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王妃様の副業  作者:
35/40

断章Ⅰ

「・・・・はぁ~~~?」


あきれ返ったような子供の声に軍人は楽しげに笑って子供の頭に手を置いた。

二十歳すぎと思われる軍人と十を少し越えたあたりに見える子供は一見接点がなさそうに見えるが纏う空気は兄弟のようなほほえましさがあった。


軍人はある「異変」を解決すべく派遣された一般人にとっては別世界の人間と認識される存在であり、子供はこのご時勢よくある浮浪児と呼ばれる存在であった。

そんな二人がなぜ、瓦礫に腰をかけ、親しげに話しをしているのかはたから見ている限りではわからなかった。


「・・・ガキ扱いすんなよ!っうかあんた何言ってんだよ!意味わかんねぇ~~!」


ぽんぽん叩いてくる手を思い切り振り払いながら睨みつければ軍人は黙っていれば夢のように美しい顔に人のよさそうな表情を浮かべながらあごに手をやる。そんなに不思議がらなくてもいいだろうと言う軍人が子供に言ったのは「私の名前を考えてくれ」だ。


意味が分からないという自分の言い分は至極当然だと彼は主張したい。


「何なんだ。あんたちゃんと上から名前をもらってんだろ?なんでいきなり俺に名前をつけろなんて言い出すんだよ」


「上からもらった名前なぞ気色が悪くて気に喰わない」


「じゃあ自分で勝手に考えて名乗れよ!」


「あいにくと名づけのセンスには恵まれていなくてなぁ~。子供の頃、羊に「羽毛」と名づけたら即却下された」


ああ言えばこう言う。しかも聞いてもない過去まで勝手にべらべら暴露しやがるし。


頭が痛いと眉間を指で解す子供に何を勘違いしたのか軍人はポンと手を叩いた。


「ただ一方的に名前を考えてもらうのも悪いな。よし!お前の名前を私が考えよう。だからお前は私の名前を考えろ。うむ。いい考えた。相互交換という奴だな!」


何を言っているんだこの軍人は。子供は目の前の能天気が本気で自分と同じ人間か疑った。


「っうか。ちょっと待て。俺には名前はあるしなかったとしても羊に「羽毛」とか名づける奴に名前なんて付けてもらいたくないしそもそも前提条件として俺はお前の名前なんて考えたくない!」


「おおすごいぞ。息継ぎなしの長せりふを見事言い切ったな!」


「まずは俺の拒否を聞いてくれ!頼むから!」


「相変わらず元気な子供だなぁ。あはは!おっと、時間だな。それじゃぁ次に逢うまでには考えておいてくれ。私もとっておきのものを考えてこよう!楽しみにしていてくれ!」


黄色い頭だからプリンなどどうだろうか?などど不吉極まりない呟きを残しながら軽やかに去っていく軍人に子供は身体中から血の気が引いた気がした。


「おい!俺は考えないぞ!っうか考えないでくれ!プリンてなんだよ!人名じゃねぇだろそれ!」


子供の叫びに軍人はヒラヒラと振り返ることなく手を振って応えた。


「ぜ~~~ったいに考えないからなぁ!」


悔し紛れの怒声は蒼空に吸い込まれた。




遠い遠い過ぎ去った日々の中で二つの名が生まれた。


刹那の会合になるはずだった二人は互いに名を与え、別れ、再会し、そして共に戦場を駆けることになる。











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