の方がけが人になりそうですよ!主君と仰ぐ人のせいでね!!って、へ?けが人?」


 その言葉に苑王の腕の中に血まみれの子供の姿を見つけた楼の顔が医者のそれに変わる。

 それを確かめてから足をどけた苑王は診察台に少年を寝かせた。


 「これは………また、物騒な傷跡ですね………曲者でも入り込みましたか?というかこの子供は?」


 「詮索は後だ。治療しろ」


 「ごもっとも」


 軽口を叩きながらも楼の手はてきぱきと動く。


 「っう!」


 「はいはい。我慢我慢。男の子だからね。痛いけど痛くて熱くて苦しいだろうけど我慢しろ」


 少年が痛みでうめき声を上げようが全く手を緩めることなく容赦なく治療していく楼。彼は患者が女性の場合はこれでもかというぐらい痛みや苦しみなどに対して配慮するが相手がこと、男性の場合に限りよほどの理由がないと配慮をしない。

 そして騎士団付きの医師である彼の患者はほぼ男が占めているため、彼の治療は鬼畜だともっぱらの噂であった。


 「はい、終了~~~!幸い毒は使われてないようですから変な後遺症もないですよ」


 治療を終えて笑顔で振り向く楼に苑王は頷き、その傍にいた凪ともう一人の少年が安堵のため息をついた。


 「「よかったぁ」」


 仲良く声をそろえて少年の無事を喜ぶ王妃と子供。にこにこにっこり。ほのぼのとした空気があたりを包んだ。


 「あはは。僕の腕は大陸一ですよ。王妃様も何かあったら後宮付きのあのいけ好かない無表情女医なんかより僕の方に………」


 そこまで言って楼は異常に気づく。高速で振り返ると良かった良かったと少年と話をしている凪の姿をがん見する。


 「あれ?おかしいな?なんか、王妃様のそっくりさんがいる」


 あははと空笑いを上げる楼に追い討ちをかけるように苑王が決定打を放った。


 「王妃。けが人がいるのだ静かにしろ」


 「あ、はい。すいません。苑王」


 「す、すまない」


 「やっぱり王妃さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~!?!?!?!?!?!?」


 結婚してからほぼ二人でいたことない国王夫婦のレアすぎる姿に遭遇した楼は全力で叫び声を上げかけて……。


 「黙れ」


 苑王に一撃で沈められた。


 

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